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大学・研究所にある論文を検索できる 「Synthetic Study on Functionalized Oligosilanes toward Aromatic Silicon Clusters」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Synthetic Study on Functionalized Oligosilanes toward Aromatic Silicon Clusters

Omatsu, Yamato 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23022

2021.03.23

概要

近年、有機ケイ素化学は急速に発展しており、ポリシランのような機能性材料や電子材料を志向した高分子化学が産学問わず様々な研究者に注目されている。このような応用的発展のみならず、基礎化学的にも注目が持たれ、かつては合成不可能とされていたアルケン・アルキンのケイ素類縁体であるジシレン(Si=Si)・ジシリン(Si≡Si)を始めとする含ケイ素不飽和結合化学種の合成・単離も達成されてきている。しかしながら、ケイ素のπ結合に関する物性や機能の多くは未解明のままである。そうした中で、環状π共役化合物(芳香族化合物)の基本ユニットであるベンゼンの完全ケイ素置換体ヘキサシラベンゼンはπ共役化合物として新規物性の発現が期待できる。申請者は、博士後期課程において環状オリゴシラン前駆体を活用した、ヘキサシラベンゼンを含む含ケイ素芳香族化合物の合成を目的とした研究を行った。

飽和ケイ素六員環化合物群(Si6X12)は、ヘキサシラベンゼンの合成前駆体になりうると考えられるが、それらの合成手法には収率の低さや分離精製に手間がかかるなどの問題があるため、簡便かつ高効率な方法の開発が求められている。近年合成が報告されたテトラデカクロロヘキサシラシクロヘキサンジアニオン類([Si6Cl14]2–)は、ケイ素六員環ユニットを含む化合物であるが、その反応性に関する知見はほとんど明らかにされていない。申請者は、[Si6C l14]2–を活用したSi6X12の合成に取り組んだ。種々の検討の結果、[Ph4P]2[Si6Cl14]と塩化アルミニウムとの反応によってSi6Cl12が効率的に合成できることを明らかにした。さらに、[Si6Cl1 4]2–とアリル求核試剤との反応によってSi6Allyl12の合成にも成功し、そのケイ素上のアリル基を定量的にメトキシ基へと変換できることも明らかにした。

次に、トリメチルシリルメチル基と脱離基であるアリール基を導入したケイ素源を用いた環状オリゴシラン合成に取り組んだ。アリール基としてp-メトキシフェニル基を用いた場合にはケイ素4員環および5員環化合物が得られ、その全ての幾何異性体が容易に分離できることがわかった。また、得られたケイ素5員環化合物のTfOHによる脱アリール化反応では、基質として用いる異性体によらず単一のペンタトリフラート体を定量的に与えた。続くハロゲン化反応では、単一の幾何構造を持つペンタハロゲン化体が得られることを明らかにした。このようなポリトリフラートを経由した、環状オリゴシランの完全ジアステレオ選択的な官能基変換は初めての例である。

ハロジシランの還元的脱ハロゲン化反応は、ジシレンや環状オリゴシラン合成において有用である。従来の研究例は、ジシランの二つのケイ素原子上に同一の置換基を有するものが多いが、異なる置換基を配することで特異な反応性の発現が期待できる。申請者は、1,2-ジブロモジシレンのブロモシリレンへの解離反応に着目し、非対称置換ジシランの合成および還元的縮合反応による新規ケイ素クラスターの合成に取り組んだ。種々のシラン類と1,2-ジブロモジシレンとの反応により、それぞれのケイ素上に立体保護基であるTbb基と置換基R (R = Me, Ph, Br)を有する多様な非対称置換ジシランを得た。そして、ペンタブロモジシラン (R = Br)の還元的縮合反応において、新規不飽和アニオン性ケイ素クラスターを得た。X線結晶構造解析により、得られたクラスターはケイ素5員環部位と頂点のケイ素原子からなる五角錐構造を有し、5員環のケイ素原子のうち3つにTbb基を持つことが明らかになった。理論計算による考察から、この新規ケイ素クラスターは頂点のケイ素原子とケイ素5員環部位との間に6つの電子が非局在化した興味深い結合状態を有していることがわかった。

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