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大学・研究所にある論文を検索できる 「Targeted therapy for drug-tolerant persister cells after imatinib treatment for gastrointestinal stromal tumours」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Targeted therapy for drug-tolerant persister cells after imatinib treatment for gastrointestinal stromal tumours

石田, 智 大阪大学

2022.02.28

概要

〔目的(Purpose)〕
化学療法施行後のがん遺残細胞は、化学療法後の休薬に伴う再燃はもちろん、のちの耐性化の一因となることが報告され、近年注目されている。
切除不能・再発の消化管間葉系腫瘍(Gastrointestinal stromal tumour:以下GIST)に対する治療の中心はイマチニブをはじめとする分子標的治療であり、その臨床導入以降、治療成績は著しく改善した。一方で治療中止後の再燃や長期投与に伴う耐性化の出現などの問題点が明らかになり、その背景にはがん遺残細胞の関与が示唆される。今回我々はGISTに対してイマチニブを投与した後の遺残細胞を標的として、その機能・特徴について検討を行い、さらには遺残細胞に対するGPX4阻害剤を用いた新規治療の有効性やそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
① GISTにおけるイマチニブ遗残細胞モデルの作成とその特徴
GIST T1細胞株を用いて、イマチニブ2μΜを9日間暴露後の生存細胞を遺残細胞とし以下の解析を実施した。遺残細胞では、イマチニブ感受性の低下(IC50値:親株70.8nΜ、遺残細胞モデル150.5nΜ)と細胞増殖能の低TC72時 間後増殖率:親株470%、遺残細胞モデル240%)を確認した。またフローサイトメトリーを用いた細胞周期解析にて、親株において60,9%であったG0/G1細胞は遺残細胞においては100%であった。メタボローム解析を実施した結果、遺残細胞では糖代謝の低下を認め、特に糖代謝経路の一つであるペントースリン酸回路の副産物であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)ならびに抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)がそれぞれ親株と比較して56.7%、31.8%に低下していることがわかった。また、グルコーストランスポーターであるGLUT1の発現低下を蛍光細胞免疫染色にて確認、さらにGlucose uptake Glo assayを用いて、グルコースの細胞内への取り 込みが親株と比較して43.9%に低下していることを確認した。以上のことから遺残細胞では糖代謝の変化に伴い細胞内GSHが低下し、酸化ストレスに対する脆弱性を示す可能性があることが示唆された。

② 遺残細胞モデルにおけるGPX4阻害剤の有効性とそのメカニズムの検討
化学療法感受性アッセイにて、遺残細胞は酸化ストレス誘導剤であるGPX4阻害薬(RSL3)に対して親株と比して、高い感受性を示すことを確認した(IC50値:親株62.5nΜ、遺残細胞8.2nΜ)。またGPX4阻害剤により遺残細胞で誘導される細胞死はカスパーゼ阻害剤であるZ-VADで’阻害されず、また鉄のキレート剤で阻害されることから鉄関連細胞死であるフェロトーシスの関与が示唆された。

③ 動物モデルを用いたGPX4阻害剤の腫瘍再増殖抑制効果の検討
GIST T1の皮下移植により作成した異種移植マウスを用いて、イマチニブ(100mg/kg/day)を9日間投与することで投与前の51.1%の腫瘍体積となること、また顕微鏡的に腫瘍細胞の遺残があることを確認した。その後、イマチニブを中止した後に、①RSL3(50mg/kg)投与群と、②無治療群に分け12日間検討をした結果、RSL投与群では有意に腫瘍の再増大を抑制した(day9 RSL投与群:無治療群=161%:249%)。

〔総括(Conclusion)〕
イマチニブ投与後の遺残GIST細胞は、細胞周期の休止、糖代謝の抑制を示した。さらに、酸化ストレス誘導剤であるGPX4阻害剤に感受性を示し、その細胞死には、フェロトーシスの関与が強く示唆された。動物実験においてはイマチニブ投与終了後にGPX4阻害剤を投与することで腫瘍再増大の抑制効果を認め、GISTに対するイマチニブ治療と併用した新規治療として臨床応用が期待される。

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