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大学・研究所にある論文を検索できる 「食道胃接合部内腔で発生する高濃度一酸化窒素はRho-ROCK経路の阻害により食道潰瘍の創傷治癒遅延を惹起しBarrett食道発生を促進させる」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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食道胃接合部内腔で発生する高濃度一酸化窒素はRho-ROCK経路の阻害により食道潰瘍の創傷治癒遅延を惹起しBarrett食道発生を促進させる

藤谷 拓 東北大学

2020.03.25

概要

【研究背景】Barrett 食道は胃食道逆流症で傷害された下部食道の重層扁平上皮が円柱上皮に置換されて修復した病態である。この病態から Barrett 食道発生には創傷治癒異常が関与していると考えた。創傷治癒の過程では、間葉系組織の代表的な構成成分である線維芽細胞がα-smooth muscle actin(α-SMA)を発現する筋線維芽細胞へ分化し収縮することにより、創傷面積を縮小する組織収縮が治癒に大きな影響を与える。組織収縮は Ras homolog gene family member A(RhoA)が Rho-associated coiled-coil-forming kinase(ROCK)を活性化し、リン酸化したミオシン軽鎖(myosin light chain: MLC)発現レベルを上昇させることで発生する。近年、胃食道接合部で発生する高濃度一酸化窒素(nitric oxide: NO)が Barrett 食道発生を促進することが報告された。NO は血管筋弛緩作用を有するが、組織収縮や Barrett 食道発生を促進する bone morphogenetic protein 4(BMP4)発現に与える影響は不明である。

【研究目的】NO が食道線維芽細胞の Rho-ROCK 経路と BMP4 発現に与える影響を評価し、食道潰瘍の創傷治癒の観点から Barrett 食道発生の機序を明らかにする。

【研究方法】テロメラーゼ不死化ヒト食道線維芽細胞( telomerase-immortalized human esophageal fibroblasts from a patient with Barrett’s esophagus: BEF-hT)を酸性胆汁酸(pH5.5 400 μM acidic bile salt)と NO(250 μM NOC-9)、ROCK 特異的阻害薬の Y27632 を用いて刺激した。細胞収縮は collagen based cell contraction assay を用いて測定し、リン酸化ミオシン軽鎖(phospho-myosin light chain: p-MLC)発現、α-SMA 発現、BMP4 発現は western blotting と reverse transcription-quantitative polymerase chain reaction(RT-qPCR)を用いて測定した。細胞収縮に重要なストレスファイバー生成は抗 phalloidin 抗体を用いた蛍光免疫染色法で評価した。活性化 RhoA である guanosine triphosphate(GTP)結合型 RhoA 発現と NO による S-ニトロシル化は免疫沈降法とビオチンスイッチアッセイを用いて測定した。細胞増殖能はトリパンブルー色素排除法で測定した。

【研究結果】酸性胆汁酸刺激により細胞収縮、p-MLC タンパク発現、ストレスファイバー生成が増加し、NOC-9 投与によって抑制された。酸性胆汁酸、NOC-9 刺激では共に GTP-RhoA 発現増加を認めたが、NOC-9 投与でのみ S-ニトロシル化 GTP-RhoA 発現を認めた。NOC-9 と Y27632 投与によりα-SMA の mRNA とタンパク発現、細胞増殖能は低下し、BMP4 の mRNA 発現とタンパク発現に加え培養液中の BMP4 濃度は増加した。

【結論】NO が GTP-RhoA のシステイン残基を S-ニトロシル化することで Rho-ROCK 経路を抑制し、組織収縮・筋線維芽細胞への分化と細胞増殖能の抑制を介して創傷治癒異常を来した。また、この経路の抑制が間葉系組織におけるBMP4 を増加させ、Barrett 食道の発生に寄与することが考えられた。

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