時間依存する階数を持つ時間非整数階微分方程式について
概要
地震の震源を点とみなすと,時系列地震発生は,震源 (質点) の時空間の運動と解釈できる.この運動を特徴づける重要な物理量として,次の地震が発生するまでの,待ち時間 (つまり,震源が,運動しないで、ある物理空間上に静止している時間の長さ)がある.このような,待ち時間を考慮したランダムウォークは,一般に異常拡散と呼ばれている.震源運動のモデル化において,難しい点は,この待ち時間が時系列的に、増大する(つまり,本震から時間が経過するとともに、待ち時間が長くなる)という,時間に依存して待ち時間の性質が変化する点である.加えて、震源の運動は、非マルコフ性を持つものであり、時間記憶を考慮する必要がある.このような震源の質点運動を数学的にモデル化することを目的とし,本稿では時間依存する階数を持つ時間非整数階微分を定義し,その性質を解析する.