複数の時系列データに対する動的クラスタリング
概要
IoTやデータ計測技術の発展とともに,膨大で複雑な構造をもつ時系列データが収集されるようになった.こうした時系列データからのパターン発見を行なうために,種々の時系列クラスタリングが活用されている.Saeed et al.(2015)は,この時系列クラスタリングを時点クラスタリング,部分列クラスタリング,全時系列クラスタリングの3種類に大別している.時点クラスタリングや部分列クラスタリングは一本の長期時系列データから時点や部分列を分類する方法であり,全時系列クラスタリングは複数の時系列データを類似したグループに分類する方法である.
一方で,複数の長期時系列データに関して,時点ごとに所属クラスターや各クラスターの構造がスイッチする状況も考えられる.このような場合には,上で述べた全時系列クラスタリングなどでは表現することは不可能である.こうしたクラスター構造の動的な変化を表現できるクラスタリングを動的クラスタリングという.動的クラスタリングを行う方法としてはVicthor et al.(2020)やディリクレ過程混合モデルを用いた方法がある.
本論文では,動的クラスタリングを含めて時系列データに対するクラスタリング手法についてまとめる.