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非定常磁気ノズルからのプラズマ離脱過程の検証

山本, 直嗣 京都大学

2023.03

概要

非定常磁気ノズルからのプラズマ離脱過程の検証
Investigation of plasma detachment process in an unsteady magnetic nozzle
using Full Particle-In-Cell simulation
研究代表者:山本

直嗣(九州大学総合理工学研究院)
yamamoto@aees.kyushu-u.ac.jp

研究目的 (Research Objective):
人類の生存圏拡大を目的とした火星移住計画に注目が高まっているが、既存の化
学ロケットを使用すると火星までの航行に 250 日程度を要するため、乗員への放射
線暴露や閉鎖空間で過ごす精神的負担が問題となる。そこで、火星までの航行を 90
日程度に短縮できる次世代の高速宇宙船が検討されており、候補の一つがレーザー
核融合ロケットである。レーザー核融合ロケットは、核融合燃料にレーザーを照射
する方式の慣性核融合を利用する宇宙船である。核融合反応では単位質量あたりに
発生するエネルギーが化学反応より 7 桁程大きいため、容易に高エネルギープラズ
マが得られる。その高エネルギープラズマを超電導コイルで生成した磁場の力で機
体後方に押し出すことで加速度、即ち推力を得る推進機構が考案されており、磁気
スラストチャンバと呼ばれる。先行研究では、磁気スラストチャンバにおいて高温
プラズマの内部エネルギーを一方向の運動エネルギーヘ変換する原理について理
論計算や数値計算等が行われ、多くの知見が得られてきた。しかしながらその過程
で、将来の課題として手つかずになっている課題の一つに磁力線からのプラズマ離
脱(デタッチメント)がある。磁気スラストチャンバにおいて磁力線は機体の周り
を一周しているため、機体後方に排出されたプラズマが磁力線に捕らわれて一周回
ってしまうと推力が発生しない[ Fig.1]。そこで本研究目的を、磁気スラストチャン
バにおけるプラズマデタッチメントの検証とする。
磁気スラストチャンバでは、高エネルギーのプラズマが磁場中を膨張していく過
程で密度勾配が生じ、プラズマ中に反磁性電流が流れる。反磁性電流の影響で始め
に存在した磁場の形状が変わり、プラズマ中の磁場は弱められる一方、プラズマ外
部の磁場が強められる。やがて、外部の磁場の圧力がプラズマ圧を上回る時点で、
押し返しが始まるため、プラズマ圧と磁気圧の比によって、磁気スラストチャンバ
内部の挙動を整理できると考えられている。そこで、本研究でも、プラズマ圧と磁
気圧に着目し、デタッチメントとの関連を探る。
今年度はコードの完成までに時間がかかりその間にシステムがシャットダウン
したため、使えていない。そのため別の計算機での結果を報告する。

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Fig.2 計算体系と初期磁場形状。プラズマは初期位置(黒円の内側)から膨張する。
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研究成果(Accomplishments

計算コストを削減するために、磁気推カチャンバーから実際の空間スケールダウンを行い、イ
オンと電子の質量比を 100 に設定し、シミュレーションを 2D 計算空間で実行した。

(Particles-in-Cell) シミュレーションコードである EPOCH を使用して計算している。

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EPOCH で

は、イオンと電子の両方が荷電粒子として扱われ、電磁界は有限差分時間領域 (FDTD) 法で解い
ている。
デタッチメントには電場の揺動が大きく寄与することが明らかになった。そこでこの電場揺動
を同定するために、周波数解析を行った。 Fig,3 に電場揺動のスペクトルを示す。。図中の赤線は
同じ点でのプラズマ周波数を示し、電場のピークを示しています。

プラズマ振動の周波数とほぼ

同じであり、プラズマ振動によって電子のデタッチが起こっていることが示唆される結果を得た。
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公表状況( Publications ) :
(口頭)
1. 児 島 富 彦 1), 森 田 太 智 2), 山本直嗣 Plasma Detachment caused by Fluctuating Electric Field in
Magnetic Thrust Chamber of Laser Fusion Rocket, プラズマ核融合学会・年会,23Pp12

2. ...

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