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Dietary supplement use among Japanese children and adolescents : studies in nutrition epidemiology

石塚, 一枝 東京大学 DOI:10.15083/0002005018

2022.06.22

概要

第1章序文
1.背景栄養は小児の成長・発達に重要である。しかし、摂取が不十分な栄養素があることが示唆されており、食事から足りない栄養素を補うためにサプリメントを使用している子どもは少なくない。

サプリメントの市場は世界規模で、様々な種類のサプリメントがインターネットやスーパーマーケットなどで医師の処方がなくても入手可能である。しかし、サプリメントの多くは効果、安全性が確立されていない。また、適切にサプリメントを使用するためのガイドラインはほとんどない。そこで、1994年にアメリカで、Dietary Supplement Health and Education Actが制定され、サプリメントの栄養成分の表示義務や安全性についての検討を行うようになった。その後、ヨーロッパ、オーストラリアにおいても同様にサプリメントの法律が制定された。しかし、日本ではサプリメントに関する法律は存在せず、行政的な定義が存在しないという課題がある。国内外におけるサプリメントの使用状況及び課題を知ることは公衆衛生政策上重要である。

2.小児のサプリメント使用に関する文献レビュー
国内外における小児のサプリメントの使用状況を知るために、小児のサプリメント使用に関して国内外の文献レビューを行った。小児、サプリメントに関する検索語を用いてPubmed及び医中誌で検索した。

全部で39の研究についてレビューを行った。サプリメントを使用した小児の割合は4-47%であった。マルチビタミン・ミネラルがもっとも多く報告されていた。

サプリメントを使用している小児は、身体活動量が高い、母親の教育歴が高い、という特徴があった。一方、性別に関しては女子に多いという研究と性差はないという研究があり、結果は一致しなかった。また、サプリメント使用の有無と食品からの栄養素摂取を検討した研究は7つ存在したが、いずれも海外の研究で、日本人の研究は存在しなかった。海外の研究では、サプリメント使用者は非使用者と比べて、食品からのビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンDなどのビタミン、カルシウム、鉄などのミネラルの摂取が多かったという報告、これらの栄養素との関連がないという報告があり、研究により結果は一致しなかった。一方、サプリメント使用者の方が非使用者よりビタミン、ミネラルの摂取量が少ないという報告はなかった。

食品群摂取については2つの研究が存在し、野菜や果物、乳製品がサプリメント使用者で多いと報告されていた。これらの研究は、いずれもアメリカで行われていた。日本の研究は存在しなかった。

3.本研究の目的
これまでの研究は主に海外で行われており、日本人の知見に乏しい。サプリメント使用は国によって異なることが示唆されている。そこで、本研究では、下記のとおり2つの調査を用いて日本人小児におけるサプリメントの使用について検討した。
1)サプリメント使用者の社会経済状況(インターネット調査)
2)サプリメント使用者の食事の特徴(学校調査)

第2章日本人小児のサプリメント使用者の社会経済的特徴
1.目的
第2章では、インターネット調査により、サプリメント使用者の社会経済的特徴を検討した。

2.方法
2017年に調査会社に登録している小学生(1年生から6年生)の子どもがいる母親にインターネットを介して調査参加をよびかけた。質問票すべてに回答した4643人について解析を行った。サプリメントの種類を自由記述による商品名、バーコードより特定し、1つ以上のサプリメントを使用した子どもの基本属性、社会経済状況について検討した。

さらに、サプリメントの種類を1)ビタミンまたはミネラルのみを含むサプリメント(マルチビタミン・ミネラル、マルチビタミン、マルチミネラル)、2)ビタミン・ミネラル以外の栄養素を含むサプリメント(アミノ酸・プロテイン、植物由来のサプリメント、魚油など)に分けて、サプリメント使用者の特徴について検討した。

3.結果
6.7%の小児が1つ以上のサプリメントを使用していた。サプリメントを使用した小児は、運動している、世帯収入が高い、母親の学歴が高い、男子という特徴があった。サプリメントの種類ごとにみると、ビタミン・ミネラルサプリメント使用者は、性差がなかったが、ビタミン・ミネラル以外の栄養素を含むサプリメントを使用した小児は、男子に多い傾向があった。サプリメントの種類に関わらず、母親の学歴は高い傾向があった。

第3章日本人小児のサプリメント使用者の食事の特徴

1.目的
先行研究によると、サプリメント使用者の方が非使用者よりも食品からすでにサプリメントに含まれていることが多いビタミンB群、ビタミンCや鉄、カルシウムなどのミネラル微量栄養素の摂取が多い。また、サプリメント使用者は、野菜や果物の摂取が多い、飽和脂肪酸の摂取が少ない。これらのことより、サプリメント使用者(保護者)は、健康意識が高いことが示唆される。

しかし、これまでの研究は海外で行われた研究という限界がある。日本人小児のサプリメント使用者の食事の特徴の研究は存在しない。日本人成人では、サプリメント使用者の方が非使用者よりもビタミンB群、ビタミンC、鉄、カルシウムなどの微量栄養素の摂取が少ないという報告があることから、サプリメント使用者の特徴は海外と異なる可能性がある。

そこで、第3章では、学校調査により、日本人小児のサプリメント使用と食品・栄養素摂取との関連を検討した。

2.方法
2014年に日本全国の14の小学校、12の中学校を対象に、小学校3年生、小学校5年生、中学校2年生に対して調査協力を呼びかけた。サプリメント使用は質問票を用いて評価した。食事摂取は3日間非連続の半秤量式食事記録(平日2日間、休日1日)により評価を行った。本研究では、サプリメント質問票及び食事記録を記入した910人について解析を行った。なお、対象とした小中学校では、学校から提供される学校給食があることより、給食の影響を除くため、平日の給食以外の食事及び休日の食事について、それぞれ検討した。

3.結果
8.8%の小児がサプリメントを使用していた。平日では、サプリメント非使用者と比べて、使用者は野菜の摂取が少なく、菓子類の摂取が多かった。その他の食品に関しては関連を認めなかった。栄養素摂取については、サプリメント非使用者と比べて、使用者は、エネルギー摂取が多く、葉酸などのビタミンB群,ビタミンC,亜鉛、食物繊維の摂取が少なかった。休日では、サプリメント非使用者と比べて、使用者は、乳製品の摂取、ビタミンB群の摂取が多かったが、その他の食品・栄養素に関しては関連を認めなかった。

第4章結論
第2章では、インターネット調査により、日本人小児サプリメント使用者の社会経済的特徴を検討した。その結果、これまでの海外の研究結果で示されたように、サプリメント使用者は、社会経済状況はよいことが示された。第3章では、学校調査により日本人小児サプリメント使用者の食事の特徴を検討した。その結果、休日では、サプリメント使用者は非使用者に比べて、乳製品の摂取、ビタミンB群の摂取が多いものの、平日では、サプリメント使用者は非使用者に比べて野菜、ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、食物繊維の摂取は少なく、菓子類の摂取は多かった。これらのことより、日本人小児では、海外の研究の結果で示唆されたようなサプリメント使用者が健康意識の高い食事を行っているとはいえず、不健康な食事を補うためにサプリメントを使用している可能性が示唆された。

以上のことより、本研究により、日本人小児のサプリメント使用者は社会経済状況が高いが、不健康な食事を補うためにサプリメントを使用している可能性が示唆された。

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