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大学・研究所にある論文を検索できる 「性交・性欲および勃起障害が日本人高齢者の全死亡リスク、機能障害リスクに及ぼす影響」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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性交・性欲および勃起障害が日本人高齢者の全死亡リスク、機能障害リスクに及ぼす影響

田中 瞳 東北大学

2021.03.25

概要

性交は人間の健康に肯定的な影響を与える要因のひとつであり、生殖行動であると同時に心身の満足と密接に関連し、全般的な幸福と関連している。性交に影響する性機能障害は複数の要素をまたぐ問題であり、性機能障害は男女ともに生活の質に影響を与えていることから、高齢者においても見過ごすべきではない。また性交は頻度が多いほど死亡リスクを低下させることが複数報告されているが、日本人を対象としたものはなく、性交が日本人高齢者にもたらす効果は明らかにされていない。本研究はこれまで報告がなかった日本人高齢者の性交・性欲および勃起障害の実態を明らかにし、15年間の追跡データをもとに性交・性欲が、重症勃起障害の有病率と、これらが全死亡リスク及び機能障害リスクに及ぼす影響と要因を検討したものである。

 鶴ケ谷プロジェクトの2003年をベースラインとし、性交頻度、性欲、勃起機能(男性のみ)、年齢、生活習慣、既往歴、認知機能、うつ状態、身体機能、服薬状況、家庭血圧値、血液データなどを観察し、要介護認定に係る情報(死亡日、介護保険の初回認定日)を15年間追跡した。死亡リスク、機能障害発生リスクへの影響について810名(男性388人、女性422人)を対象に評価した。性交、性欲、勃起障害の有病率の実態把握にはt検定およびχ2乗検定、死亡リスクおよび障害発生リスクへの影響と影響要因の解析にはCox比例ハザードモデルを用いた。p値は0.05未満を有意とした。

 ⽇本⼈⾼齢者の性交ありの割合は男性17.5%、⼥性5.9%、性欲ありの割合は男性46.4%、⼥性3.5%、勃起障害の有病率は96.5%であった。多変量解析の結果、⽇本⼈⾼齢者において性交と性欲は男⼥とも死亡リスクおよび機能障害発⽣リスクに影響していなかった。重症勃起障害は未調整モデルでは重症勃起障害ではない群に⽐べて死亡リスクがハザード⽐HR=2.06(95%CI, 1.45-2.93)と有意に⾼かった。全調整モデルではHR=1.71(95%CI, 1.15-2.54)で、死亡リスクに有意に影響があった共変量は、重症勃起障害の他に、年齢が⾼いことHR=1.08(95%CI, 1.03-1.13)、喫煙していることHR=1.99(95%CI, 1.34-2.98)が死亡リスクを上げ、アルブミン値が⾼いことHR=0.50(95%CI, 0.27-0.95)、歩⾏速度が速いこと(10メートル最⼤歩⾏速度)HR=0.40(95%CI, 0.19-0.88)が死亡リスクを低下させる有意な因⼦であった。機能障害リスクは未調整モデルでHR=1.70(95%CI, 1.29-2.25)、全調整モデルでHR=1.47(95%CI, 1.08-2.00)で、重症勃起障害の他に年齢が⾼いことHR=1.46(95%CI, 1.08-1.99)、喫煙していることHR=2.01(95%CI, 1.43-2.83)が障害発⽣リスクを上げ、アルブミン値が⾼いHR=0.52(95%CI, 0.31-0.88)ことが障害発⽣リスクを低下させる有意な因⼦であった。感度分析の結果は上記と同様であり、勃起障害について量反応関係を解析した結果、死亡リスクと機能障害リスクの両⽅に対して因果関係を持つことが⽰された。既往疾患によってサブグループ解析を⾏った結果、⾼⾎圧症は重症勃起障害と死亡・機能障害発⽣の交絡因⼦であり、重症勃起障害による死亡リスクHR=2.02(95%CI, 1.27-3.23)、機能障害リスクHR=1.65(95%CI, 1.16-2.35)とリスクを⾼めることが明らかになった。

 結論として、日本人高齢者の性交あり・性欲わりの割合は男女とも世界の他地域の報告に比べて低く、性交と性欲が死亡率と障害のリスクに及ぼす影響は、様々な要因を考慮しても有意ではなかった。勃起障害の有病率は世界に比べて高く、重度勃起障害は、全死亡および機能障害の独立した危険因子であった。高血圧症は重度勃起障害が全死亡と障害発生リスクを高める可能性を示していた。

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