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大学・研究所にある論文を検索できる 「Generation of Functional Conjunctival Epithelium, Including Goblet Cells, from Human iPSCs」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Generation of Functional Conjunctival Epithelium, Including Goblet Cells, from Human iPSCs

能美, 君人 大阪大学

2021.02.28

概要

〔目的(Purpose)〕
結膜上皮は角膜上皮、涙液層と合わせてオキュラーサーフェス(眼表面)と総称され、眼の表面の健康維持のためには不可欠である。結膜上皮の役割としてはMUC5ACなどのムチン産生が重要であり、結膜疾患によるムチン分泌機能低下はドライアイの原因の一つとして注目されている。一方で研究用のヒト結膜上皮は入手が困難であり、眼表面の中でも結膜研究は進捗が乏しい。本研究では多能性幹細胞から結膜上皮を作製することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
我々はヒトiPS細胞を用いた様々な眼の細胞を含む多層上のコロニー(SEAM, self-formed ectodermal autonomous multi-zone)の誘導法を確立しており、さらにSEAMから機能的な角膜上皮組織の作製に成功しているが、結膜細胞の存在は明確に確認されていない。また過去の報告でEGF(epidermal growth factor)は結膜上皮の表現系維持や増殖に関与することが示唆されている。そこで本研究ではEGFが結膜上皮の発生にも影響を与えると仮説を立て、SEAMを応用し結膜上皮作製を試みた。

まずiPS細胞からSEAM形成後にEGFを添加した際の変化を解析すると、EGF添加時には角膜上皮への分化が抑制されることがわかった。続いてセルソーティングで目的細胞の単離を試みたところ、CD200陰性/SSEA-4強陽性/ITGB4陰性の細胞集団中に分化結膜細胞(結膜上皮細胞および杯細胞)が、CD200陰性/SSEA-4弱陽性/ITGB4陽性の細胞集団中に結膜前駆細胞が濃縮されることが明らかとなった。この単離した結膜前駆細胞をさらに成熟培養したところ、杯細胞を含む結膜上皮組織へと分化させることに成功した。この際、特に杯細胞へと成熟させる重要な成長因子として、iPS細胞から分化させる時に使用したEGFではなく、KGF(keratinocyte growth factor)が必要であることが明らかとなった。さらに、この作製した結膜上皮組織は培養上清中へのMCU5AC分泌能を有していることが確認され、機能的な結膜上皮であることが示唆された。

SEAMから結膜細胞を誘導する際のEGF受容体シグナル伝達の関与を検証したところ、分化誘導第4–6週では、EGFを添加したSEAMでのみEGF受容体のリン酸化が確認された。一方で分化誘導第10週では、KGFを添加したSEAMでもEGF添加時と同じ程度のEGF受容体リン酸化が確認された。KGF添加SEAMからは結膜上皮を作製することはできなかったことから、SEAMから結膜上皮前駆細胞を誘導させる際には分化誘導初期である第4-6週におけるEGF受容体活性化が重要であることが示唆された。さらに他のEGF受容体リガンドであるTGF(transforming growth factor)-αやamphiregulinをSEAMに添加した際でも、EGF添加時と同様に結膜上皮を作製することが可能であった。以上の結果から、SEAMから結膜細胞を誘導する際にはEGF受容体シグナル伝達の活性化が重要であることが強く示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
本研究により、iPS細胞から結膜前駆細胞を分化させる際にはEGFなどのEGF受容体リガンド、さらにその成熟(特に杯細胞)にはKGFが重要な役割を果たすことが示唆された。本研究により、これまで入手が困難であったヒト結膜細胞を入手することが可能となり、結膜や角膜を含む、眼表面上皮の発生過程を解明するための研究ツールとして利用することが可能となった。将来的には、結膜細胞をターゲットとしたドライアイなどの眼疾患に対する創薬研究への応用や、眼表面疾患を治療するための再生医療ツールとして知見を提供できることが期待される。

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