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大学・研究所にある論文を検索できる 「Vitamin D Supplementation is a Promising Therapy for Pancreatic Ductal Adenocarcinoma in Conjunction with Current Chemoradiation Therapy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Vitamin D Supplementation is a Promising Therapy for Pancreatic Ductal Adenocarcinoma in Conjunction with Current Chemoradiation Therapy

向井, 洋介 大阪大学

2020.07.31

概要

〔目 的(Purpose)〕
 膵癌は早期から浸潤・転移を伴い, 予後不良な癌である. 膵癌は発生早期から組織中に間質細胞を伴い, この中には癌関連線維芽細胞(cancer associated fibroblasts:CAF)と呼ばれる性質の細胞が多く含まれ, 膵癌細胞の浸潤・転移を助長していることが一つの原因と考えられている.
 近年, 血中の活性化ビタミンD濃度がCAFに作用して脱活性化をきたし, 膵癌治療効果を向上させる可能性について報告された.間質細胞はビタミンD受容体(VDR)を豊當に発現して影響を受けており, 血中ビタミンD濃度の低下によって膵癌周囲の間質細胞が活性化してαSMAを発現しCAFとなるが, 十分な血中濃度があれば脱活性化することが示された.しかし, 血中ビタミンD濃度の臨床治療上での影響については報告がなく, 抗癌剤や放射線治療といった治療が実際にCAFに与える影饗についても十分には検討されていない.そこで, 抗癌剤治療, 放射線治療, 血中ビタミンD濃度が, CAF及び膵癌患者長期予後へ及ぼす影響について検討することを目的とした.

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 膵癌切除術施行例を対象に, 術前治療(化学放射線療法(CRT))の有無, 血中活性型ビタミンD濃度と癌組織中CAF数の関係を後方視的に評価した.また, 摘出標本から抽出して初代培養した間質細胞を用い, 抗癌剤, 放射線照射にビタミンDを添加したときの影響や膵癌細胞との共培養における膵癌細胞への影響について検討した.
 教室における膵癌切除86症例(術前CRT施行52例, 非施行34例)の切除標本を対象とし, αSMAの免疫組織化学によってCAF数を評価した.膵癌組織中の無作為5部位で同倍率中に認められるCAF数を調べ, その平均値で分けた2群で予後を比較したところ, CAF数が多い群では有意に遠隔転移再発までの期間が短かった(中央術後月数35.4ヵ月, 12.0ヶ月, p=0.019).CAF数で分けた症例群の臨床病理学的背景比較では, CAF数の多い有意因子として術前CRTを受けていること(p=0.0003), 血漿ビタミンD濃度が低いこと(p=0.002)が単変解析に示され, 両者の多変量解析では血漿ビタミンDが平均値より低いことのみが有意な因子であった(odds ratio 0.16, p=0.007).術前CRT施行した症例群での検討においても, CAF数が多い症例群では, 少ない症例群と比較し有意に遠隔転移再発までの期間が短く(p=0.034), ビタミンD濃度が高い症例では, 低い症例と比べて治療開始後遠隔転移までの期間が有意に長かった(p=0.026).間質細胞中のVDR発現を免疫組織化学で評価したところ, 81.4%の膵癌症例にVDRの発現を認め, CRTの有無を含めたいずれの臨床病理学的背景とも関連を認めなかった.
 膵癌切除検体から間質細胞を抽出して初代培養を行い, 細胞免疫染色, PCR法にてαSMAの発現を検討した.CRT施行例から抽出した間質細胞は非施行例と比較し有意にαSMA発現量が高く(p=0.046), 血中ビタミンD濃度が低い症例は高い症例と比べてαSMA発現頭が高かった(p=0.040).
 CRTがαSMA発現増加(CAF活性化)にどのように関わるのかを検討するため, 間質細胞に抗癌剤(GEM, 5-FU各100nM, 48時間), 放射線(4Gy, 48時間)を暴露させ, αSMAの発現変化を検討したところ, 抗癌剤暴露後αSMA発現に変化はなかったが, 放射線暴露後αSMA発現量は有意に増加した(p=0.040).さらに, 間質細胞を膵癌細胞と共培養させ, 浸潤能(インベイジョンアッセイ)を評価したところ, 放射線暴露後の間質細胞との共培養下では, 放射線暴露をしなかった間質細胞との共培養と比較し, 有意に浸潤能を増加させた(p<0.001).そこで, ビタミンD投与の有効性を検討するため, 間質細胞にビタミンDを添加した上で放射線暴露したところ, αSMA発現の増加は有意に抑制され(p=0.004), 共培養下に増加した膵癌細胞の浸潤能は有意に抑制された(p<0.001).

〔総 括(Conclusion))
 膵癌間質のCAF数はCRTによって増加し、遠隔転移までの期間と関連していた。CRTによるCAF数増加はビタミンD補充療法によって抑制され、同療法が膵癌に対するCRTの遠隔転移制御に対して有用である可能性を示した.

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