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大学・研究所にある論文を検索できる 「ヒトがん細胞の血管擬態における細胞表面受容体の役割解析 (本文)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ヒトがん細胞の血管擬態における細胞表面受容体の役割解析 (本文)

川原, 遼太 慶應義塾大学

2022.03.23

概要

生体を構成する細胞は通常、各組織の部位や機能、状況に応じて自身の増殖を調節している。このような「正常」細胞のDNAが損傷し、遺伝子に異常が生じることで細胞はがん化する。生体内においてがん化した異常な細胞は頻繁に生じているが、それらの多くは免疫反応やアポトーシスにより除去される。しかし、これらの生体防御機構により排除されない異常な細胞が体内に残り、徐々に遺伝子の変異が蓄積することで、悪性度の高い「がん」細胞になる。がん細胞は増殖能や転移能が高く、無秩序に拡大していくことで正常な組織の機能を損なわせる。

Rousは1911年、ニワトリに腫瘍を形成させるウイルスを発見した 1 。また、山極らはウサギの耳にコールタールを塗り続ftることで人工的にがんを作り出した 2,3 。このように、がん研究の黎明期はウイルスや化学物質などが発がんの原因として認識されていたが、1960 年代から1970 年代にかftて正常な細胞の中に発がんの原因となる遺伝子が存在することが明らかとなった。それを皮切りにがん研究は目覚ましい発展を遂げ、1980 年代以降、数多の成長因子受容体やチロシンキナーゼなどのがん遺伝子が見つかってきた。それらの研究により、細胞増殖に関わる遺伝子の異常活性化や、 p53のようながん抑制遺伝子の機能欠失 4 が発がんの主な原因であると理解されてきたが、がんの研究はそれだftに留まっていない。例えば、がん細胞がprogrammed death ligand-1(PD-L1)の発現を介して免疫細胞による認識を回避することや、腫瘍組織周辺でがん関連線維芽細胞やマクロファージ、血管などで構成される微小環境が形成されることは、近年ようやく明らかになった 5,6 。すなわち、冒頭の発がん機構の理解は不完全であり、がんの全容理解にはまだ時間を要すると考えられる。

近年のがん研究では、RNAシーケンスやプロテオミクスを用いた網羅的な発現解析により、腫瘍ごとのプロファイルを調べることが主流となっている。この方法により、遺伝子発現の特徴を捉えることは容易になったが、一つのタンパク質が複数の機能を持つことは珍しくなく、がん遺伝子の発現を評価するだftでは不十分である。そのため、腫瘍が持つ特徴を理解し、そこに各遺伝子がどのように関与するかを詳細に調べていくことは、これからのがん研究においても必要である。

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