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大学・研究所にある論文を検索できる 「Molecular basis of Bardet-Biedl syndrome caused by defects of intraflagellar transport complex IFT-B」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Molecular basis of Bardet-Biedl syndrome caused by defects of intraflagellar transport complex IFT-B

Zhou, Zhuang 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24205

2022.09.26

概要

一次繊毛はヒトのほとんどの細胞がもつアンテナ状のオルガネラである。そこにはさまざまな受容体やイオンチャネルが局在し、外部刺激やヘッジホッグなどのシグナルを受容して伝達する。繊毛機能の破綻によって、多様な重篤症状を呈する繊毛病が発症する。繊毛病バルデー・ビードル症候群(BBS)は、病的肥満、多指症、網膜変性、慢性腎障害などの症状を特徴とする。これまでに、22の遺伝子の変異がBBSの原因となることが報告されている。

繊毛内タンパク質輸送を媒介するIFT装置は、IFT-A複合体、IFT-B複合体、BBSome複合体からなる超分子複合体であり、モータータンパク質のキネシン2とダイニン2によって順行輸送と逆行輸送が駆動される。BBS原因遺伝子によりコードされる8サブユニットからなるBBSomeは、IFT-B複合体と繊毛GPCRとの間のアダプターとして機能し、GPCRの繊毛からの排出を媒介する。その際に、LZTFL1/BBS17が、IFT-B複合体を構成するIFT25–IFT27二量体とBBSomeの間を連結すると考えられている。BBSomeのサブユニットの変異だけでなく、IFT74/BBS22やIFT27/BBS19などのIFT-Bサブユニットの変異によってもBBSが発症するが、その分子基盤は不明であった。そこで、繊毛内タンパク質輸送複合体IFT-Bの欠陥に起因するBBSの発症の分子基盤を解明するために、以下の研究を行った。

第一章バルデー・ビードル症候群の原因となるIFT74–IFT81とIFT25–IFT27の間の共役異常
まず、観るだけでわかるタンパク質間相互作用解析法(visible immunoprecipitation assay;VIPアッセイ)と共免疫沈降法を用いて、IFT-B複合体を構成するIFT74–IFT81二量体が、別個の領域を介して、IFT22、低分子量GTPaseのRABL2、IFT25–IFT27二量体、IFT46–IFT52二量体に結合することを明らかにした。さらに、BBS患者で見られるIFT74のC末端欠失変異、IFT74(1–561)、およびIFT27の点変異、IFT27(C100Y)とIFT27(Y36C)によって、IFT74–IFT81二量体とIFT25–IFT27二量体の間の相互作用が失われることを見出した。

次に、CRISPR/Cas9システムを用いて、IFT27ノックアウト(KO)細胞とIFT74-KO細胞を樹立して表現型を解析した。IFT27-KO細胞は、BBSomeの繊毛内への異常蓄積に伴って、繊毛GPCRが繊毛から排出されない表現型を示した。一方、IFT74-KO細胞は繊毛をまったく形成できなかった。

次に、野生型のIFT27とBBS型のIFT27変異体をIFT27-KO細胞に発現させて、細胞の表現型を比較した。野生型のIFT27をIFT27-KO細胞に発現させると、BBSomeの繊毛内への異常蓄積は解消され、GPCRは繊毛外へと正常に排出されるようになった。一方、BBS型のIFT27変異体をIFT27-KO細胞に発現させても、これらの異常は回復しなかった。さらに、野生型のIFT74をIFT74-KO細胞に発現させると、繊毛形成は回復するとともに正常細胞と同様の表現型を示すようになったのに対して、BBS型のIFT74変異体をIFT74-KO細胞に発現させると、繊毛形成はある程度回復したが、BBSomeの繊毛内への異常蓄積やGPCRの排出異常を示した。

以上の結果から、BBS患者で見られるIFT27の点変異およびIFT74の欠失変異は、どちらもIFT25–IFT27二量体とIFT74–IFT81二量体の間の相互作用を失わせるとともに、BBSに特有の繊毛異常を引き起こすことが明らかになった。IFT25–IFT27二量体はIFT-B複合体とBBSomeとの間の連結に関与することから、この連結の喪失がBBSにおける繊毛異常の原因であると考えられる。

第二章CEP19–RABL2–IFT-Bによる繊毛GPCRのBBSome依存的な繊毛外排出の制御機構
第一章で、IFT-B複合体を構成するIFT74–IFT81二量体と他のサブユニット(IFT22、IFT25–IFT27、IFT46–IFT52)および低分子量GTPaseのRABL2との相互作用を調べる過程で、BBS患者で見られるIFT74とIFT27の変異によって、IFT74–IFT81二量体とIFT25–IFT27二量体の間の相互作用が失われることを見出した。さらに、IFT74–IFT81上のIFT25–IFT27結合部位は、RABL2のGTP結合型変異体、RABL2(Q80L)の結合部位と重複する可能性も見出した。先行研究によって、RABL2(Q80L)を正常細胞に発現させると、IFT27-KO細胞と同様の繊毛異常を引き起こすことが報告されていた。これらのことから、RABL2(Q80L)がIFT25–IFT27二量体と競合的にIFT74–IFT81二量体に結合することが、BBSに特有の表現型異常を引き起こす可能性が考えられた。この可能性について検討するために、以下の研究を行った。

まず、EGFP-RABL2(WT)またはRABL2(Q80L)と一緒に、EGFP-IFT74+IFT81およびmCherryIFT25+IFT27をHEK293T細胞に共発現させて、細胞のライセートを抗GFP抗体を用いて免疫沈降した。この免疫沈降物について、抗mCherry抗体および抗GFP抗体を用いてイムノブロッティングを行うことによって、RABL2(Q80L)の共存下では、IFT74+IFT81はIFT25+IFT27を共免疫沈降できないことが明らかになった。これらの結果から、IFT74–IFT81二量体へのIFT25–IFT27二量体とRABL2(Q80L)の競合的結合が証明された。

これまでの研究によって、GTP結合状態のRABL2は基底小体タンパク質CEP19に依存して繊毛基部の基底小体に局在し、IFT74—IFT81二量体と相互作用してIFT装置の繊毛内への進入を媒介することがわかっている。そこで、RABL2(WT)とRABL2(Q80L)を正常細胞およびCEP19-KO細胞に発現させて、細胞の表現型を比較した。RABL2(Q80L)を発現させると、正常細胞でもCEP19-KO細胞でも、BBSomeとLZTFL1の繊毛内への異常蓄積に伴って、繊毛GPCRの繊毛外への排出異常を引き起こした。一方、RABL2(Q80L)を正常細胞に発現させると繊毛内に局在できたが、CEP19-KO細胞に発現させた場合には局在できなかった。これらの結果から、RABL2(Q80L)はCEP19に依存的に繊毛内に進入するが、繊毛内への進入とBBSで見られる繊毛異常とは必ずしも相関しないことが明らかになった。

以上の結果から、RABL2(Q80L)がIFT74—IFT81二量体に結合すると、IFT-B複合体におけるIFT25–IFT27二量体とIFT74–IFT81二量体の間の相互作用を失わせることが明らかになった。IFT25–IFT27二量体はIFT-B複合体とBBSomeとの連結部位を構成することから、RABL2(Q80L)によるIFT-B複合体とBBSomeの間の共役の喪失が、BBSome依存的な繊毛GPCRの繊毛外への排出異常を引き起こすと考えられる。

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