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大学・研究所にある論文を検索できる 「Diagnostic contribution of cytological examination to endobronchial ultrasound-guided transbronchial biopsy for lung malignancies」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Diagnostic contribution of cytological examination to endobronchial ultrasound-guided transbronchial biopsy for lung malignancies

Kajikawa, Shigehisa 梶川, 茂久 名古屋大学

2020.01.07

概要

【緒言】
 肺がんは近年の診断技術の進歩にも関わらず、未だ癌死亡の主たる原因である。気管支鏡による経気管支生検(以下TBB)は肺がんを含む肺疾患の病理学的診断に中心的な役割を担う。超音波を併用した気管支鏡検査が一般的となり、近年、気管支内超音波とガイドシース(EBUS-GS)を併用したTBB(EBUS-GS-TBB)が臨床導入され、普及している。ガイドシースを標的肺病変に挿入することで、超音波プローブで確認した同じ部位に正確に生検鉗子を到達させ、繰り返し生検できるので診断率も高く、既にいくつかの研究でEBUS-GS-TBBの診断的有用性が報告されている。一方で、気管支鏡診断では生検診断の補助として擦過細胞診、気管内洗浄、鉗子洗浄などの細胞診検査を同時に行う事が多い。しかしながらEBUS-GS-TBBにおける細胞診の有用性は明らかでない。本研究ではEBUS-GS-TBBでの生検診断に対する細胞診検査の寄与を後方視的に検討した。

【対象と方法】
 2011年4月から2012年6月の間に名古屋大学病院で行われたEBUS-GS-TBBの266例を診療録から後方視的に解析評価した。悪性腫瘍と診断された症例が137例、良性疾患と診断された症例が32例、97例は診断不能であった。診断不能例の内12例は追跡不能で除外し、少なくとも3年間の経過観察、他の生検法などで35例が良性と診断され、残りの50例が他の生検法で悪性腫瘍と診断された。最終的に悪性腫瘍と診断された187例をEBUS-GS群とした。これに対して、2009年7月から2011年3月の間で313例にEBUS-GSを使用せず通常の経気管支生検(conventional TBB: CTBB)が行われた。このうち130例は悪性と診断、46例は良性疾患、137例が未確診だった。未確診の137例のうち15例は追跡不能であったが、残り122例は他の生検方法などで55例は良性疾患、67例が悪性と診断された。この67例を含めた悪性腫瘍合計197例をCTBB群とした。Fig 1.にシェーマを示す。
 全ての気管支鏡検査は咽頭の局所麻酔としてリドカインの吸入とミダゾラムによる静脈麻酔で鎮静を行った。EBUS-GS群では超音波プローブを通したガイドシースをX線透視下で病変へ誘導。適切な超音波画像を確認後、ガイドシース下で各検査を施行した。TBBと擦過細胞診の後に洗浄細胞診として、生理食塩水20mlを注入、回収した。また、生検の度に生理食塩水で鉗子洗浄し、これを洗浄細胞診とした。CTBB群においても生検、各細胞診検査はEBUS-GS群と同様に行われた。この研究は名古屋大学の倫理委員会の承認を得て行われた。

【結果】
 Table 1に患者背景を示す。両群間で年齢、性別、病変の部位、検査時間に差はなく、病変の大きさのみ有意な差を認めた(EBUS-GS群: 25mm; CTBB群: 33mm, P=0.02)。総診断率はEBUS-GS群で73.3%、CTBB群では66.0%と同等だった。組織診断別の診断率や偽陰性の数も、転移性腫瘍を除いてはEBUS-GS群とCTBB群で差はなかった(Table 2)。両群におけるTBBと各細胞診検査の診断率をTable 3に示す。我々は擦過細胞診、気管内洗浄、鉗子洗浄の三つを細胞診検査として行った。TBB、鉗子洗浄、気管内洗浄では両群で診断率に有意な差はなかったが、擦過細胞診の診断率はCTBB群に比べEBUS-GS群で有意に高かった(52.6% vs. 34.0%, P=0.024)。細胞診のみで悪性と診断された症例はEBUS-GS群で17例(9.1%)、CTBB群で8例(4.1%)であり(Table 4a)、TBB陰性例における細胞診の診断率はEBUS-GS群ではCTBB群よりも有意に高かった(25.4% vs. 10.7%; P=0.022; Table 4b)。細胞診のみで悪性の診断がついた症例の64.7%は擦過細胞診が診断に寄与していた。これらの結果はEBUS-GS-TBBにおいて、細胞診検査、特に擦過細胞診を追加することが、診断率を上げるために重要であることを示している。

【考察】
 過去の報告でEBUS-GS-TBBは高い診断率を示すことが報告されているが、得られる検体がCTBBよりも小さいことから悪性の診断に不十分な時もある。また、鉗子生検では検体の挫滅によって病理診断が難しくなることがあるが、そのような場合には擦過細胞診や洗浄液細胞診などの細胞診検査が診断補助として重要である。通常EBUS-GS-TBB後に続いて擦過や洗浄などの細胞診を行う。しかし、これまでEBUS-GS-TBBでの細胞診検査が気管支鏡診断率を改善するかどうかは明らかになっていなかった。本研究における評価では、EBUS-GS-TBBではCTBBに比較して、細胞診検査のみでがんと診断できた症例数が2倍存在し、特に擦過細胞診での陽性例が大きな割合を占めていた。擦過細胞診は挫滅が少なく良質な検体を得る事ができるが、ガイドシースを使用しない従来の生検法(CTBB)では、生検鉗子と擦過ブラシを同じ気管支の分枝に挿入するのはしばしば困難であった。一方で、EBUS-GS-TBBではガイドシースを病変に挿入したままにするため、生検と擦過が同じ場所で安定して行えるため、擦過細胞診を追加するのに有利であると考えられる。我々は本研究の結果から、EBUS-GS使用下での鉗子生検には、常時、擦過細胞診を加えるべきであると結論した。
 本研究にはいくつかの問題点がある。一つは単施設での後方視的研究であること、二つ目に、EBUS-GS-TBBとCTBBの2つの症例群は無作為割り付けしたものではなく、我々の施設にEBUS-GSシステムが導入された2011年4月以前(CTBB)と以後(EBUS-GS-TBB)で分けたものである。両群の標的病変の大きさはEBUS-GS-TBB群で有意に小さかったが、診断率は同等だった。これはEBUS-GS-TBBがCTBBに比べ小さな肺野病変の診断に優れており、細胞診検査はその高い診断率に重要な役割であることを示唆している。多施設、前向き、無作為化試験がこの試験結果の検証には必要である。

【結論】
 EBUS-GSを使用した気管支鏡下生検では細胞診検査、特に擦過細胞診の追加が有意に診断率を上乗せする。

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