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大学・研究所にある論文を検索できる 「Ion transport properties and electrochemistry of Li-salt solvates」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Ion transport properties and electrochemistry of Li-salt solvates

宇賀田 洋介 横浜国立大学 DOI:info:doi/10.18880/00014823

2022.11.24

概要

本研究は、リチウム塩と極性溶媒から構成される溶融状態の溶媒和物中におけるイオンの輸送過程とリチウム系二次電池の電気化学反応を系統的に理解することを目的とした。リチウム塩を溶媒に3mol dm–3以上の高濃度で溶解させると、全ての溶媒分子とアニオンがLi+イオンに配位し、リチウム塩と溶媒が一定の化学量論比で溶媒和物を形成する。常温で液体となる溶融リチウム塩溶媒和物は、リチウム系二次電池の電解液として優れた物理化学的性質を示すことから注目されている。これまでに様々な溶媒を用いた溶融リチウム塩溶媒和物について検討がなされており、その中でも環状スルホン系溶媒であるsulfolane(SL)を溶媒とした溶融リチウム塩溶媒和物においては、Li+イオンが配位子を次々と交換しながら伝導するホッピング伝導機構が発現し、高いLi+イオン輸率を実現できることが見出されている。本研究では、はじめにSLを溶媒とした様々なリチウム塩の溶媒和物の基礎物性について検討したところ、アニオンの構造やルイス塩基性が溶媒和物の構造とイオン輸送特性に大きな影響を与えることが明らかになった。NMRを用いた溶融溶媒和物中における配位子(溶媒およびアニオン)の回転相関時間の定量解析を行った結果、配位子の回転運動がLi+イオンのホッピング伝導機構の発現に関与していることが示唆された。種々のスルホン系溶媒を用いた溶融リチウム塩溶媒和物において、溶媒の分子構造が輸送特性に与える影響に関しても調査した。その結果、分子サイズが小さいスルホン系溶媒を用いた溶融溶媒和物の方が粘度は低くなり、イオン伝導度が高くなる傾向が見られた。さらに、非環状スルホン系溶媒と比較して、環状スルホン系溶媒を用いた溶融リチウム塩溶媒和物中ではLi+イオンの配位子交換によるホッピング伝導が促進され、Li+イオン輸率が高くなるという結果を得た。次に、溶融リチウム塩溶媒和物中におけるリチウム系二次電池用電極材料の電気化学反応について検討を行った。リチウム系二次電池の代替負極材料として注目されているリチウム金属の析出・溶解反応の可逆性を向上させるには、リチウム金属表面に電解液由来の保護被膜を形成し、電解液の還元分解の抑制とリチウムの析出形態の制御を両立することが重要であり、溶融リチウム塩溶媒和物においては被膜の組成と性質がアニオン種に大きく依存するという知見が得られた。また、溶融リチウム塩溶媒和物中でのLiCoO2薄膜電極の電極反応速度の解析を行ったところ、従来濃度の電解液と比較して高いリチウム塩濃度に起因して電極/電解液界面における電荷移動速度は大きくなることがわかった。最後に、ジニトリルを溶媒としたリチウム塩溶媒和物の基礎物性と電気化学特性について検討した。溶融状態のリチウム塩-ジニトリル溶媒和物中においても、スルホン系の溶媒和物と同様に溶媒とアニオンが複数のLi+イオンに配位することでネットワーク構造を形成し、このネットワーク構造中をLi+イオンが配位子交換しながら伝導することを見出した。また、リチウム塩-ジニトリル溶媒和物はリチウム系二次電池の電解液として適用可能であることを実証した。本研究により、溶融リチウム塩溶媒和物の構造、イオン輸送および電気化学特性が明らかとなり、リチウム系二次電池の高性能化に向けた電解液設計において極めて有用な知見が得られた。

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