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大学・研究所にある論文を検索できる 「人と車両の双方から見た新たな高齢者事故対策に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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人と車両の双方から見た新たな高齢者事故対策に関する研究

謝 振宇 埼玉大学 DOI:info:doi/10.24561/00019667

2021

概要

本研究は人と自動車双方から、効果的な高齢者事故の対策を探ることを目的として分析を行なった。その結果、高齢者が運動を行うことによってある程度の事故予防効果が期待されることと自動運転技術による事故削減効果やL5の自動運転を実現するに当たり、優先的に事故対策が必要な場所や必要な環境整備についてある程度明確にできたことが本研究の最大の結論であると考える。以下に具体的な内容を述べる。
運動習慣が交通事故防止及び傷害におよぼす影響
まず、高齢者歩行者自身を対象にした効果的な事故防止対策の構築が、今後の日本においてさらなる交通事故の低減に繋がると考え、運動に関わる身体能力と歩行中の交通事故の関係に着目し、高齢歩行者の交通事故の発生防止、および高齢者が事故に遭ってしまった場合の傷害の度合いを低減させる効果的な運動要素について検討を行なった。その結果、運動を行うことによる体力の向上や維持効果は顕著であり、ヒヤリハットや事故に遭遇した場合でも、普段から運動を行っているグループは何らかの反応を取ることができる割合が多く、運動が事故の防止に役立つ可能性を示す結果となった。さらに、今回の研究より、特にジョギング・テニス・登山などの運動を行っているグループは運動を行っていないグループと比較した場合、体力差が大きく、事故の防止に役立エクササイズを構築する上で有益な知見を得ることが出来た。
また、運動を行っている高齢者と運動を行っていない高齢者が道路横断時に本当に違いがあるかどうかを確かめるため、横断シミュレーター「わたりジョーズ君」を用いた運動実験を行った。その結果、運動を行っていない高齢者は、横断を開始するまでの時間が長く、横断中も左右を確認する回数が少ない傾向にあることがわかった。また、車と遭遇しそうになった場合ではそのまま歩き続けるケースが多く、危険な横断になりやすいことが明らかとなった。アンケート調査の結果とあわせて考えた場合、運動を行っていない高齢者が普段の意識としては奥車線の車両をよく見て横断していると考えているものの、実際には奥車線で多くの車両を遭遇しており、このギャップは交通事故を誘発する一因となっている可能性があることが示唆された。一方で、運動を行っている高齢者は自身の横断時の意識と実際の歩行時のギャップが少ない事から、運動を行うことにより身体能力が向上され、ある程度、自身の横断時の意識と実際の行動とののギャップを埋めるのに役立つことが期待できるがわかった。これにより交通事故に対する防止効果も期待される。
先進安全自動車両による高齢者事故の削減効果の推定
次に、先進安全技術による事故の回避可能性を検討するために、実際に起きた事故を用いて分析を行った。その結果、自動運転に変わることにより、歩行者との事故を減らせる可能性があることが明らかとなった。一方で、速度の速い自転車との事故では防ぐのが難しい場面もあり、必要に応じて10km/h程度で走行する必要があることが分かった。ただし、先進安全自動車両は規制速度を守って走行すると想定されるため、これまで、速度超過によって起きた事故に関しては、先進安全自動車両に代わることでかなり減少させることが可能であると思われる。
また、これまでに発生している自動車対歩行者、自転車事故について、交通事故統計データや交通事故例調査を活用して、自動運転技術による事故削減効果の推定を行い、事故対策が必要な場所や状況の優先順位付けと必要な環境整備について検討し提案を行なった。その結果、高齢者事故に対しては、先進安全自動車両を活用することで, 約7割の削減効果を確認できた一方で,車道幅員が狭く、歩車道区分がない乱横断がしやすい箇所では依然として車両だけでは防ぐことが難しい事故が存在していることを確認することができた。 また、先進安全自動車両に変わった場合でも、高齢者側の安全不確認や不注意による自転車乗車時の出会い頭事故や追抜追越時の事故は防ぐことが難しいと予想される。こうした特徴を踏まえ,今後起こり得る先進安全車両の事故を防ぐためには,まず、信号や保護柵等の設置や車両の視認性を増すための路車間通信デバイスの設置をすることが重要であると考える.歩行者・自転車側の乱横断を抑制し、かつ自動車側が事前に歩行者・自転車側の位置を知ることが事故の回避につながると考える。その一方で,歩行者・自転車側の安全確認が不十分による事故の割合も高い状況にある中,車両側の機能だけでは削減することが難しいそのような事故を回避するには, 歩行者・自転車側にも車両が来ている情報が伝わるような通信デバイスを持たせること望ましいと考える.

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