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Pharmacological and genetic inhibition of translocator protein 18 kDa ameliorated neuroinflammation in murine endotoxemia model

儀賀 普嗣 広島大学

2021.03.23

概要

学 位 論 文 全 文 要 約
Pharmacological and genetic inhibition of translocator
protein 18 kDa ameliorated neuroinflammation in murine
endotoxemia model
(Translocator protein 18 kDa の薬理学的および遺伝的阻害
はマウス内毒素血症モデルにおける神経炎症を改善する)
SHOCK, 2020, in press.
Giga, Hiroshi*; Ji, Bin†; Kikutani, Kazuya*; Fukuda, Shuji*;
Kitajima, Takashi‡; Katsumata, Seishi‡; Matsumata, Miho§;
Suhara, Tetsuya†; Yamawaki, Shigeto||; Shime, Nobuaki*;
Hosokawa, Koji*; Aizawa, Hidenori§

Department of Emergency and Critical Care Medicine, Graduate School of Biomedical and Health

*

Science, Hiroshima University


National Institute of Radiological Sciences, National Institutes for Quantum and Radiological

Science and Technology, 4-9-1 Anagawa, Inage-ku, Chiba 263-8555, Japan


§

Discovery Research Laboratories I, ONO Pharmaceutical Co., Ltd

Department of Neurobiology, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima

University
Brain, Mind and KANSEI Sciences Research Center, Hiroshima University, 1-2-3 Kasumi,

||

Minami-ku, Hiroshima, 734-8553 Japan

敗血症関連脳症 (SAE) は,直接的な中枢神経系 (CNS) 感染に起因しない,敗血症に
関連するびまん性脳機能障害と定義されている.SAE は,せん妄から昏睡まで幅広い重症度の
意識障害を引き起こす.また,敗血症の診断基準を満たさないほどの急性期の軽度意識障害から
長期の認知機能障害に至るまで長期間にわたり影響を与えることがわかっている.SAE の発症
機序は不明であり,早期診断法や予防および治療介入の方法の開発が望まれている.
これまでの研究で,全身炎症で活性化したミクログリアが,TNF-α,IL-1β 等の炎症誘発性メ
ディエーターの放出を引き起こすことや敗血症関連せん妄において重要な役割を果たすことが
報告されており,ミクログリア活性化の分子メカニズムを解明することは SAE を理解する一助
となる可能性がある.また,トランスロケータータンパク質 18kDa(TSPO)は,サイトカイ
ン放出など炎症に関与するミトコンドリアの膜タンパク質で,機能について不明な点が多いが,
活性化ミクログリア等で発現が増加することから CNS の炎症バイオマーカーとして注目を集め
ている.
この研究では,TSPO が SAE における神経炎症を引き起こすと仮定し,マウス内毒素血症モ
デルを用いて,脳内サイトカイン発現,ミクログリア活性および自発運動活性を調べ,TSPO の
SAE 病態への関与を明らかにすることを目的とした.
SAE の動物モデルは確立していないが,過去の研究をもとに,再現性が高いとされるリポ多
糖 (LPS)によるマウス内毒素血症モデルを用いた.マウスとしてはオスの C57BL / 6J を選
択し,薬理学的阻害の方法として TSPO アンタゴニスト ONO-2952(ONO)を,遺伝的阻害の
方法として TSPO ノックアウトを用いた.
8〜12 週齢の野生型マウスには LPS もしくは同量の生理食塩水を腹腔内投与した.過去の研
究をもとに,腹腔内投与の 4 日前から TSPO アンタゴニストである ONO-2952(ONO)もしく
はその vehicle(Veh)を投与した.8〜12 週齢の TSPO ノックアウトマウス(TSPOKO)には
LPS 腹腔内投与を行った.これらの組み合わせで,Veh + Saline 群,Veh + LPS 群,ONO + LPS
群,TSPOKO + LPS 群の 4 群にわけ,定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)
,免疫染色,腹腔
内投与前後のオープンフィールド試験による行動実験の結果を比較した.
代表的な炎症性サイトカインと TSPO の発現の関係を調べるために行った qPCR により,LPS
投与は海馬における TNF-α,IL-1β,TSPO の発現を有意に増加させることがわかった.ONO
投与は,TSPO 発現には影響を与えず,TNF-α,IL-1β の発現を有意に減少させた.TSPOKO
では TSPO 発現は確認できず,TNF-α の発現が有意に減少していた.
LPS に よ る ミ ク ロ グ リ ア が 活 性 化 と TSPO 阻 害 の 影 響 を 調 べ る た め に , Ionized
calcium-binding adapter molecule 1(Iba1)の免疫染色を行い,海馬における Iba1 の観察お
よび蛍光強度定量化を行い,その強度をもとにミクログリアの活性化を判断した.LPS 投与で
ミクログリア活性は有意に増加していた.ONO 投与は,LPS によるミクログリア活性を有意に
減少させた.また,TSPOKO でも LPS によるミクログリア活性は有意に減少していた.
LPS による TSPO 発現の局在を調べるため,TSPO と Iba1 の 2 重免疫染色を行い,海馬に
おける TSPO と Iba1 を観察し,蛍光強度を定量化した.LPS を投与しない状態では,TSPO は

ミクログリアでもわずかに発現が観察されるものの,主に血管内皮細胞に局在していた.LPS
投与により,活性化ミクログリア内の TSPO 発現の有意な増加が観察された.ONO 投与は,活
性化ミクログリア内の TSPO 発現を有意に減少させた.TSPOKO ではミクログリア内外を含め
TSPO の発現を確認できなかった.
せん妄は SAE の最軽症の症状のひとつであるとされており,ヒトのせん妄は動物モデルの
sickness behavior に類似していることが以前の研究から明らかになっている.TSPO 阻害によ
る sickness behavior の変化を調べるため,LPS 注射前と注射後 24 時間におけるオープンフィ
ールドテストでの自発的活動性の変化を比較した.LPS 投与で自発的活動性は有意に低下した
が,薬理学的阻害および遺伝的阻害は自発的活動性低下を有意に抑制した.
以上から,TSPO 阻害は全身性炎症によって誘発されるミクログリアの活性化,炎症誘発性サ
イトカイン産生,行動実験における自発的活動性低下を有意に抑制することがわかった.本研究
には,内毒素血症モデルを用いた研究であること,観察部位が海馬のみであること,オープンフ
ィールドテストのみでは SAE の行動変化を完全にモデル化できているとはいえないこと,など
の課題があるが,これらの結果は TSPO が SAE マウスモデルで重要な役割を果たしていること
を示唆しており,今後,他の敗血症動物モデルやヒト敗血症において TSPO 活性をモニタする
ことで,SAE の分子メカニズムの理解を深めることができると考えられた.

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