シクロデキストリン含有高分子ロタキサンの動的特性を基盤とした機能材料の創成
概要
研究成果の概要(和文):
本研究では、研究代表者が開発したロタキサン合成法「ウレアエンドキャップ法」 を、高分子に応用することで、シクロデキストリン含有高分子ロタキサンの開発を検討した。合成に必要な末端にイソシアナート基を有するポリマーは、アシルアジド基を有するポリマーをリビング重合により調製し、続いて加熱によるCurtius転位反応を行うことで簡便に得られることが分かった。また、両末端にイソシアナート基を有するポリマーと擬ロタキサンの反応が、簡便に高収率で被覆率の小さいポリロタキサンを与えることを明らかにした。これらの検討に加え、低分子モデルロタキサンの合成と構造解析についても検討した。
研究成果の学術的意義や社会的意義
高分子ロタキサンは、そのユニークな構造に由来する物性に興味が持たれるものの、合成が容易ではないために研究例は限られている。本研究の成果は、この課題に対して新たな方法論を提供するものであり、高分子ロタキサンの合成、物性評価、および素材としての応用に寄与するものと位置づけられる。また、本研究で取り扱ったロタキサン構造がポリマーの物性向上に寄与したことが分かったため、更なる検討により素材としての実用化も視野に入る。本研究の成果は上記の学術的、社会的意義を有する。
研究成果の概要(英文):
In this work, development of macromolecular rotaxane containing cyclodextrin was studied through applying urea end-cap method, which was developed by the author as a synthetic method of rotaxane, to polymer system. The polymer having isocyanate group on the polymer end was necessary for the synthesis. It was prepared by the synthesis of the polymer containing acylazide group on the polymer end by living polymerization, and successive Curtius rearrangement via heating.
Moreover, it was clarified that the reaction between the polymer containing isocyanate groups on the both polymer ends and pseudorotaxane afforded polyrotaxane having low coverage ratio in high yield and facile manner. In addition to above studies, the synthesis and analysis of model rotaxane having low molecular weight were also evaluated.
キーワード:高分子ロタキサン シクロデキストリン ウレアエンドキャップ ロタキサン架橋剤 ポリロタキサンポリウレタン