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大学・研究所にある論文を検索できる 「小児脳腫瘍サバイバーの復学・就労の実態」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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小児脳腫瘍サバイバーの復学・就労の実態

矢萩 智子 松田 憲一朗 簡野 美弥子 斎藤 静 村上 成美 三井 哲夫 園田 順彦 櫻田 香 山形大学

2022.08.04

概要

【背景・目的】脳腫瘍は小児に発生する固形がんの中では最も頻度が高く、かつ死亡率の高い疾患である。近年治療成績が向上しており、これにより様々な障害とそれに伴う不安を抱えながら生活する小児脳腫瘍サバイバーとその家族は増加している。しかし、本邦における小児脳腫瘍患児の復学・就労の実態は十分に明らかにされていないため実態調査を行うこととした。
【対象と方法】2019年10月~2021年3月に山形大学医学部附属病院で小児脳腫瘍の治療中・治療終了し外来フォローアップ中の患児または家族12組を対象とした。1)対象者の特性、2)入院中の学習、3)退院後の学習の問題と生活の問題、4)就労に関する問題について、質問紙による調査を行った。
【結果・考察】対象者の発症時年齢は5ヶ月から15歳(中央値10歳)、調査時年齢は11歳から29歳(中央値19.5歳)であった。診断は神経膠腫4名、髄芽腫2名、胚細胞腫瘍2名、上衣腫2名、髄膜腫1名、毛様細胞性星細胞腫1名であった。治療内容は手術のみ2名、手術+化学療法2名、手術+放射線治療1名、手術+化学療法+放射線治療7名であった。12名中9名が学習に問題がありと答え、その理由として半数以上が「欠席による学習の遅れ」、「体力不足による学習時間確保困難」と回答していた。就労に問題ありと答えたのは、就労可能年齢にある8名のうち7名で「毎日就労する体力がない」「職場の理解がない」、「病気が理由で就労できない」などの回答が見られた。生活全般に関わる問題として、「自信が持てない」、「人間関係が築けない」などの社会的能力の問題を挙げる患児家族がいた。
【結論】本調査においても小児脳腫瘍サバイバーの多くが復学・就労に問題を抱えており、その理由として患児の体力不足を挙げるものが多かった。就労に関しては、「職場の理解がない」などの回答が見られ、小児脳腫瘍サバイバーの就労を促すためには社会の理解、サポート体制の構築が重要であると考えられた。

参考文献

1.国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス https://ganjoho.jp (参照:2021.10.28)

2.Quinn T Ostrom, Haley Gittleman, Peter Liao, et al. : CBTRUS Statistical Report Primary brain and other central nervous system tumors diagnosed in the United States in 2010–2014. Neuro Oncology 2017; 19(Suppl 5): 1–88

3.公益財団法人がんの子どもを守る会 小児がん患児家族の実態調査報告 平成24年4月 https://www.ccaj- found.or.jp (参照:2019.10.7)

4.石田也寸志,林三枝,井上富美子,小澤美和:小児がん経験者の自立・就労に関する横断的実態調査.日本小児血液・がん学会雑誌 2014;51(5):482-492

5.下山京子,砂賀道子,二渡玉江:小児がん患児の家族支援に関する研究の動向と課題.群馬保健学紀要 2008;29:87-94

6.倉橋理香:入院中の子どもをもつ家族の困りごとに関する文献検討.ヒューマンケア研究学会誌 2021;12: 43-47

7.松下年子,佐鹿孝子,久保恭子,丸山昭子,安藤晴美,坂口由紀子:入院中の脳腫瘍の子どもを抱えた母親のサポートグループの試み.アディクション看護 2019;16(2):163-174

8.宮城島恭子,大見サキエ,高橋由美子:小児がんをもつ子どもの学校生活の調整に関する意思決定プロセスと決定後の気持ち-活動調整と情報伝達に焦点を当てて-.日本小児看護学会誌 2017;26:51-58

9.大見サキエ:がんの子どもが復学する時のクラスメートへの説明-小学校における場面想定法を用いた検討.小児がん看護 2010;5:35-42

10. Netson KL, Ashford JM, Skinner T, Carty L, Wu S, Merchant TE, et al. : Executive dysfunction is associated with poorer health-related quality of life in pediatric brain tumor survivors. J Neurooncol 2016; 128: 313-321

11. 平賀紀子,古谷佳由理:小児がん患児の復学支援に関する文献検討.日本小児科看護学会誌 2011;20(2): 72-78

12. 山崎文之,岡崎貴仁,木下康之:脳腫瘍サバイバーに対する脳神経外科医の役割.脳神経外科ジャーナル 2021;30(6):438-449

13. 日本小児科学会 移行期の患者に関するワーキンググループ 横谷進,落合亮太,小林信秋,駒松仁子,増子孝徳,水口雅,他:小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言.2014

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