リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「心臓手術における人工心肺使用時の回路圧上昇のメカニズムの検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

心臓手術における人工心肺使用時の回路圧上昇のメカニズムの検討

八島 望 山形大学

2020.03.31

概要

【背景および目的】
心臓手術において人工心肺を使用する際に、回路圧が上昇して回路を循環させることができなくなることがある。これまでの報告では血栓形成によって回路圧が上昇すると推測されてきた。しかし、人工心肺前には一般的にヘパリンを投与して抗凝固が十分になされており、このような抗凝固状態にもかかわらず血栓が生じるのであろうか。本研究では、模擬体外循環回路を作製し、回路にブタの血液を循環させて、回路圧上昇のメカニズムを探ることを目的に検討を行った。

【材料および方法】
血液はブタから採取し、採取直後にクエン酸かヘパリンで直ちに抗凝固した。模擬体外循環回路には取り外し可能なフィルタを組み込み、生理食塩水でプライミングした後、流量を 1.0 l/min に設定した。回路に血液を投与した時点から 60 分間回路圧を測定し記録した。60 分で実験を終了し、回路を分解してフィルタに生じた変化を観察し、免疫染色による解析を行った。

【結果】
温度変化や pH 変化による回路圧上昇は認めなかったが、保管期間が長い血液ほど回路圧が有意に上昇した。さらにクエン酸血よりもヘパリン血で回路圧が上昇しやすかった。回路圧が上昇したときのフィルタを観察すると、流出側を粘着性の付着物が覆っていた。フィルタを付着物ごと免疫染色すると、付着物は DNA を含んでおり、形態学的に細胞外 DNA であることがわかった。多血小板血漿では回路圧は上昇せず、回路圧が上昇したタイミングで回路に DNA 分解酵素を投与することで回路圧が速やかに低下した。採血当日の血液では回路圧が上昇しなかったが、同じ血液に PMA を添加し白血球を刺激すると有意に回路圧が上昇した。臨床で実際に使用されている人工肺を回路に組み込み、簡易フィルタと同じ条件で回路を循環させた場合にも、同様の回路圧上昇が生じたことから、臨床で生じる回路圧上昇の要因も細胞外 DNA である可能性が示唆された。

【結論】
本研究では、人工心肺における回路圧上昇は白血球由来細胞外 DNA によって引き起こされることを明らかにした。白血球の中でも老化白血球および活性化白血球が細胞外 DNA を放出しやすく、ヘパリン投与が白血球からの細胞外 DNA 放出を助長する可能性が示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る