Effects of H3K27 Demethylase Inhibitor on Renal Fibrosis.
概要
[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名佐藤 大
本研究はヒストン脱メチル化酵素である GSKJ4 の腎線維化に対する影響を調べるため
に、ラット線維芽細胞である NRK49F を用いた線維化誘導実験と UUO によるマウス線維
化モデルを用いて GSKJ4 の影響を評価した実験であり、以下の結果を得ている。
1.
NRK49F において、TGF-β は線維化関連遺伝子を誘導することを確認した。
2.
TGF-β による線維化関連遺伝子の誘導は、GSKJ4 投与により改善し、濃度依存的で
あることを確認した。
3.
RNA-seq による網羅的な解析により、TGF-β 刺激の NRK49F に対する影響と TGF-β
刺激に加え GSKJ4 を投与した際の変化を調べた。
4.
遺伝子発現解析により、TGF-β 刺激が GSKJ4 の投与で緩和される遺伝子群を同定
し、パスウェイ解析で、線維化に関連する経路が有意に活性化されていることを示
した。
5.
マウス UUO モデルを用いて、術後に GSKJ4 を投与することにより、影響を調べ
た。線維化関連遺伝子の増減、組織標本による線維化面積の増減について、UUO
側と対側に有意な差は認めなかった。
以上、本論文は GSKJ4 が線維化を誘導した NRK49F に対して、腎保護的に働くことを明
らかにした。CKD の治療介入点として GSKJ4 が新たな戦略となりうることを示し、今後
の治療発展にも貢献すると考えられ、学位の授与に値するものと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。