リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「人工呼吸器からの離脱過程を自動化する、クローズドループ換気の効果と安全性の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

人工呼吸器からの離脱過程を自動化する、クローズドループ換気の効果と安全性の検討

小林 忠宏 山形大学

2020.09.30

概要

人工呼吸器は必須の医療機器である。しかしながら人工呼吸は容易に肺障害を引き起こし患者の転帰を悪化させる(人工呼吸器関連肺障害)。障害を避けるために人工呼吸時間の短縮と肺保護換気と呼ばれる適切な人工呼吸器設定が必要となる。近年開発されたクローズドループ換気は、患者の呼吸状態を機械が測定し、医療スタッフの介入なしに患者の呼吸仕事量が最小となるように調節を行う先進的なモードである。

この換気様式の初期のモードであるAdaptiveSupportVentilation®(HamiltonMedical社:以下ASV)は、酸素化と換気のパラメーターのうち、換気に関するものを調節して、従来の人工呼吸と比較して人工呼吸期間を短縮することが報告されてきた。このASVを進化させ酸素化パラメーターまで自動調節が可能となったモードがINTELLiVENT-ASV®(HamiltonMedical社)である。初期設定のみ行えば抜管直前まで設定が自動調節されるため、人工呼吸時間短縮、肺保護換気促進、医療スタッフの労働量軽減が期待されている。

しかしASVと異なりINTELLiVENT-ASVの臨床的評価は未だ確立していない。本研究では、INTELLiVENT-ASVの優位性について異なる角度から検討を行った。

本研究は後方視的対照研究であり、2013年6月1日から2015年5月31日の期間に、山形大学医学部附属病院にて心臓血管外科手術を受けICUに入室し、その際にASVまたはINTELLiVENT-ASVで人工呼吸管理された症例を対象とした。症例をASV群、INTELLiVENT-ASV群の2群とし、人工呼吸日数(ICU入室から抜管まで)、ウィーニング(SBT開始基準)到達時間を比較した。またICU入室から24時間後までの人工呼吸器パラメーター、血液ガス分析の結果を入室後4時間までは1時間ごと、それ以降は2時間ごとに比較して肺保護換気が行われているか検討した。医療スタッフの業務量のマーカーとして24時間以内の人工呼吸器設定の手動での調整回数を記録した。安全性については、モード変更を要するような重大事態や、血液ガス分析における異常値出現の頻度について検討した。

結果は、単変量解析でINTELLiVENT-ASV群で人工呼吸器時間の短縮を認め、群間差はウィーニング到達時間では更に拡大していた。これは、ウィーニング到達から遅滞なく抜管を行えば更に人工呼吸時間を短縮する可能性があることを示している。2群の背景の違いなどを調整した多変量解析でも統計学的な有意差を認めた。また、人工呼吸器設定のパラメーター比較でも、INTELLiVENT-ASV群でより肺保護換気が行われていることが示唆されており、手動による設定調節回数もINTELLiVENT-ASV群で有意に減少していた。安全性については両群ともに重大事態は認めず、血液ガス分析の異常値出現頻度も有意差を認めなかった。

本研究で、従来の研究でははっきりしなかったINTELLiVENT-ASVのASVに対する臨床的優位性が示された。心臓血管術後の症例ではINTELLiVENT-ASVがより適した人工呼吸モードであることが示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る