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大学・研究所にある論文を検索できる 「サイトメガロウイルス感染症の検査診断法と医療従事者における感染の現状」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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サイトメガロウイルス感染症の検査診断法と医療従事者における感染の現状

高尾, 美有紀 大阪大学

2021.03.24

概要

サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus;CMV)はヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスで、通常は幼少期に不顕性感染の形で感染し、生涯無症状で経過する。しかしながら、妊婦が罹患した場合、胎盤を経て胎児へと感染し、難聴や発達遅滞など様々な症状を呈する先天性CMV感染症を発症することがあるほか、免疫不全者への感染や再活性化では肺炎や肝炎、腸炎など重篤な全身症状を呈することがある。本邦においては、1990年代までは成人の90%以上がCMVに対する抗体を保有していたとされるが、近年その抗体陽性率が低下してきていることが報告されている。抗体陽性率が低下することで、先天性CMV感染症の増加や医療現場で治療の障害となる事例も増加してくることが予想され、CMV感染症の早期発見・診断のためにも正確で迅速な検査対応が求められる。そこで、本研究ではCMV感染症の検査診断法についての現状を分析し、近年開発・発売された試薬「Alinity CMV-M・アボット」および「Alinity CMV-G・アボット」について基本性能と有用性の評価を行った。また、CMVは唾液や尿、血液などの体液を介して感染することから、日常的に多数の患者に接触する医療従事者はCMVに対する感染リスクが一般の人々に比して非常に高いと考えられる。そこで、本研究では医療従事者におけるCMV感染の現状を調査し、医療現場における感染リスクについて考察した。

1.本邦におけるCMV検査診断法を分析し、近年開発・発売された化学発光免疫測定法(CLIA)を原理とする測定試薬「Alinity CMV-M・アボット」および「Alinity CMV-G・アボット」について基本性能および有用性を評価した。CMV検査診断法としては、現在までにウイルス分離培養法や抗原・抗体検査法、遺伝子検査法など様々な検査法が開発されているが、その中でもCMV抗体検査法は、感染の有無を評価するスクリーニングとして有用性が高く、臨床で広く用いられている。今回の検討で、本試薬は良好な精度を有しており、既存試薬と比して感度や特異度も同等程度であることが確認できた。また、測定にかかる時間もこれまで主流であった酵素免疫測定法(EIA)と比べて大幅に短縮され、煩雑な操作も必要ないことから検査側の負担も軽減でき、日常検査法として有用であると思われた。

2.当院に勤務している医療従事者のCMV抗体陽性率を調査した結果、陽性率は全体で70%であり、若年層で特に低くなる傾向が見られた。この結果は、これまでに報告されている研究と矛盾しない結果であり、抗体陽性率は年々低下傾向にあると推測された。また、患者との接触が多い職種(医師・看護師)とそうでない職種(薬剤師、調理師、事務員)で陽性率を比較したが、有意な差は認められなかった。このことから日常的な患者との接触程度ではCMVに感染するリスクは低いと考えられた。さらに、CMV感染のリスクの一つとして体液曝露事例の調査を行った。CMV感染者の体液に曝露した医療従事者の追跡調査を行い、曝露後の感染率を調査したが、有意な差はなく、微量な体液で感染するリスクは極めて低いことが示唆された。

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