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syn置換トリプチセンの合成と応用

吉永, 達郎 YOSHINAGA, Tatsuro ヨシナガ, タツロウ 九州大学

2020.03.23

概要

トリプチセンは、3 つのベンゼン環がバレレン骨格に縮環したプロペラ型分子であり、対称性が高く剛直な分子骨格という特徴から、超分子化学分野や機能性材料科学分野で利用されている。しかし、トリプチセンの合成法はアントラセンとベンザインとの Diels-Alder 反応等いくつかの古典的手法しか知られておらず、置換基の位置選択的な導入は容易でない。特に、syn 置換体(1,8,13 位-三置換体)の位置選択的合成に関する一般法は報告されていない。syn 置換トリプチセンは3つの置換基が同一平面上に等間隔かつ垂直な方向に位置するという特徴をもち、機能性分子の開発に向けたプラットフォームとしての利用が期待できる。このようにトリプチセン含有化合物の機能創出のためには汎用性の高い置換トリプチセンの合成法の開発が必要である。近年、イノラートとベンザインを用いた三連続環化付加反応によるトリプチセンのワンポット合成法が見出され、さらに 3-メトキシベンザインを用いれば、全てのメトキシ基が 9 位の水酸基と同じ側に配置された syn 置換トリプチセンが位置選択的に合成されることが報告され、新たな置換トリプチセンの短工程高選択的合成法の可能性が示された。

本研究では、3-シリルベンザインを用いたトリプチセンの合成について検討し、syn 置換トリシリルトリプチセンの位置選択的合成、および、その各種誘導体化に基づくカゴ型分子の創製に成功した。それに加えて、誘導体化の過程で見出した N-ベンジルアニリンの DMSO を酸化剤に用いた脱ベンジル化反応についても検討した。

第 1 章では、トリプチセンの合成とその利用例について概説し、本研究の背景、目的および意義を論じた。

第 2 章では、3-シリルベンザインを用いた syn 置換シリルトリプチセンの合成とその官能基変換について論じた。トリメチルシリル基をはじめとする種々のシリル基を導入したベンザインをイノラートに作用させたところ、syn 置換シリルトリプチセンが選択的に得られた。合成したトリシリルシリルトリプチセンの X 線結晶構造解析から、シリル基上の置換基同士の立体反発ゆえにベンゼン環に歪みが生じていること、および3つのケイ素原子は5配位ケイ素の性質を持つことが明らかとなった。次に、トリメチルシリル基のハロゲンへの交換を検討したところ、ベンゼン環の歪み解消を駆動力として、導入するハロゲン原子の数を精密に制御することができた。得られた syn 置換ハロトリプチセンを起点として種々のカップリング反応等を試み、アリール基、ビニル基、アルケニル基、アルキニル基、カルボキシ基、ホルミル基を持つ syn 置換トリプチセンの合成に成功した。

第 3 章では、syn 置換トリプチセンを土台とした環状分子およびカゴ型分子の合成について論じた。syn 置換ホルミルトリプチセンとアミノ基を有する syn 置換トリプチセンの縮合反応から、トリプチセン 2 分子および4分子から成るカゴ型分子を合成することに成功した。

第 4 章では、第 3 章の研究過程で見出した DMSO を酸化剤に用いた N-ベンジルアニリンの脱ベンジル化反応について論じた。種々の置換基をもつ N-ベンジルアニリンを触媒量のトシル酸存在下、DMSO 中にて加熱し、生成したイミンを酸加水分解すると、対応するアニリンが高収率で得られることを見出した。さらにその基質適応範囲について精査し、その汎用性について論じた。また、 Kornblum 酸化を基盤として推定反応機構について論じた。

最後に、結論にて本研究を総括した。

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