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大学・研究所にある論文を検索できる 「Voxel-based morphometryを用いた有棘赤血球舞踏病とハンチントン病の比較検討および有棘赤血球舞踏病の画像所見と症状の経時的変化の評価」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Voxel-based morphometryを用いた有棘赤血球舞踏病とハンチントン病の比較検討および有棘赤血球舞踏病の画像所見と症状の経時的変化の評価

鈴木, 文夫 東京大学 DOI:10.15083/0002006956

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 鈴木 文夫
有棘赤血球舞踏病は稀な常染色体劣性遺伝の神経変性疾患である。症状として舞
踏運動を主とした不随意運動や精神症状、認知機能低下、嚥下障害、構音障害、てんかんな
どが見られる。画像所見として線条体の萎縮などが報告されている。神経病理では主に線条
体に神経細胞の脱落やグリオーシスが見られる。根本的治療はなく、予後は不良である。
有棘赤血球舞踏病の患者の 85%に不随意運動が見られ、42%でてんかんを認める。
有棘赤血球舞踏病において線条体の変性が不随意運動の原因と考えられ、海馬や扁桃体の
異常がてんかんの原因の可能性がある。
ハンチントン病は稀な常染色体優性の神経変性疾患であり、症状として不随意運
動や精神症状、認知機能低下などを示す。画像所見として線条体の萎縮の萎縮など見られる。
神経病理では主に線条体の神経細胞の脱落やグリオーシス、萎縮が見られる。根本的治療は
なく、予後は不良である。
Voxel-based morphometry (VBM)解析は脳画像を用いて脳の形態学的変化を解析す
る手法の 1 つであり、さまざまな脳神経疾患の解析に用いられている。Voxel-Based Specific
Regional Analysis System for Alzheimer's Disease (VSRAD) は VBM 解析を元にした診断ソフ
トウェアであり、群間比較を行う VBM 解析と違い個々の症例について脳の形態学的変化を
評価できる。
有棘赤血球舞踏病とハンチントン病は類似した症状や画像を呈し、しばしば鑑別
が困難となる。画像の視覚的評価では両疾患の鑑別は困難であるが、画像解析では両疾患に
差異が見られる可能性がある。有棘赤血球舞踏病やハンチントン病のそれぞれの VBM 解析
の報告はあるが、両疾患を VBM 解析で比較した報告はない。また、VSRAD が両疾患に適用
された報告はない。
有棘赤血球舞踏病の画像所見の経時的変化についての論文はほとんどなく、画像
所見と症状の関連を評価した報告はない。線条体や海馬/扁桃体の画像所見と不随意運動や
てんかんの症状がどのような経過をとるのか理解することは有棘赤血球舞踏病の診断に重
要と考えられる。
本研究は VBM 解析や VSRAD により有棘赤血球舞踏病とハンチントン病の脳の形
態学的変化の差異を検討するとともに、画像と症状の関連に焦点をおいた画像所見の経時
的変化について評価したものであり、以下の結果が得られている。
1.

VBM 解析で有棘赤血球舞踏病疾患群とハンチントン病疾患群の比較では有棘赤血

球舞踏病疾患群でハンチントン病疾患群と比べて両側視床、両側被殻、右尾状核に白質の有
意な容積の低下を認め、灰白質の有意な容積の低下は見られなかった。一方、ハンチントン
病疾患群では有棘赤血球舞踏病と比べ、白質、灰白質ともに有意な容積の低下は見られなか
った。有棘赤血球舞踏病ではハンチントン病と比較して線条体や皮質の神経細胞の脱落が
高度なため、二次性の変化として視床周囲の容積の低下に至った可能性がある。
2.

VSRAD で灰白質の解析では両疾患群ともに両側線条体の萎縮を認めた。白質の解

析では有棘赤血球舞踏病疾患群の全例に視床周囲の比較的対称性の萎縮を認めたが、この
萎縮パターンはハンチントン病疾患群では 1 例も見られなかった。VBM 解析に合致する結
果を見ていると考えられる。群間比較だけではなく、個々の症例でも見られる結果であり、
両疾患の鑑別に有用と考えられる。
3.

有棘赤血球舞踏病は運動障害疾患であると通常考えられているが、本研究では半

数でてんかんが初発症状として見られ、最終的にはほぼ全例でてんかんを認めた。多くの症
例で症状に対応する画像での異常が見られたが、画像での異常が症状に先行する症例や、症
状を認めても画像で異常が指摘できない症例があった。
以上、VBM 解析や VSRAD により有棘赤血球舞踏病とハンチントン病を比較検討した初の研
究であると同時に画像と症状の関連に焦点をおいた画像所見の経時的変化についての初め
ての報告である。VBM 解析や VSRAD により有棘赤血球舞踏病とハンチントン病を鑑別でき
る可能性を示すことができた。また有棘赤血球舞踏病は多様な画像所見と臨床症状の経過
がありうることが示唆された。本研究は有棘赤血球舞踏病の診断にあたり重要な貢献をな
すと考えられる。
よって本論文は博士(医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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