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大学・研究所にある論文を検索できる 「転移性骨腫瘍治療後の生命予後、機能予後、および生活機能に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

転移性骨腫瘍治療後の生命予後、機能予後、および生活機能に関する研究

澤田, 良子 東京大学 DOI:10.15083/0002007070

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名澤田

良子

本研究は、骨転移の手術に関するエビデンスを作成すること、および、治療内容を問わ
ない骨転移患者全体の運動器管理の指標を作成することを目的としている。症例数の少な
い手術に関しては DPC データを用いて、また治療内容を問わない骨転移患者の包括的な運
動器管理に関しては症例が豊富な自験例で検討した。まず研究 1・2 では、本邦の脊椎転移
の手術治療の実態を調査することとし、研究 3 では骨転移患者の終末期の歩行能力につい
て、研究 4 では骨転移患者の就労の実態について調査し、以下のような結果を得た。
研究 1:脊椎転移術後の術後 30 日以内の死亡率は 2.6%で、30 日以内の死亡と関連があっ
た因子は、男性、緊急入院、rapid growth 群、骨以外の遠隔転移であった。これらの因子
を用いて作成したリスクスコアでは、最大点の患者群で術後 30 日以内の死亡率が 16.2%
であり、周術期死亡のリスクを推定する上で有用なツールとなると考えた。
研究 2:脊椎転移術後の自宅退院割合は 57.9%で、高年齢、複数回手術に加え、脊髄損傷
や治療前 ADL の低下が自宅退院を妨げていることがわかり、麻痺が進行して ADL が低下
する前に治療した方が患者の機能予後はよく、自宅退院にも影響すると考えた。
研究 3:脊椎転移患者の死亡 30 日前および 14 日前のトイレ歩行状況について解析したと
ころ、死亡 30 日前に 61.0%、14 日前に 36.5%の患者でトイレ歩行が可能であった。死亡
30 日前のトイレ歩行を困難とする因子は、骨転移キャンサーボード初回介入時の PS 不
良、高度な脊髄圧迫、麻痺であった。脊椎転移の早期発見と早期治療による麻痺の予防
は、終末期の歩行維持にも重要であることが明らかになった。
研究 4:骨転移キャンサーボード初回介入時に行った患者立脚型アンケートと各種臨床デ
ータをもとに、骨転移患者の就労継続有無に関連する因子を検討した結果、就労継続を困
難とした骨転移特有の因子は、下肢や臼蓋などの荷重部転移と溶骨主体の骨転移であっ
た。荷重部に溶骨性転移があると、免荷などの必要性から運動機能が低下しやすく事業場
への移動が困難となりやすいことが就労継続を困難としていた要因と予想された。
以上、本論文は、骨転移の早期発見により適切な時期に適切な治療をすることで患者の
機能予後を改善させ、それが社会生活の維持につながっていると考えられることを示し
た。生命予後のみを追及するのではなく、患者がいかに移動能力や ADL を維持した生活
を長期に送ることができるかという観点の重要性と、骨転移の早期発見・早期介入の重要
性を啓発する意味でも重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士(医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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