リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Inhibition of c-MET reverses radiation-induced malignant potential in pancreatic cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Inhibition of c-MET reverses radiation-induced malignant potential in pancreatic cancer

森, 総一郎 大阪大学

2021.09.24

概要

〔目的(Purpose)〕
塍癌は近年の診断・治療の発展にも関わらず、いまだ高い治療抵抗性を示す予後不良な疾患である。膵癌に対する放射線治療は良好な局所制御効果を有する治療選択肢であり、これまでにも膵癌に対する化学放射線療法(CRT)の有用性が報告されている。一方で、放射線照射によって癌細胞の浸潤能や遊走能などの悪性能の亢進の可能性が報告されており、膵癌においても放射線照射によるc-Met発現の亢進に伴うHGF誘発性の悪性能の増強が報告されている。

癌幹細胞マーカーの一つであるc-Metはこれまで様々な癌種で予後不良となりうる因子として報告されており、膵癌においてもc-Met高発現細胞の高い腫瘍形成能や化学療法耐性が示されていることから、c-Metを標的とした治療の有効性について注目がされている。

我々は、CRT施行症例で切除標本でのc-Met高発現症例が有意に多く、また、c-Met窩発現は予後不良因子であることを示してきた。さらに、滕癌細胞株へ放射線照射をするとc-Met発現が増強することも示しており、膵癌細胞が放射線治療に対しc-Met発現を誘導することで治療耐性を獲得している可能性が示唆された。

そこで本研究では,膝癌における放射線照射によるc-Met発現変化を評価し、c-Met高発現膵癌細胞へのc-Met阻害薬の有効性について検討することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
まず、膵癌細胞へ放射線照射を行いFACSにてc-Metの発現変化について検討し、放射線照射後に一過性にc-Met発現が上昇し、その後発現の再分布を認めることを確認した。また、c-Met高/低発現分画を細胞分離して培養したところ、両分画ともにc-Met発現は維持されることなく、細胞分離後早期から再分布を認めることを確認した。細胞免疫染色の結果、c-Met低発現分画から高発現分画への変化は放射線照射により有意に亢進することを示し、放射線照射によりc-Met発現が誘導されていることを確認した。また、皮下腫瘍モデルマウスを作成し、放射線照射後に発現の変化をFACS とWestern blottingにて確認し、in vivoでも放射線照射後にc-Met発現が亢進し、さらに下流のp-Met発現も亢進することを確認した。

次にc-Met発現変化による細胞機能変化にっいて細胞分離後に比較検討したところ、c-Met髙発現分画は低発現分画と比較して浸潤能の上昇を示し、また、放射線照射による増殖抑制効果の低下を認めた。

細胞分離によるc~Met髙発現の維持が一過性であるため、c-Met強制発現膦癌細胞株を樹立し、細胞機能の変化について検討した。c-Met強制発現株では、浸潤能・遊走能の有意な亢進を示した。またc-Met inhibitorであるINC280の効果について検討し、増殖能の抑制効果は示さないものの、浸潤能・遊走能については有意に抑制することを確認した。

INC280の効果をin vivoで検討したところ、皮下腫瘍モデルでは放射線照射によって亢進したp-Met発現がINC280経口投与により阻害できることを確認した。また、脾注による高肝転移モデルを用いて、c-Met強制発現膵癌細胞株が高い肝転移能を示すことを確認した。また、INC280の経口投与は肝転移出現を有意に抑制することを示した。

〔総括(Conclusion)〕
本研究から、放射線照射によって膵癌細胞ではc-Met発現誘導とその下流のリン酸化経路亢進により、遊走能・浸潤能の亢進をきたい遠隔転移の増加につながる可能性が示唆された。また、c-Met阻害薬によってこの放射線誘導性の悪性能亢進を抑制できることが示されたことから、膵癌に対するCRTにc-Met阻害薬を追加することで、良好な局所制御効果とともに遠隔転移抑制効果を得ることができる可能性が示唆された。