書き出し
大脳新皮質ニューロンの分化過程におけるクロマチン凝集状態の解析
概要
審 査 の 結 果 の 要 旨
氏 名
坂井 星辰
本論文では、大脳新皮質ニューロンの分化過程における性質変化を引き起こすメカニズムにつ
いて解析するため、特定の層のニューロンへと分化するニューロンを標識する実験系を用いて、
分化過程におけるクロマチン凝集状態の変化に注目した。その結果、大脳新皮質下層ニューロン
の分化過程において、神経系前駆細胞の段階で”bivalent”なヒストン修飾が導入されていた領
域のクロマチンが特に脱凝集していることを発見した。さらに、分化過程に転写抑制因子である
Dmrt ファミリー遺伝子の発現が減少することがトリガーとなることでニューロン分化関連遺伝
子の発現を誘導するという新たなモデルを提唱しており、ニューロンの生体内での分化・成熟機
構の解明において重要な研究であると思われる。
また、口頭試問において、論文内容と関連分野について議論を行った結果、博士号を授与する
に十分な資質と見識を備えていると判断した。
よって本論文は博士( 薬科学 )の学位請求論文として合格と認められる。