リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Antimicrobial adhesive polyurethane gel sheet with cetylpyridinium chloride-montmorillonite for facial and somato prosthesis fastening」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Antimicrobial adhesive polyurethane gel sheet with cetylpyridinium chloride-montmorillonite for facial and somato prosthesis fastening

中守 貴一 広島大学

2022.03.23

概要

腫瘍,炎症,外傷,先天奇形などにより欠損した体の部位を補綴し,形態や機能を回復する装置として,エピテーゼ(顔面、耳介など)やソマトプロテーゼ(義指,義手,義足,人工乳房など)がある.成型材料には,医療用シリコン樹脂が最も広く用いられている.しかしながら,シリコン樹脂で成型されたエピテーゼ・ソマトプロテーゼであっても,欠損部の皮膚との境界においてその可動性を追従できないことから,シリコン接着剤を使用せざるを得ない.接着剤の使用において,①接着剤を皮膚に残さないためにリムーバー剤を用いて除去する煩雑さ,②皮膚炎を生じる(皮膚保護被膜剤が用意されているものの接着力を低下させる),といった問題点が指摘されている.すなわち,接着剤のこれらの問題点を解決する新しいコンセプトの代替品を開発することが急務である.そこで,シリコン樹脂と皮膚の両者に対して粘着性を有し,さらに,皮膚炎を予防するために抗菌性を付与したポリウレタンゲル粘着シートを開発することとした.本研究の目的は,ポリウレタンゲル粘着シートに有機無機複合型抗菌剤「塩化セチルピリジニウム(CPC)担持モンモリロナイト(以下,CPC-Mont)」を配合した試作品について,CPC徐放特性,抗菌活性,皮膚刺激性およびシリコン樹脂に対する粘着性能を評価することで,抗菌性ポリウレタンゲル粘着シートの有用性を明らかにすることとした.

実験0抗菌性ポリウレタンゲル粘着シートの試作
ポリウレタンゲルベース樹脂(成分:99.6wt.%ポリオール,0.4wt.%その他;規格H00;Exseal,美濃)に,CPC-Montを各2,5,10,15wt.%配合・混和し,200mm四方,厚さ1mmのモールドに填入,厚さ100µmのポリウレタンフィルムをコアとして挿入し,100℃で1時間重合して,抗菌性ポリウレタンゲル粘着シートを試作した(以下,U-2,U-5,U-10,U-15).また,CPC-Montを配合しない粘着シート(アスカーC0硬度)をコントロールとした(以下,U-0).

実験1試作品表面におけるCPC-Montの分布とCPC徐放特性について
各試作品表面におけるCPC-Montの分布を3DrealsurfaceviewmicroscopeVE-8800s(KeyenceJapan,大阪)を用いて2部位の画像(×500)を取得した.次に,画像処理ソフトウェアImageJver1.53g(NIH,MD,USA)を用いて1画像につき10関心領域(ROI)のCPC-Montの表面占有率(%)を測定し,その平均値を算出した.CPC徐放量の測定には,各試作品より直径約64mm,厚さ1mmの円板状に成型した1試料を用いた.試料をペトリディッシュの底部に貼付,10mL蒸留水を注入,37℃で24時間振とう後,ポリプロピレンチューブに溶液を回収する工程を7日間繰り返した。回収溶液は,分光光度計UV-3100(PC)S(Shimadzu,京都)を用いて波長259nmで吸光度を測定し,検量線よりCPC徐放量(mg/cm2)を定量した.以上より,CPC徐放量はCPC-Montの表面占有率と有意に直線回帰したことから(P<0.05),CPC徐放特性は表在性CPC-Montに依存することが明らかとなった.

実験2抗菌活性について
JISZ2801:2012/ISO22196:2011に準拠した抗菌試験には,各試作品より50mm四方,厚さ1mmに成型した3試料を用いた.被検菌にはStaphylococcusaureus(NBRC12732)およびCandidaalbicans(NBRC1594)を選択し,試料の被検菌への暴露を0(5~20秒),1,7日とした.なお,コントロールにはポリエチレンフィルムを用いた.抗菌活性の判定には培養液中の生菌数(CFU/mL)を用い,0.1mL培養液中の生菌数が<101の場合に「菌の検出なし」として殺菌効果とした.以上より,U-5以上の試作品は暴露0日でS.aureusに,暴露1日でC.albicansに殺菌効果を示した。

実験3皮膚刺激性について
化学物質に関する経済協力開発機構(OECD)ガイドラインに準拠した皮膚刺激性試験には,ヒト正常表皮角化細胞から構成されたヒト皮膚3次元モデルEpiDerm™(EPI-200,MatTek,MA,USA)を用いた.また,試験には,各試作品より直径6mm,厚さ1mmの円板状に成型した9試料を用いた.試料への暴露は60分とし,リン酸緩衝生理食塩水(PBS)での細胞生存率を100%とすることで,試料の細胞生存率が>50%の場合に「非刺激性」と判定した。以上より,全ての試作品は,「非刺激性」であった.

実験4シリコン樹脂に対する粘着性能について試作品のシリコン樹脂に対する粘着性能の評価には,ユニバーサル試験機EZ-SX(Shimadzu,京都)を用いてプローブタック試験を行った.直径10mm,厚さ3mmのシリコン樹脂(Exafastregulartype;GC,東京)を上部ロードセルに,試作品を下部テーブルに固定し,クロスヘッドスピード0.05mm/sで2,000mNまで圧縮,保持時間2s,引張りのストロークにより粘着力(kPa)を測定した.なお,試作品上の10点(測定間距離30mm以上)について測定し,平均値を算出した.以上より,コントロールであるU-0の粘着力(19.6±2.0kPa)の78.1%のU-2,74.0%のU-5および69.4%のU-10間には有意差は認められなかったが(P>0.05),42.9%のU-15は有意に小さい値を示した(P<0.01).

以上より,CPC徐放特性,抗菌活性,皮膚刺激性およびシリコン樹脂に対する粘着性能を総合的に評価した結果,5~10wt.%CPC-Montを配合した試作品が,ポリウレタンゲル粘着シートの候補として有用であることが示唆された.

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る