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大学・研究所にある論文を検索できる 「地域資源を利用したハウス内の日射量時空間分布の評価および熱動態の解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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地域資源を利用したハウス内の日射量時空間分布の評価および熱動態の解析

松田, 周 MATSUDA, Shuh マツダ, シュウ 九州大学

2020.03.23

概要

日射熱の蓄熱や地場産木材など地域資源を利用した園芸施設の普及を図るためには,いくつかの課題を克服する必要がある。地場産木材を構造材に活用した木骨ハウスでは,日射阻害部材が多いためにハウス内日射減少量の多寡が懸念材料の一つとなっている。日射減少量を明らかにするためにはハウス内日射量時空間分布を計算する必要があるが,複雑な構造を有する園芸施設におけるハウス内日射量の時空間分布を計算した例は少ない。また,日射熱を蓄熱・保温する園芸施設においては保温効果を高めるための内張資材の開閉のタイミングとその燃料削減効果等は生産者にとって重要な情報であり,それらを明らかにするためには熱動態解析が必要になる。そこで,本論文では,算定点を多点化した天空率算定図を活用したハウス内日射量の時空間分の新規評価法を開発し、熱動態解析を試みた。最初に、ハウス内日射量の時空間分布の評価にむけた天空率算定図の算定点多点化を行った。一般的に天空率算定図における算定点数は 1000 点であり,ハウス内日射量の評価には不十分である。そこで,算定点多点化法として倍数法と等差数列法を検討した結果,算定点が比較的均一に配置された方法は等差数列法における公差 6 の場合であった。また,算定点の半径および円周方向の距離の比の算定図内平均値は,数列初期値が 6 の場合に最も 1 に近かった。さらに,等差数列法の初期値を 6,公差を 6 にした場合の形態係数の算出法について検討した。その結果,天空率算定図を用いて任意形状の形態係数を算出する方法は,計算面のグリッド長を小さくしながら天空率算定図の設定点数を増やし,その時の形態係数の変動の大きさや収束傾向を基に形態係数を決定する方法が適していることが明らかになった。

次に,地場産木材を構造材に利用した複雑な構造を有する園芸施設内の日射量について天空率算定図を用いて計算し,実測値との比較を行った。散乱日射量の計算には前述の等差数列法の初期値6,公差 6 を使用した。園芸施設内に入射する直達,散乱および反射日射量をそれぞれ計算し,それらの合計を入射日射量とみなした。その結果,地表面の影の分布および天空率算定図による日射阻害部材の位置図に不合理な箇所は見られなかった。晴天および曇天日における合計および非直達日射量(散乱および構造材反射日射量)の計算値と実測値を比較したところ,良好な一致が確認された。

最後に,日射熱を蓄熱・保温するパイプハウスにおける熱動態解析を行い,その利用例を提示した。上述した方法を,ハウス内各面における形態係数の算出,PO フィルムの入射角別透過率の推定およびハウス内日射量の時空間分布の評価に用い,定常と非定常伝熱を組み合わせた熱動態モデルの妥当性を検証した。その結果,室温,蓄熱水温,地表面温度の Root Mean Squared Error(RMSE )はそれぞれ 2.0,2.5,1.5 ℃,d 値はそれぞれ 0.97,0.70,0.98 であり,良好な結果が得られた。また,このモデルの利用例として,室温,時刻および日射量に基づく内張資材の最適な開閉タイミングを検討した。供試ハウスにおける寒候期の燃料使用期間の設定室温 12 ℃を維持する場合の A 重油使用量を計算したところ,室温に基づく開閉制御(基準制御)では 13 ℃を閾値とする開閉において,最小使用量は 1.543 L m-2(期間合計値)になった。時刻に基づく開閉制御では 8:40 開,15:00閉の場合に最小燃料使用量 1.365 L m-2,日射量に基づく開閉制御では開閉日射量閾値 190 W m-2 の場合に最小使用量 1.287 L m-2 となり,室温に基づく基準制御と比べてそれぞれ 0.178,0.256 L m-2少なかった。また,開閉の閾値の決定法として、燃料使用量や 1 日の日射量を考慮する方法を提示した。

以上要するに,本論文は,等差数列法を用いて多点化した天空率算定図の利用が,ハウス内の日射量の時空間分布および熱動態解析に有用であることを明らかにしたものである。

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