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下方スキップフリーマルコフ連鎖の準定常分布について (確率論シンポジウム)

山戸, 康祐 京都大学

2023.04

概要

71

下方スキップフリーマルコフ連鎖の準定常分布について
京都大学大学院理学研究科山戸康祐

KosukeYamato
Departmento
fM
a
t
h
e
m
a
t
i
c
s
,GraduateS
c
h
o
o
lo
fS
c
i
e
n
c
e
,
KyotoU
n
i
v
e
r
s
i
t
y

1 導入
本稿では,[1
5
]の内容を紹介する.生存時間くをもつ状態空間 S上のマルコフ過程{ふ} t
:
2
:
0
に対し, S上の確率分布 vは以下を満たすとき準定常分布と呼ばれる:

已[
X
tE dxI
(>t
]=v
(
d
x
) (
t>0
)
.

(
1
.
1
)

ここで見は初期分布 uをもつ X の分布である.[1
5
]では,状態空間 N :={
O
,1
,
2
,...}上
の連続時間マルコフ連鎖 X で,下方にスキップフリーであるもの,すなわち,
I
P
'
z[乃く叫= 1 (
0::

X

)
,

(
1
.
2
)

を満たすものに対し,点 0においてのみ死滅する,つまり,〈= T。である場合にその準定
常分布の存在条件,および,準定常分布全体の集合を考察した.ここで, TAは集合 A c N
への到達時刻つま り
n
f
{
t>0I
XtEA}(ACN)であり,特に乃:=叩} (
XEN)
, TA:=i
と書くことにする.

2 先行研究
マルコフ連鎖の準定常分布について知られている結果を簡単に振り返る.以下では簡単の
ため,〈= T。

, X は N¥{
O
}上で既約かつ,点 0に正の確率で到達する,より正確には,
叩乃く o
o
]>0(
x>0
,y2
'
.0
)が成り立つ場合を考える.
まず,一般的なマルコフ連鎖に対する準定常分布の存在条件について代表的な結果をみ

. Kingman[
7
]は,保存的なマルコフ連鎖における正再帰性の概念を死滅をもつ場合へ
と拡張した仕正再帰性の下で, d
e
c
a
yp
a
r
a
m
e
t
e
rに対応する準定常分布が一怠的に存在す
ることを示している.より詳しく言うと,次の極限から定まる d
e
c
a
yp
a
r
a
m
e
t
e
r
P
'
凸> t
]
l
o
gI

入。:=ー l
i
m
t
→co

(
2
.
1
)

に対し,見 [
T
o
>t
]=e
―入 a
t(
t2
'
.0
)を満たす準定常分布リが存在し,一意的であることを示
したここでマルコフ性からの簡単な帰結として,準定常分布の下では生存時間が指数分
布に従うことを注意しておく.つまり,入。の正値性は準定常分布の存在の必要条件である.
F
e
r
r
a
r
i
,K
e
s
t
e
n
,M
a
r
t
i
n
e
zandP
i
c
c
o[
4
]は,次の性質

l
i
ml
P
'
x仕
oさ t
]=0 (
t>0
)



a

(
2
.
2
)

72
を満たすマルコフ連鎖に対し, d
e
c
a
yp
a
r
a
m
e
t
e
rが正であれば,少なくとも 1つの準定常分
布が存在することを示した性質 (
2
.
2
)は直感的に言えば,「状態空間が大きい」という性
質であり,ある意味では非再帰性に近い例えば,出生死滅過程の場合,( 2
.
2
)が成り立つの
は境界 ooが F
e
l
l
e
rの意味で自然な場合である.一方で, d
e
c
a
yp
a
r
a
m
e
t
e
rの正値性は(例
えば, 0からの推移を新たに加えて保存的なマルコフ連鎖にすることで),強い再帰性を表
すといえるこの意味で,[4
]は再帰性と非再帰性の微妙なバランスが成り立つ状況を扱っ
ている.一般的にいって,「状態空間が小さい」ほど凡正再帰性は成り立ちやすくなるた
め,やや難しい場合を考察しているといえるより一般の空間上のマルコフ過程に対する
研究として Takeda[
1
2
]があり,緊密性と呼ばれる条件を渦たす対称マルコフ過程に対し,
準定常分布が一意的に存在することを示している.緊密性の正確な定義はここでは省略す
るが,大まかにいうと, 「ほとんどの生存している粒子は大きなコンパクト集合上に収ま
る」という性質であり,概ね「状態空間が小さい」という性質である以上が,一般的な存
在条件として概ね知られている結果である.これらの結果は有用ではあるが,具体的に与
えられた確率過程に適用するには仮定が強過ぎたり,仮定を満たすことを確かめるのが困
難であったりすることがしばしばである.
次に,具体的なクラスのマルコフ連鎖について知られている結果をみる.[ 1
5
]では,スキッ
プフリー性を満たすマルコフ連鎖を考察したが,このクラスのマルコフ連鎖は K
i
j
i
m
a[
6
]
による先行研究がある.[6
]はマルコフ連鎖が u
n
i
f
o
r
m
i
z
a
b
l
e
,すなわち, supx>oQ(x) であることを仮定している,詳しい議論は省略するが,この仮定は P
e
r
r
o
n
F
r
o
b
e
n
i
u
sの定
理を応用するためのものであり,やや技術的である.加えて,準定常分布の存在については
十分条件のみが得られており,また,準定常分布全体の集合も確定できていない.つまり,
下方スキップフリーマルコフ連鎖の準定常分布の完全な特徴づけはこれまで得られてい
なかったただし,いくつかの部分的なクラスについては完全に調べられている例えば
出生死滅過程に対しては, vanDoorn[
1
3
] が,出生死滅過程の内在的な量である,スピー
ド測度,スケール関数を用いた必要十分条件を与え,さらに,準定常分布全体の集合を確
定している分枝過程に対しては, Yaglom[
1
4
] による離散時間の場合を扱った占典的な
研究があるが,意外なことに連続時間の場合の結果が得られたのは最近で, M
a
i
l
l
a
r
d[
9
]に
よって,完全な特徴づけが与えられた.ただしこれは,この場合が困難であったというよ
りも,恐らく,これまで誰も完全な形で書いていなかったというのが実際のところだと考
えられる.実際 [
9
]の中では分枝過程の準定常分布の先行研究を詳しく振り返り,完全な
形で解答を与えた最初の論文であることを細かく説明している.下方スキップフリーラン
ダムウォークの場合は, P
a
k
e
s[
1
1
] による,似通ったトピックを扱った論文があるものの,
やや問題意識が異なり,今回考えている意味での準定常分布についてはほとんど関係がな
い筆者の知る限り,ランダムウォークの場合を扱った研究は他になく,意外なことであ
るが,これまで知られていなかったのかもしれないただし,ランダムウォークに限った
場合は恐らくそれほど難しくはないため,これも分枝過程の場合と同様,これまで誰も調
べていなかっただけだと思われる.

3 手法

[
1
5
]における主な道具は,(一般化)スケール関数であるスケール関数とは主として一次
元拡散過程,片側スペクトルレヴィ過程に対して,広範に用いられてきた道具であり,区間
からの脱出時刻や区間上のポテンシャル密度関数を簡明な形で表すことができる(例えば,

73
I
t
o[
5
,Chapter5
]
,Kyprianou[
8
,Chapter8
]
,B
e
r
t
o
i
n[
2
,Chapter7
]を参照).これらのス
ケール関数はその確率過程固有の性質を用いて構成されてきたが, Noba[
1
0
]は負(また
は正)の跳びがない区間上のマルコフ過程に対し,周遊測度を用いることで,一般的にス
ケール関数に相当する関数を構成できることを示した.もう少し具体的にいうと,脱出時
刻やポテンシャル密度を簡明に表す公式を与える関数の族で,一次元拡散過程や片側スペ
クトルレヴィ過程のものを一般化するものを構成した [
1
5
]では,下方スキップフリーマ
ルコフ連鎖に対し,一般化スケール関数を同様に周遊測度を用いて定義し,同様の公式が
成り立つことを示した(ただし,これらの公式が同様に成り立つことは [
1
0
]からほぼ明ら
かである).下方スキップフリーマルコフ連鎖の場合の具体的な公式は次節の命題 4
.
2
,定
理4
.
3で与えた
e
r
t
o
i
n[
3
]によるもので,[3
]
スケール関数を準定常分布の研究に応用するアイデアは, B
では,正スペクトルレヴィ過程に対し,スケール関数とその解析接続を用いることにより,
有限区間の脱出時刻で死滅が起きる場合の準定常分布の存在を示し,また,準定常分布の
密度関数が解析接続されたスケール関数により与えられることを示している.[ 1
5
]では,
基本的には [
3
]の議論を一般化スケール関数へと拡張することにより準定常分布の存在を
示しているただし,そのままパラレルに議論を移植できるわけではなく,大きく以下の
2点で新たな工夫が必要となる. 1点目はスケール関数が解析接続できることが明らかで
ない点である.定義 4
.
1で与えるように,一般化スケール関数は周遊測度のラプラス変換
を用いて定義されるため,それが整関数へと拡張できるかは明らかではない.この拡張が
可能であることを示すため,スケール関数がある種の離散的な V
o
l
t
e
r
r
a型積分方程式の解
であることを示すことによって,一般化スケール関数が級数型の表示を持つことを示した
(定理 5
.
1
)
. 2点目は空間的一様性が必ずしも成り立たないためにマルコフ連鎖の遠方で
の挙動を考慮する必要がある点である.例えば, 2節で触れた vanDoorn[
1
3
]の結果では,
境界 (X) の旺リ紅の意味での分類が流入力消時花入かに応じて'準定常分布が-つか非可算
個かに分かれることが示されているこのように遠方での挙動は準定常分布の存在に大き
く影響するが,実は,この境界の分類による dichotomyは,下方スキップフリーマルコフ
連鎖に対しても自然に拡張できることを示すのが主結果である(定理 5
.
6
)
.

4 準備
いくつかの定義や予備的な結果を述べる確率過程({ふ}t~O,{1Px}xEN) は N 上の連続時

間マルコフ連鎖で,下方スキップフリー性 (
1
.
2
)を満たすとする. X の Q行列を Q :=
(
Q
(
x
,y))x,y~。とし, Q は保存的であるとする: I:yEN Q
(
x
,y
)=0(
xEN).慣例に従って,
Q
(
x
):=-Q(x,x
)=区Y#xQ
(
x
,y
)(
xEN)と書く.また, X は爆発時刻麟:= l
i
m
z→oo写

で死滅するとする.ただし,ぢ:= T[z,oo)nNである.さらに,以下を仮定する:
(
i
)X は N¥{
O
}上 で 既 約 ; 疇 く 0
0l
>0(
XEN¥{0}'yEN
)
.

{(
ii)N¥{
0
}の各点は r
e
g
u
l
a
r;

[TN¥{x} > 0
]= 1(
xEN¥{0}


(
i
i
i
)点 0は t
r
a
p
;l
P
0[ふ= O
]=1
.

点 xENに対し,その局所時間を次で定める:

J
t

勾:=

l
{ふ= x
}
d
s
.



(
4
.
1
)

74
この局所時間の定義から明らかに以下の公式が従う:非負関数 f:N→[
O
,
o
o
]に対し,

1tf
(
X
s
)
d
s=
区 f(x)Lf (滞在時間公式)
x
:
C
:
O

および,

100e
―q
t
l
E
x
[
f(

)]
d
t=~ J
(
y
)
l
E
x[
1
0
0e
―q
t
d
L
f
] (ポテンシャル密度公式).
Noba[
1
0
]に従って, X のスケール関数を導入する.まず, x>Oに対し,点 xからの周遊測
度を次で定める:

叫 X Ede]:=Q(x)江 (XO0
T
N
¥
{
x
}
)

I
¥
T
xE
d
e
] (
eEl
D
l
)
,
ここで, l
D
)は N上の c
a
d
l
a
gp
a
t
h
s全体の集合であり, 0はシフト作用素を表す.この周遊
測度は局所時間 ”
L に対応したものになっている,つまり,次が成り立つ:

-log恥 [
e―吋( 1)] =q+叫 1-e―q可 (
q2 0
)
.
ここでずは xにおける逆局所時間,すなわち, t→L
fの右連続逆関数である.次が一般化
スケール関数の定義である.以降では単にスケール関数と呼ぶ.
.
1
.実数 q20に対し, q
-スケール関数 w(qJ:N xN →[
O
,o
o
)を以下で定める:
定義 4

l
{
x }
叫e
q乞 ち く o
o
].

w
(
q
)
(
x
,z
):
=

(
4
.
2
)

特に, W:=W(0)と書くことにする.
Noba[
1
0
]と同様の方法で, X の区間からの脱出時刻と区間上のポテンシャル密度関数
はスケール関数を用いて表せることが示せる:

命題 4
.
2
.q~ 0と〇 :Sx
叫e
―”
T
q ,乃く o
o
]= w
(
q
)
(
y
,
z
)
叫e
q
T
"
,
T
y o
] W
(
q
)
(
x
,
z
)
'

恥[
e―q乞冗<寸]=

定理 4
.
3
.q~ 0と〇 :
SX ,
y
l

l
E
y[1

互T
z
+e
―q
t
d
L
f

W
(
q
)(
x
,u
)
W
(
q
)(
y
,z
)
-W
叫y,u)
W
(
q
)
(
x
,z
)

,
u
)恥 [
e―q
T
x心 (
q
l
(
y
,u
)
.
= W叫x

(
4
.
3
)

75
5 主結果
第一の主結果は,固定した〇::;x,yに対し,関数 [
O
,o
o
)う q→w
(
q
)
(
x
,
y
)が整関数に拡張
できることである. N x翼行列 M = (M(x,y
)
)
x
,
y
E
Nが M(x,y)= 0(
x~ y
)を満たすとき,
上三角ということにする.
定理 5
.
1
.q~ 0を固定するごとに, W(q)= (
W
(
q
l
(
x
,y
)
)
x
,
y
:
:
,
.。
を N x罠行列とみなす.行列
F=W(q)は以下の方程式を瀾たす一意的な上三角行列である:
QF(x,y
)= I
(
x
,y
)+qF(x,y
) (
x~ 1
,y~ 0
)
,

(
5
.
1
)

ここで, J:=(
6
x
y
)
x
,
y
2
"
.
0は単位行列である. x
,yE N(
x )を固定するごとに, w
(
q
)
(
x
,y
)
は qに関する (
y-X -1)次の多項式である:


ど q咽

w
(
q
l
(
x
,y
)



n
+
l
(
x
,y
)

n>O

L

qnwn+l(x,y) (
x
,
y
:
:
:
:
o
)
.
0
'
.
o
n
'
.
o
y
x
1

(
s
.
2
)

ここで, wn~ま行列 W=W(0) の n 個の積であるよって,関数 q → w(q)(x, y
)は整関数に
解析的に拡張される(以下では常に拡張したものを考える).さらに, q€

Cに対し,行列

I-qWは可逆であり,以下が成り立つ:
W
(
q
)= (
I-qW)-1W= W(I-qW)―1
.

(
5
.
3
)

等式 (
5
.
3
)からスケール関数は以下のレゾルベント方程式を満たすことがわかる.
系 5
.
2
.q
,rE<
Cに対し,以下が成立:
w
(
q
)-w
(
r
)= (q-r
)
W
(
q
)
w
(
r
)= (q-r)Wり w
(
q
)


(
5
.
4
)

注意 5
.
3
. レゾルベント方程式 (
5
.
4
)において, r=Oの場合を考えることで,行列 F=W(q)
は以下の離散的な V
o
l
t
e
r
r
a型積分方程式の解であることがわかる:
F = W+qFW=W+qWF.

(
5
.
5
)

一次元拡散過程や片側スペクトルレヴィ過程のスケール関数はいずれも同様の(連続的な)
V
o
l
t
e
r
r
a型積分方程式の解として特徴づけられる.よって,定理 5
.
1および系 5
.
2は,ス
ケール関数 w
(
q
)は従来のスケール関数の自然な一般化になっていることを示している.
次に準定常分布の特徴づけを与える.まず,スケール関数を用いて,境界 ooの分類を導
入する.
定義 5
.
4
.次が成り立つとき,境界 ooは流入であるという:

区 W(O,y)
(
5
.
6
)

y:


次が成り立つとき境界 ooは非流入であるという:

区 W(O,y
)=o
o
.
y
:
:
0
:
0

(
5
.
7
)

76
この境界の分類は,出生死滅過程における境界 CX)の F
e
l
l
e
rの意味での分類の拡張となっ
ている.

.
5
.Q
行列 Q=(
Q
(
x
,
y
)
)
x
,
y
E
Nが以下で与えられる出生死滅過程を考える:
注意 5



=

:(: >

[
(
x
)+入 (
x
)) : x /

Q(xy)

0

(その他)

ここで,入 (
x
)
,
μ
(
x
)>0(
x>0
)で
, μ
(
O
)=入 (
0
)= 0とする.スピード測度 7r = (
1
r
(
x
))
x
:
2
'
.
1
を以下で定める:
入(
1
)入(
2
)・


入(
x-1
)
1
r
(
l
):=1
, 1
r
(
x
):=~ (
x~ 2
)
μ
(
2
)
μ
(
3
)• • •μ
(
x
)
また,(通常の)スケール関数 s
:N→[
O
,o
o)を以下で定める:

s
(
O
)=0
, s
(
x
)=—+ L
~ (x~l).
μ
(
1
) 1
r
(
y
)入(
y
)
:
C
:
y
:
C
:
x
11
詳しい説明は省略するが,古典的に知られた事実として,スピード測度は行列 Q を対称化
する測度であり,スケール関数 sは s(ふ)がマルチンゲールとなるような関数である.こ
のとき, 0
-スケール関数 W=W(0)は以下を満たすことが割合容易にわかる:

W
(
O
,x
)=s
(
x
)
1
r
(
x
) (
x~ 0
)
.
よって, X が流入となることは以下の条件と同値になる:

L
s
(
x
)
1
r
(
x
) o
.

(
5
.
8
)

x>O

条件 (
5
.
8
)は F
e
l
l
e
rの意味での境界分類(例えば, Anderson[
1
,p
.
2
6
2
]を参照)において
.
4で導入された分類は出生死滅過程の場合の拡張に
流入であることと同値であり,定義 5
なっていることがわかる.
次に準定常分布の存在をみる.以下では,次の条件を仮定する:

土o<(X)]
=1 (
x2
"
.0
)
.
l
P
'

(
5
.
9
)

次が主結果であり,準定常分布の存在は境界の分類によって二分されることがわかる.
定理 5
.
6
. Qを準定常分布全体の集合とするこのとき,以下が成立:

(
i
) 境界 00が流入であるとする.このとき入。> 0であり, Q={
v
入。}である.
(
i
i
) 境界 00が非流入で入。> 0であるとする.このとき, Q ={以}入 E(O入
,o
]である.

77
ここで,入 E (
0
,A
o
]に対し,確率分布以は以下で定義される:

叫x
):=>.W(一入)(0
,x
) (
x2
:0
)
.
注意 5
.
7
.非流入の場合には必ずしも入。>〇とはならない例えば, N上の単純対称ラン
ダムウォークで点 0で死滅するものを考えると,入。= 0である.
境界 OOが流入である場合には,一意的な準定常分布り。はヤグロム極限であることが
示せる.

.
8
.境界 OOが流入であるとする.このとき,準定常分布以。はヤグロム極限である:
定理 5
l
i
ml
P
'
斗ふ=

t
→OO

Y
ITo>t
]=v
.
x
0
(
y
)

(
x
,
y> 0
)
.

References
[
1
] W. J
.A
n
d
e
r
s
o
n
. C
o
n
t
i
n
u
o
u
s
t
i
m
eMarkov c
h
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s
. S
p
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g
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rS
e
r
i
e
si
nS
t
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t
i
s
t
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:
P
r
o
b
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b
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l
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yandi
t
sA
p
p
l
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t
i
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n
s
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r
i
n
g
e
r
V
e
r
l
a
g
,NewY
o
r
k
,1
9
9
1
.Ana
p
p
l
i
c
a
t
i
o
n
s
o
r
i
e
n
t
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