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大学・研究所にある論文を検索できる 「網膜芽細胞腫細胞のp53経路活性化を介した増殖抑制法開発に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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網膜芽細胞腫細胞のp53経路活性化を介した増殖抑制法開発に関する研究

冨樫 敬太 山形大学

2021.03.31

概要

背景:網膜芽細胞腫は最も頻度の高い小児眼内悪性腫瘍である。現在、網膜芽細胞腫の治療法はレーザー治療・冷凍凝固療法・放射線治療・局所化学療法・全身化学療法・眼球摘出術などが行われている。様々な治療法の開発により網膜芽細胞腫は生命予後が良好な悪性腫瘍となったが、現在もなお重症例の眼球温存率は低い。また、化学療法や放射線治療による二次がんのリスクもあり、安全性が高く視機能を温存できるような新規治療法が求められる分野である。今回、ドラッグリポジショニングの手法を用いて網膜芽細胞腫に有効な薬剤スクリーニングを行い、予備実験の結果からパーキンソン病の治療薬として開発されたCEP1347に着目し、網膜芽細胞腫細胞に対するCEP1347の有効性を検討した。

方法:6種類の網膜芽細胞腫細胞株と正常ヒト繊維芽細胞株IMR90を用いてCEP1347による細胞増殖抑制能をWST-8法やトリパンブルー染色法を用いて検討した。さらに、その細胞増殖抑制の作用機序についてもp53経路を中心にウェスタンブロット法を用いて検討した。

結果:網膜芽細胞腫細胞株6種類中5種類でCEP1347による細胞増殖抑制効果を認めた。とりわけCEP1347に感受性の高い網膜芽細胞腫細胞株ではCEP1347処理によって代表的ながん抑制遺伝子p53の活性化及びその代表的な標的遺伝子であるp21タンパクの発現が促進された。また、p53の転写活性に対する阻害薬Pifithrin-αはCEP1347によるp21タンパク発現や増殖抑制能を低下させたことから、CEP1347は網膜芽細胞腫細胞に対してp53経路依存的な増殖抑制能をもつことが明らかとなった。さらに、CEP1347に対する感受性を決定する因子を検討したところ、p53の阻害因子murine double minute 2(MDM2)とmurine double minute 4(MDM4)のうち、MDM4が高発現している網膜芽細胞腫細胞株はCEP1347の感受性が高い網膜芽細胞腫細胞株と一致していた。また、CEP1347の網膜芽細胞腫細胞に対する増殖抑制能とMDM4-p53経路の関連性を検討したところ、MDM4タンパクを高発現している網膜芽細胞腫細胞株はCEP1347によって時間・濃度依存的にMDM4タンパクの発現抑制と連動してp53経路が活性化されることがわかった。

結論:MDM4が高発現している網膜芽細胞腫細胞において、CEP1347はMDM4を抑制しp53経路を活性化させ細胞増殖抑制能を発揮することを明らかにした。将来、CEP1347はMDM4が高発現している網膜芽細胞腫の新規治療薬になりうる可能性が期待される。

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