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大学・研究所にある論文を検索できる 「Sodium Secondary Batteries Utilizing Multi-Layered Electrolytes Composed of Ionic Liquid and Beta-Alumina」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Sodium Secondary Batteries Utilizing Multi-Layered Electrolytes Composed of Ionic Liquid and Beta-Alumina

Wang, Di 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24925

2023.09.25

概要

( 続紙 1 )
京都大学

博士(エネルギー科学)

氏名





Sodium Secondary Batteries Utilizing Multi-Layered Electrolytes
Composed of Ionic Liquid and Beta-Alumina
論文題目
(イオン液体とベータアルミナからなる多層電解質を用いたナトリウ
ム二次電池)
(論文内容の要旨)

本論文は、固体電解質であるベータアルミナとイオン液体の多層構造を有する電解質を
用いることにより、室温から中温度領域で作動可能なナトリウム硫黄電池を高性能化、高
出力化し、また、ベータアルミナと酸化耐性の高いイオン液体との組み合あわせにより、
高い酸化還元電位をもつ正極活物質を用いたナトリウム電池の作動を可能にして、資源的
に制約のあるリチウムイオン電池を代替する新しい二次電池の開発を目指した研究であ
り、7 章 か らな っ ている 。
第 1 章 は 序 論で 、電気 化 学 的エ ネ ルギ ー 貯蔵 シ ス テム に つい て の一 般 論 を述 べ
た 後 、ナ ト リウ ム 二次電 池 と して 、ナ ト リウム イ オ ン電 池 とナ ト リウ ム 硫 黄電 池
に つ い てこ れ まで の 研究 を 概 説し て いる 。また 、電 池用 電 解 質と して 、有 機電 解
液 、イ オ ン液 体 、固体電 解 質 につ い てま と めて い る 。さら に 本研 究の 必 要 性 、目
的 お よ び各 章 の内 容 につ い て 述べ て いる 。
第 2 章 で は 、本研 究で の 実 験方 法 全般 に つい て 述 べて い る 。特 に、本 研 究で 設
計 、製 作し た チ ュー ブ型 、平 板型 、コ イン 型な ど の 電池 の 構造 や その 作 製 法に つ
い て 詳 細に 記 述し て いる 。ま た 、各 種 試料 の機 器 分 析法 、電 池の 特性 や 性 能試 験
に 関 す る電 気 化学 測 定法 に つ いて 述 べて い る。
第 3 章 か ら 第 6 章 が本 研 究 の本 論 にあ た る部 分 で あり 、第 3 か ら 5 章 で は ベ ー
タ ア ル ミナ -― イ オ ン液 体 二 層電 解 質を 用 いた ナ ト リウ ム ―硫 黄 電池 、 第 6 章で
はベータアルミナと耐酸化性の高いイオン液体の二層電解質を用いた高電圧ナ
ト リ ウ ムイ オ ン電 池 の研 究 に つい て 述べ て いる 。
第 3 章 で は 、ベータアルミナと Na[OTf]-Cs[TFSA] イオン液体([OTf]-、トリフルオ
ロメタンスルホン酸またはトリフレート、[TFSA]-、ビス(トリフルオロメタンスルホニ
ル)アミド)からなる二層電解質を備えた新しい中温作動型 Na-S 電池について述べてい
る。Na[OTf]― Cs[TFSA]イオン液体は、広い電気化学窓、および優れた熱/化学的安定性
を特徴としており、この電池の正極剤によく適合することを見出した。[OTf]- は、特に
ポリスルフィドの溶媒和特性が高く、イオンの輸送特性を向上させることを明らかにし
た。Na+ 伝導体である ベータアルミナを使用した Na/ベータアルミナ/Na 対称セルでの
400 サイクルの析出・溶解試験によって信頼性が証明されており、これにより、溶解し
た多硫化物の負極への移動が回避され、サイクル安定性が保証されることを明らかにし
た。ベータアルミナとイオン液体の二層電解質の適用により、中温作動型 Na-S 電池は
0.1 mA で 795 mAh (g-S)-1 (電流密度: 0.13 mA cm-2、33.3 mA (g-S)-1)という高い可逆容量

を示した。1000 サイクルで平均容量 381 mAh (g-S)-1、0.5 mA で平均クーロン効率
100%(電流密度:0.64 mA cm-2、166.7 mA (g-S)-1)であり、高い S 利用率が得られている。
第 4 章 では 、 Na[OTf]-Cs[TFSA]電解質の物理化学的および電気化学的特性を詳しく
調べ、中温作動型 Na-S 電池の性能に対する Na[OTf] 組成の影響について検討を行っ
ている。 モル比を 20:80、30:70、および 40:60 に変化させた Na[OTf]-Cs[TFSA] イ
オン液体電解質では、Na[OTf] 分率の増加に伴って粘性率が増加し、イオン伝導率が低
下する。電気化学測定では、Na[OTf] の分率の増加に伴い、ポリスルフィドの酸化、還
元容量が減少することが明らかになった。溶解度試験では、Na[OTf]の増加に伴って中間
体ポリスルフィドの溶解度が低下することも判明した。これらの結果は、Na+ と Cs+ カ
チオンの比率の変化もポリスルフィドの溶解度に影響を与え、溶解度と物質移動のバラン
スが 中温作動型 Na-S 電池の性能向上にとって重要であることを示唆している。
第 5 章 で は 、[C2C1im][TFSA] および [C4C1pyrr][OTf]イオン液体(C2C1im:1-エチ
ル-3-メチルイミダゾリウム、C4C1pyrr:N-ブチル-N-メチルピロリジニウム)を使用した
1 種類のアニオンで構成される電解質が中温作動型 Na-S 電池に及ぼす影響を評価して
いる。 [C2C1im][TFSA]を利用したセルの初期容量は、1 mA でわずか 17 mAh (g-S)-1 (電
流密度: 1.27 mA cm-2、20 mA (g-S)-1) であった。 ポリスルフィドイオンに対する[TFSA]


の溶媒和能力が弱く、さらに充放電の可逆性が低く電解質の分解が示唆された。ポリス

ルフィドの溶解性に優れた[C4C1pyrr][OTf]は、初期放電容量を 1 mA で 632 mAh (g-S)-1
を超えるまで大幅に向上させた (電流密度: 1.27 mA cm-2、200 mA (g-S)-1)。第 3 章にお
ける [OTf]- が 20 mol% のイオン液体と比較して、容量の低下が認められた。光学的観
察により、150℃で活物質との反応による電解質の分解が起こることが明らかになり、カ
チオン選択の重要性が示唆された。
第 6 章では、高純度の[DEME][PF6] イオン液体の合成に成功し、高電圧動作における
優れた酸化安定性を実証している。ベータアルミナと正極の間の界面層として、イオン液
体は固体間の接触を改善する。同時にベータアルミナの酸化限界を拡張し、高電圧材料で
ある Na3V2(PO4)2F3 (NVPF) との使用を可能にした。このセルは、NVPF の重量ベース
で 3.8 V の平均電圧と 416 Wh kg-1 の比較的高いエネルギー密度を実現し、1500 サイ
クルを超えて非常に安定したサイクル性能を示し、107% という高容量維持率と 99.3%の
高い平均クーロン効率を示した。この研究では、イオン液体とベータアルミナを組み合わ
せて二層電解質として使用することにより高電圧電池の作動が可能であることを実証し
た。
第 7 章 で は 総括 と して 、 本 論文 で 得ら れ た成 果 に つい て 要約 し てい る 。

(続紙 2 )

(論文審査の結果の要旨)
本論文は、固体電解質であるベータアルミナとイオン液体の多層構造を有する電解質
を用いることにより、室温から中温度領域で作動可能なナトリウム硫黄電池を高性能
化、高出力化し、また、ベータアルミナと酸化耐性の高いイオン液体との組み合わせに
より高い酸化還元電位をもつ正極活物質を用いたナトリウム電池の作動を可能にして、
資源的に制約のあるリチウムイオン電池を代替する新しい二次電池の開発を目指した
研究であり、得られた主な成果は以下のとおりである。
1)トリフレートイオン(OSO2CF3−, [OTf]−)を含むイオン液体に硫黄ならびに多硫化
物イオンが溶解することを見出し、ベータアルミナとイオン液体 Na[OTf]-Cs[TFSA]
([TFSA]− = N(SO2CF3)2−)を組み合わせた多層電解質を用いたナトリウム硫黄電池におい
て、150℃の運転温度で 33.3 mA (g-S)-1 で初期放電容量 795 mAh (g-S)−1、1000 サイクル
の平均容量 381 mAh (g-S)−1、クーロン効率 100%を達成した。
2)二層電解質を用いたナトリウム硫黄電池において、イオン液体の[OTf]−分率の最適
化、ならびにアニオンとして[OTf]−のみを含むイオン液体の適用を検討し、[OTf]−分率
の最適値が 20%以下であること、またアニオンを[OTf]−のみにするために導入するオニ
ウムカチオンの安定性に課題があることを明らかにした。
3 ) 高 い 耐 酸 化 電 位 を 有 す る イ オ ン 液 体 DEMEPF6 (Diethylmethy(2-methoxyethyl)
hexafluorophosphate)を、DEMEBr を HF と反応させて得られる DEME(FH)nF と PF5 の反
応により、高い純度で合成することに成功し、ベータアルミナとの多層電解質を用いた
Na/Na3V2(PO4)2F3 電池を構築し、最大充放電電圧 4.3 V、エネルギー密度 416 Wh
(kg-Na3V2(PO4)2F3)−1 を得た。また、1500 サイクルにわたって初期放電容量を維持し、ク
ーロン効率は 99.3%であり、高サイクル性能を達成した。
以上の研究内容により、本論文は、博士(エネルギー科学)の学位論文として価値あ
るものと認める。また、令和 5 年 8 月 18 日に実施した、論文内容とそれに関連した試
問の結果、合格と認めた。
論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文の全文は、本学学術情報リポジトリに
掲載し、公表とする。ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要旨を学位授与後即
日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする日付を記入すること。 ...

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