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大学・研究所にある論文を検索できる 「リン酸八カルシウム/PLGA複合体(OCP/PLGA)によるラット大腿骨貫通型骨欠損の骨修復に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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リン酸八カルシウム/PLGA複合体(OCP/PLGA)によるラット大腿骨貫通型骨欠損の骨修復に関する研究

大泉 樹 東北大学

2021.03.25

概要

【目的】整形外科領域において、外傷や手術に伴い大きな骨欠損を生じる事があり、それらを効果的に治療するために骨移植が広く一般的に行われている。骨移植には様々な方法があり、近年その中でも人工骨移植が注目されている。人工骨は安全性の確保や患者負担を減らす事が可能であり、骨欠損を補うために最大限の効果が得られる手段と考えられている。リン酸八(オクタ)カルシウム(octacalcium phosphate; OCP)は生体内でハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite; HA)に転換する無機成分HAの前駆物質と報告されており、生体内で吸収性を示すと同時に骨再生を促進する事が報告されており、新しい人工骨材料として期待されている。また、近年では再生医療の現場ではポリ乳酸(Poly-LacticAcid; PLA)とポリグリコール酸(Polyglycolic acid; PGA)の共重合体の乳酸・グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolic acid); PLGA)が注目されている。PLGAは生体親和性の高い極めて安全な材料であることが知られており、医療現場でも古くから使用されている。これまでにOCPとPLGAの複合体による人工骨の報告はなく、新しい人工骨として期待される。本研究ではラット大腿骨の難治性骨欠損モデルにおいて、OCP/PLGA複合体が骨新生に与える影響を検討する事を目的にした。

【方法】OCPは既報の方法で調節し、PLGAを担体としたOCP/PLGA複合体を作製した。複合体は含有するOCPが20%である20% OCP/PLGA複合体と40%である40% OCP/PLGA複合体とOCPを含有しないPLGA多孔体の3種類を作製した。作製した試料の結晶構造や、表面微細構造を観察し分析した。また、規格化したラット大腿骨の骨欠損モデルを使用し、骨新生に与える影響を検討した。作製した欠損孔にPLGA多孔体、OCP/PLGA複合体を埋入し生体反応を放射線学的、組織学的に評価した。放射線学的検討はµCTを用いて評価した。組織学的検討は、欠損孔部の新生骨面積、破骨細胞様細胞数、骨芽細胞数を評価した。なお、破骨細胞のマーカーである酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(tartrate-resistant acid phosphatase; TRAP)陽性の細胞を破骨細胞様細胞と定義し、骨芽細胞のマーカーであるosteocalcin陽性細胞を骨芽細胞と定義した。

【結果】PLGA多孔体、20% OCP/PLGA複合体、40% OCP/PLGA複合体は多様な径の気孔を持った3次元構造を有しており、それらが互いに連通孔を成していた。µCTではPLGA多孔体に比較して、20% OCP/PLGA複合体、40% OCP/PLGA複合体で欠損孔において放射線透過性が低下しており、OCPの用量に依存して有意に放射線非透過性の領域が増加していた。HE染色による新生骨量は4週から8週にかけて増加しており、PLGA多孔体よりもOCP/PLGA複合体で有意に増加していた。TRAP染色では、破骨細胞様細胞数は埋入後4週でOCPの用量に依存して有意に増加しており、埋入後8週では有意に減少していた。Osteocalcin免疫染色では骨芽細胞が4週から8週にかけて有意に増加しており、OCPの用量に依存していた。

【結論】ラットの大腿骨骨欠損モデルにおいて、新規に作製したOCP/PLGA複合体がOCPの用量に依存して骨新生を誘導した。OCP/PLGA複合体は吸収置換性のある、優れた骨補填材になり得ると考えられた。

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