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大学・研究所にある論文を検索できる 「Factors influencing blood flow resistance from a large internal carotid artery aneurysm revealed by a computational fluid dynamics model」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Factors influencing blood flow resistance from a large internal carotid artery aneurysm revealed by a computational fluid dynamics model

Imai, Tasuku 今井, 資 名古屋大学

2020.03.02

概要

【緒言】
大型および巨大脳動脈瘤治療後に過灌流症候群が起こることがある。近年、大型脳動脈瘤に対する Flow diverter stent(FD)留置術が有効な治療法として急速に普及しているが、術後、遅発性に動脈瘤部から離れた遠位部同側脳実質内出血( Delayed intraparenchymal hemorrhage; DIPH)が起こることが報告されている。DIPH のメカニズムはまだ明らかとなっていないが、そのメカニズムの一因として過潅流症候群が挙げられ、巨大動脈瘤ほど起こりやすいとされている。我々は大型及び巨大脳動脈瘤の存在が血流抵抗として存在し、FD 留置術後に抵抗が急速に緩和されることにより過潅流症候群が起こり、DIPH を引き起こしていると考えた。本研究の目的は computational fluid dynamics(CFD)を用いて様々な内頸動脈サイフォン部動脈瘤モデルを作成し、抵抗を算出し、どのような動脈瘤が抵抗となりやすいかを検証することである。

【方法】
モデル
3 次元作成ソフトウエアを用いて内頸動脈サイフォンを模した U 型の仮想内頸動脈(内頸動脈直径 5mm、直線部長 120mm、サイフォン部直径 15mm)を作成し(Figure.1)、球体動脈瘤の付着条件を変えた。角度を変化させたモデル(動脈瘤径を 15mm、頸部径 7.5mm に固定、動脈瘤位置を 0°から 180°まで 30°毎に変化させたモデル)、動脈瘤径を変化させたモデル(60°の位置、頸部径を 7.5mm に固定、動脈瘤径を 10mm、 15mm、20mm を変化させたモデル)、頸部径を変化させたモデル(60°の位置、動脈瘤径 15mm に固定、頚部径を 6mm、7.5mm、10mm に変化させたモデル)、を作成した。

CFD (Computational fluid dynamics)
壁条件は滑りなし剛体、流体条件は拍動流で非圧縮性ニュートン流体、密度 1054kg/㎥、粘度 3.8 mPaꞏs とした。境界条件は、流入条件を健常者の 3D cine phase contrast MRIから取得した内頸動脈流量とし、流出条件を圧力ゼロとした。

評価
管内や動脈瘤に出入りする複雑な流れの可視化に有効なそれぞれのモデルの収縮期の流線を作成した。それぞれのモデルの一心拍中の渦度および、動脈瘤の近位部と遠位部の任意断面における一心拍中の圧損失平均を算出し、動脈瘤を付着させていないモデルと比較した。

【結果】
角度モデルでの圧損失は動脈瘤付着させていないモデル(96.1 Pa)と 0°モデル(97.7 Pa)では差がなく、60°モデルが最も圧損失が大きく(128.2 Pa)、また圧損失と渦度は類似した傾向を認めた(Figure.2)。一方、動脈瘤径モデルでは動脈瘤径により圧損失の差異は生じなかった(10 mm: 130.3 Pa; 15 mm: 123.0 Pa; 20 mm: 126.2 Pa)が、渦度は 15mmモデルで最も低かった(22.5 × 106/s)(Figure.3)。動脈瘤頚部径モデルでは頚部径が広くなるほど流線は多く複雑で、圧損失も大きく (6 mm: 108.2 Pa; 7.5 mm: 123.1 Pa; 10mm: 147.4 Pa) 、渦度も大きい傾向であった(6 mm: 10.96 × 106/s; 7.5 mm: 22.48 × 106/s; 10 mm: 33.75 × 106/s) (Figure.4)。

【考察】
圧損失と渦度
各モデルにおける条件を固定しているため流入断面と流出断面での流量は同じである。そのため、全体のエネルギー損失は圧損失に比例する。動脈瘤の近位部と遠位部の任意断面における全体の圧損失(ΔP)は、管による損失(ΔPv)と動脈瘤による損失 (ΔPa)に分けられる(ΔP = ΔPv + ΔPa)。管による圧損失は主に屈曲損失と流路の壁面摩擦損失がある。各モデルと瘤付着なしモデルとの差は主に動脈瘤による損失を反映する。また渦度は動脈瘤内の複雑な動きや回転数などを反映するため瘤によるエネルギー損失を反映する一つのパラメーターである。角度モデルでは ΔPv よりも ΔPa による影響が大きいため、圧損失と渦度が類似の傾向を示したと考えられる。一方、動脈瘤のサイズモデルでは各モデルでの圧損失の差がないという結果は、動脈瘤の頚部径が同じのため瘤内に入る流線数に差異がなく、ΔPa よりΔPv がモデル全体の圧損失に強く影響していることが理由として考えられる。また頸部径が大きいモデルほど圧損失及び渦度も大きいという結果から、動脈瘤の角度と頸部径が圧損失に影響したと考えられる。

DIPH と過灌流症候
大型あるいは巨大な頭蓋内動脈瘤に対する FD 留置により、動脈瘤の血栓化が促進され、動脈瘤が縮小し、さらに脳神経麻痺を改善させる画期的なデバイスで、中期成績でも高い動脈瘤閉塞率と低い後遺症および死亡率である。しかし FD 留置後、2.4- 4.6%で DIPH が発生するとされるが、過灌流症候群、出血性脳梗塞、抗血小板剤2剤併用、血行動態の変化などがその要因として推測されているが DIPH のメカニズムについてはまだ不明な点が多い。我々のモデルでは動脈瘤の位置及び頚部径が圧損失に影響を及ぼすという結果であった。今後、本実験結果を踏まえ、3DCTA や 3DRA を用い FD 留置前と血栓化後のモデルを術前に作成し、血行動態をシミュレーションし、 FD 留置前後での圧損失を CFD 解析で算出することで、非侵襲的に術前に DIPH の予測について応用を検討している。

【結語】
実験モデルでは大型脳動脈瘤の角度(瘤付着部位)、動脈瘤の頸部サイズが抵抗に関与する因子であった。動脈瘤付着部、頸部サイズ(広頸部瘤)が抵抗に関与し FD 留置後に過灌流症候群を引き起こし、DIPH を引き起こす可能性がある。

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