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大学・研究所にある論文を検索できる 「原子核乾板を用いた宇宙線ラジオグラフィによるクフ王のピラミッドの観測とその解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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原子核乾板を用いた宇宙線ラジオグラフィによるクフ王のピラミッドの観測とその解析

久野, 光慧 名古屋大学

2021.06.21

概要

物理学はミクロな素粒子からマクロな宇宙にいたるまで、自然科学の最も基本的な学問であり、分野を越えた研究も幅広く行われている。素粒子物理学分野では標準模型を超える現象を観測するための実験が盛んに行われてる一方、その技術の応用研究にも期待が持たれている。宇宙線ラジオグラフィは、素粒子実験や宇宙線実験で培われたミューオンの飛跡再構成手法を応用発展させ、地上に降り注ぐ宇宙線二次粒子であるミューオンを用いて、大型構造体の内部を非破壊で可視化する技術である。宇宙線ミューオンの中には岩盤1kmを通り抜ける高いエネルギーを持つものもあり、その高い物質貫通能力によって、原子炉やピラミッド、火山といった様々な大きさの構造体が観測対象となる。

原子核乾板は、荷電粒子の飛跡を三次元的に記録することができる特殊な写真フィルムで、その高い位置精度と角度精度によって、100m先で数十cmの空間分解能での撮像が可能である。軽量、電源不要であるため可搬性に優れ、観測に最適な場所に検出器を設置し、宇宙線ラジオグラフィを行うことができる。

筆者は、エジプトのピラミッドの調査を行う国際共同研究チーム“ScanPyramids”において屈折ピラミッドとクフ王のピラミッドにおける原子核乾板を用いた宇宙線ラジオグラフィを行ってきた。ピラミッドにおける観測と並行して、宇宙線ラジオグラフィのためのモンテカルロシミュレーションを構築し、ピラミッドを対象とした宇宙線ラジオグラフィの高精度化のための開発研究を行った。

クフ王のピラミッドの下降通路と女王の間における観測を並行して行い、設置した原子核乾板検出器のの観測結果を解析することによって、下降通路の直上と、大回廊の直上に異なる2つの未知の空間を発見した。

女王の間の二箇所の検出器の観測結果を用いて三角測量による新空間の位置の評価を行った。女王の間からの観測で発見した新空間は、検出器位置から40-50mの上方に存在し、その規模が30m以上あることを示した。さらに、その断面の大きさを評価し、4m×4mと大規模であることを示した。

また、下降通路からの観測で発見した未知の空間の位置と形状の詳細解析のために、下降通路における多地点観測を実施した。下降通路の多地点に設置した観測結果と様々な空洞モデルを配置したシミュレーション結果を比較した。未知の空間は、ピラミッドの入口の切妻屋根の下から1.17±0.12mの位置にあり、切妻屋根の北面から0.84±0.05mの位置から始まる。その高さは2.18±0.04m、幅は2.02±0.12m、長さは9.06±0.07mと評価した。

宇宙線ラジオグラフィの解析手法や評価方法の開発によって、考古学調査に留まらず、社会インフラ調査や資源探査において、新たな計測技術となる可能性がある。

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