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大学・研究所にある論文を検索できる 「Aryl hydrocarbon receptor is essential for the pathogenesis of pulmonary arterial hypertension」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Aryl hydrocarbon receptor is essential for the pathogenesis of pulmonary arterial hypertension

正木, 豪 大阪大学

2021.09.24

概要

〔目 的(Purpose)〕
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺小動脈に血管リモデリングを采して肺動脈圧上昇から右心不全に至り得る、厚生労働省指定難病である。肺動脈性肺高血圧症(PAH)の発症・重篤化には、遺伝的素因だけでなく炎症等の環境因子の関与も重要とされるが、不明な点が多い。PAHの動物モデルのうち、唯一内膜病変・叢状病変などのヒトのPAHの重症例でみられる病理像などを再現し得るSuHxラットモデルは、VEGFR2阻害剤であるSU5416の投与と低酸素負荷により作成されるため、ヒトのPAHにおいてもVEGFR2の阻害が重要であると変えられてきた。しかしながら予備実験において、他のより強力なVEGFR2阻害薬をラットに投与してもPAHは誘導されなかった。そのため、SU5416が、免疫応答や動脈硬化・血管炎の発症などに関与する核内受容体である、芳香族炭化水粢受容体(Aryl hydrocarbon receptor: AHR)の強力なアゴニストであることに着目し、AHRのPAHにおける役割を検討した。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
AHRの内因性アゴニストのFICZをラットに皮下投与し、低酸素負荷を行うと、叢状病変様の病変を伴う重症PAHが誘導された。また、CRISPR-Cas9システムを用いてAhr KOラットを作製し、SuHxモデルで検討すると、PAHの病態はほぼ完全に抑制された。これらの結果から、SuHxラットモデルにおいて、PAHを発症させる主因はAHRシグナルの活性化であると考えられた。

薬剤性PAHの原因であり、AHRアゴニストを含む青黛を低酸素下で負荷すると野生型ではPAHを発症したが、Ahr KOでは発症しなかった。このことから、青黛による薬剤性PAHについてもAHR依存性に起こっていることが示唆された。

ヒトとラットのRNA-seq解析から、PAH患者およびSuHxラットでは、肺の血管内皮および末梢血単核球細胞で炎症反応が亢進しており、骨髄由来細胞の肺病変部位への動員に関与することが示唆されたAhr KOラットを用いた骨髄移植実験では、骨髄由来細胞ないしそれ以外(主に内皮細胞を想定)のいずれかのAHRが欠損しているとSuHxラットの PAH病態が抑制され、血管内皮および骨髄由来細胞双方のAHRが、重症PAHの発症に不可欠であることが示唆された。

また、血清を用いたルシフェラーゼアッセイでAHRの活性化能を評価すると、PAH患者では健常者と比較してAHR活性化能が上昇しており、また重症度で層別化すると重症例ほどAHR活性化能が高く、重症度も反映していることが明らかとなった。さらにAHR活性化能が高い群では、死亡・心移植・心不全入院などのClinical eventが有意に多く発生しており、予後規定因子であることも示唆された。すなわち、動物モデルだけでなく、ヒトのPAHの発症・重症化においてもAHRが重要な役割を果たしていることが示唆された。

〔総括(Conclusion)〕
AHRシグナル経路はPAH発症・重篤化に重要であり、PAHの新規治療標的として期待される。

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