Epidermal growth factor-immobilized surfaces for the selective expansion of neural progenitor cells derived from induced pluripotent stem cells

概要

論

文

内

容

要

旨

Epidermal growth factor-immobilized surfaces for
the selective expansion of neural progenitor cells
derived from induced pluripotent stem cells
（iPS 細胞由来神経前駆細胞の選択的増殖に有効な
EGF-His 固定化基材の作製）

主指導教員：谷本 幸太郎教授
（医系科学研究科

歯科矯正学）

副指導教員：加藤 功一教授
（医系科学研究科

生体材料学）

副指導教員：加来 真人教授
（医系科学研究科 生体構造・機能修復学）

山内

優佳

（医歯薬保健学研究科

医歯薬学専攻）

神経前駆細胞(NPC)は、中枢神経系を構成するニューロン、グリア細胞、オリゴデンドロサイ
トに分化することが可能であるため、パーキンソン病やアルツハイマー病などの中枢神経疾患の
再生療法にとって有効な細胞供給源であると考えられている。近年、人工多能性幹(iPS)細胞の
樹立に伴い、iPS 細胞由来 NPC をパーキンソン病患者に移植する細胞療法に関して治験も開始
された。このような細胞移植療法の実現には、高純度の NPC を短期間かつ大量に得るための方
法が必要である。そこで本研究では、iPS 細胞から分化誘導した NPC を効率的かつ高純度に得
るための培養基材の設計を目的とした。とくに本研究では、上皮成長因子(EGF)が NPC の増殖
を促進することに着目し、培養基材表面の分子設計を試みた。
金を蒸着したガラスプレート上に、大腸菌発現系を用いて合成した EGF-His を固定化するこ
とで、目的とする培養基材を作成した。
一方、NPC はマウス iPS 細胞よりニューロスフェア培養を用いて誘導し、3 継代目の NPC
を得られた培養基材に播種した。それらの細胞は神経突起を伸展しながら増殖し、NPC に特徴
的な 2 次元細胞ネットワークを形成し、蛍光免疫染色を行ったところ、99.2％の細胞で NPC マ
ーカーである nestin の発現が認められた。
以上のように、EGFR を発現する NPC は、基材表面に固定化された EGF-His との相互作用
を介して基材上に選択的に捕捉され、その後、EGFR の活性化により NPC の増殖が促進される
ものと考えられる。よって、EGF-His 固定化基材は、iPS 細胞由来 NPC の効率的な増殖に有効
であると結論する。