合成生物学と合成化学の融合による有用物質生産システムの開発と事業化
概要
先進諸国における少子高齢化社会、途上国における急激な人口増加や世界的な気候変動に伴う食糧不足・資源枯渇といった問題が顕在化してきている。こうした問題を解決するために、人々や社会の健全な発展に貢献できる製品・サービスのニーズが高まっており、イノベーションが期待されている分野である。
本研究では、解決策の一つとなりうるモノ作りに対して科学技術上のブレークスルーとなる研究開発を行い、そこから導出されるイノベーション・アイデアを創出し、その実現に向けたイノベーション・ストラテジーを立案する。
具体的には、モノ作り技術として、合成生物学と合成化学の融合による有用物質生産システムを提案し、そのプロトタイピングの位置づけで先端研究テーマを実施し、その有効性を実ίϊする。さらに、これまでのバイオインダストリーや先行するバイオテックの分析 を通して、バイオテクノロジーを活用したモノ作りにおいて解決すべき課題を明確にし、本システムをそれらの解決策と統合する形でイノベーション・アイデアを示す。さらに、そのアイデアを実検証するための会社(新会社)を設立し、具体的な事業コンセプトや運
用体制を含む4つの戦略(技術、事業、知財、財務)を練り、実行するための計画を立てることを目的とする。
本論文は8章で構成され、各章は以下の概要にっいて詳細に述べる。
第1章の序章は、本研究のテーマである「合成生物学と合成化学の融合による有用物質生産システムの開発と事業化Jを掲げるに至った背景について触れる。
第2章では、イノベーション・アイデアの基となるソリューション・コンセプトのプロトタイプとして実施した先端研究テーマにっいて詳細に述べる。具体的には、研究テーマめ位置づけや計画、学術論文をベースとする研究内容、研究成果を社会実装するための取組みについて記述する。
第3章は、先端研究テーマで実施したプロトタイピングがどのようなブレークスルーとなるかを客^^な観点も含めて整理し、その技術に基づく独自のイノベーション・アイデアを立案する。
第4章の技術戦略では、ビジョンを実現していくために策定した、イノベーション・アイデアを具現化するための原動力となるテクノロジー・プラットフォームを、新会社がどのように形成していくかについての戦略を立案する。さらに、継続的な成長に重要となる、.技術ロードマップや研究開発体制にっいて計画する。
第5章の事業戦略は、外部環境分析と内部環境分析、さらに先行する競合企業のビジネスモデル分析を通して、新会社が目指すべきビジネスモデルを検討する。さらに、モノ作りに貢献する企業として製品パイプラインを設定し、実現に向けたスケジュールを計画する。
第6章の知財戦略では、新会社がどのような知財戦略で自社の価値を高め、他社との差別化を図っていくかについて考える。