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大学・研究所にある論文を検索できる 「Resolvin E3 ameliorate high fat diet-induced insulin resistance through PI3K/AKT pathway in adipocytes.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Resolvin E3 ameliorate high fat diet-induced insulin resistance through PI3K/AKT pathway in adipocytes.

清水, 智彦 シミズ, トモヒコ Shimizu, Tomohiko 群馬大学

2021.03.23

概要

【序論】2型糖尿病の主な病因はインスリン抵抗性の出現である。インスリンはインスリン受容体 に結合することで、PI3K/Aktシグナル伝達経路を介してglucose transporter 4(Glut 4)を誘導し、細胞の糖取り込みを促す。肥満由来のインスリン抵抗性は脂肪細胞の軽度の炎症によるものである。炎症は、IRSのN末端のセリンをリン酸化しチロシンリン酸化を阻害し、IL-6がcytokine signaling
3とJanus kinase-signal transducerおよびactivatorを介してIRS-1とGLUT4の発現を抑制するこ とでPI3K/Aktシグナル伝達経路を阻害することが示唆されている。従って、脂肪細胞の炎症の改善 はインスリン抵抗性の改善に繋がると予測される。エイコサペンタエン酸(EPA) とその代謝産物で あるレゾルビンE群(RvEs)は抗炎症特性を持ち、RvEsにはRvE1,E2,E3の3つのアイソフォームが存在 する。RvE1はob/obマウスの脂肪細胞においてインスリン感受性を亢進することが確認されている。我々は先行研究で喘息マウスモデルにおいてRvE3がRvE1よりも炎症を抑制することを既に発見して いる。しかしながら、糖代謝におけるRvE3の作用については研究されていない。本研究では、高脂 肪食誘導肥満マウスと3T3L1脂肪細胞の糖代謝におけるRvE3の作用について検討した。

【材料と方法】1.)オスC57BL/6マウスに高脂肪食を給餌、3群に分け、RvE1(1.2 ng/g body weigh t)、RvE3(1.2 ng/g body weight)、コントロールとしてのPBSをそれぞれ腹腔内投与した後、インスリン負荷試験(ITT)、経口糖負荷試験(OGTT)を実施した。2.)マウスの精巣上体脂肪組織のAktのリン酸化率をウエスタンブロッティング法にて検討した。3.)3T3L1脂肪細胞をRvE1,RvE3を含む培養液で培養し、インスリン刺激後のブドウ糖取り込み量を測定した。また、RvE群添加、インスリン刺激後の3T3L1脂肪細胞IRSリン酸化率、PI3Kタンパク発現、Aktリン酸化率をウエスタンブロッティング法にて検討した。3T3L1脂肪細胞をRvE3含有培養液で培養し、PI3経路を阻害薬(LY-2940 02)で阻害した後、インスリン刺激後のブドウ糖取り込み量を測定した。

【結果】1.) 各群間で体重と摂餌量に有意差は無かった。しかしながら、19週齢時に測定したRv E3群のHOMA-IR scoreは有意に低下していた。15週齢時に行ったITTではRvE3群がコントロール群、 RvE1群と比較して血糖値が有意に低下していた。19週齢時に行ったOGTTでは、ブドウ糖経口投与 後30分の血糖値のピークがコントロール群と比較してRvE1群、RvE3群で低下していた。2.) Akt のリン酸化率はRvE3群の精巣上体脂肪組織でコントロール群と比較して2.2倍に増加していた。 3.)インスリン刺激後の細胞のブドウ糖取り込みはRvE3を100nM投与した細胞で、コントロールと比較して1.34倍、RvE1を100nM投与した細胞と比較して1.19倍であった。RvE3を投与した3T3L1脂肪細胞のAktのリン酸化率はコントロールと比較して74%増加し、PI3K発現も53%増加した。一方で、IRS-1のリン酸化率は各群間で有意差はなかった。10μMのLY294002投与で、RvE3投与細胞のインスリン刺激後のブドウ糖取り込みはコントロールの水準まで抑制された。

【考察】本研究では、肥満糖尿病モデルマウスにおいて、RvE3のみがインスリン感受性と耐糖能 を改善し、脂肪組織でのAktのリン酸化を促した。先行研究で肥満糖尿病モデルマウスの肥満と 糖尿病を予防するためには、RvE1を1マウスあたり300ngの高用量の投与を要した。RvE群の耐糖 能への効果はマウスへの投与濃度や投与間隔に依存する可能性が考えられた。また、炎症のない 3T3L1脂肪細胞においてもRvE3はインスリンシグナルを増強し、ブドウ糖取り込みを増加させた。我々のデータはRvE3が抗炎症作用以外でも脂肪細胞のインスリンシグナルを増強しインスリン抵 抗性を改善したことを示していた。ω-3脂肪酸は細胞膜リン脂質に含まれる脂肪酸や脂肪組織の アディポカイン分泌を改変しインスリンシグナルに影響を与えることが報告されており、RvE3に よるインスリンシグナルの改善も類似の機序が存在する可能性が考えられた。グルコース恒常性 に対するRvE3の効果を引き起こす細胞シグナル伝達と分子メカニズムを解明するには、さらなる 詳細な検討が必要である。

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