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喀痰を用いた成人ヒトメタニューモウイルス関連急性下気道感染症のイムノクロマトグラフィー検査による診断

矢島, 剛洋 東北大学

2023.03.24

概要

博士論文

喀痰を用いた成人ヒトメタニューモウイルス関連急性下気道感染症の
イムノクロマトグラフィー検査による診断

東北大学大学院 医学系研究科 医科学専攻
災害医学研究部門

災害感染症学分野
矢島

1

剛洋

目次

Ⅰ.要約

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

Ⅱ.研究背景

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

Ⅲ.研究目的

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

Ⅳ.研究方法

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

Ⅴ.研究結果

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

Ⅵ.考察

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

Ⅶ.結論

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

略語リスト

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

Ⅷ.謝辞

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

Ⅸ.文献

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

Ⅹ.表の説明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

Ⅺ.図の説明

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

2

Ⅰ. 要約

【目的】ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus: hMPV)検出にお
いて、鼻咽頭拭い液を用いた迅速抗原検査が、小児において一般化しつつあるが、
成人に関しては保険適用がなく、普及しているとは言い難い。成人の急性下気道感
染症では、喀痰は比較的採取しやすい。本研究では、成人急性下気道感染症症例に
おける喀痰を用いた hMPV 検出、診断の有用性を検討した。

【方法】急性の呼吸器症状があり、坂総合病院(宮城県塩竈市)を受診し、急性下
気道感染症と診断された 16 歳以上の患者を対象とし、前向きかつ単一施設で研究を
行った。hMPV 関連急性下気道感染症の定義は、急性呼吸器疾患の症状かつペア血
清で有意な抗体価上昇が認められることとした。hMPV 関連急性下気道感染症症例
におけるイムノクロマトグラフィー(immunochromatography: IC)アッセイに基
づく迅速抗原検査、定量 reverse transcription polymerase chain reaction(RTPCR)の陽性率を、鼻咽頭拭い液と喀痰で比較した。

【結果】2017 年 8 月 1 日から 2019 年 12 月 31 日の間に 337 人の患者が登録され、
63(18.7%)例が血清学的に hMPV 陽性と診断された。喀痰は、鼻咽頭拭い液と比
較して、IC アッセイ(63.5% vs. 42.9%, p=0.0008)、定量 RT-PCR(60.3% vs.
50.8%, p=0.014)のいずれにおいても陽性率が有意に高かった。鼻咽頭拭い液と喀
痰の両方で定量 RT-PCR が陽性だった肺炎 29 例のうち、21 例(72.4%)は、喀痰
でのウイルスコピー数が多くなった。また、良質痰でない場合でも、鼻咽頭拭い液
より陽性率は高くなった。
3

【結論】IC アッセイ、RT-PCR ともに、喀痰は鼻咽頭拭い液より検出率が高く、良
質痰でなくても十分に診断的価値がある。成人 hMPV 関連急性下気道感染症の診断
において、すでに喀痰が採取されている場合は鼻咽頭拭い液を追加採取する必要性
は乏しい。

4

Ⅱ. 研究背景

ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus: hMPV)は、RS ウイル
ス(respiratory syncytial virus: RSV)に類似した臨床症状を持つ小児の鼻咽頭拭
い液検体から、2001 年にオランダで初めて発見された、ニューモウイルス科メタニ
ューモウイルス属に分類されるマイナス一本鎖 RNA ウイルスである[1-3]。ウイル
スは、蛋白質合成の鋳型となる mRNA を作るためにどのような過程をたどるのかに
よって、Baltimore が 1971 年に提唱した方法で 7 つの群に分類されている(図 1)
[4,5]。hMPV、RSV、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、
エボラウイルスなどが含まれるマイナス一本鎖 RNA ウイルスは、第 5 群に分類され
る。コロナウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルス、ノロウイルス、デング
熱ウイルスなどが含まれるプラス一本鎖 RNA ウイルス(Baltimore 分類における第
4 群)は、遺伝子情報が mRNA と同様に 5’から 3’方向に読み取られるため、ウ
イルスゲノム本体が mRNA として機能するのに対し、マイナス一本鎖 RNA ウイル
スは、遺伝子情報が mRNA と反対方向であるため、RNA 依存性 RNA ポリメラー
ゼ(RNA-dependent RNA polymerase:RdRp)が相補鎖となるプラス鎖のアンチ
ゲノムを合成し、それが mRNA として利用される[4,5]。長期保存されている臨床
検体から後ろ向きに検討したところ、少なくとも 1940 年以前から hMPV は存在し
ていた可能性が高いと言われているが、分離培養が難しく、発見に至らなかった[1]。
hMPV は 8 個の遺伝子から構成され、遺伝子配列は 3’側からプラス鎖として、NP-M-F-M2-SH-G-L(N: nucleoprotein, P: phosphoprotein, M: matrix protein, F:
fusion protein, M2: matrix protein 2, SH: small hydrophobic protein, G:
attachment protein, L: large polymerase protein)である[6]。遺伝子型として A1、
5

A2、B1、B2 の 4 つのサブグループに分けられ、流行するサブグループは年ごとに
異なるが、臨床症状や重症度に相違はない[7,8]。
日本における流行時期は 3-6 月といわれている[9]。hMPV は、小児を中心とした
上気道炎や下気道感染症(lower respiratory tract infection: LRTI)の主要な原因
ウイルスの一つであり、5 歳までにほぼ 100%が一度は hMPV に感染し、抗体を保
有する[1,9,10]。しかし、hMPV 感染後の抗体反応は不十分であり、終生免疫に
ならないため、全ての年齢で再感染がありうる[11]。hMPV 感染症の大部分は急性
上気道炎であり、軽症であるが[1]、乳幼児や高齢者、免疫不全例などでは、重症の
LRTI を引き起こす[12-15]。小児では、LRTI のために ICU 入院した 3 歳未満の患
者のうち 18%(15/85 例)が hMPV 感染症を起こしていたという報告[12]や、剖検
で脳組織から hMPV RNA が証明され脳症と診断された幼児の症例報告[13,16,
17]がある。成人では、hMPV 感染症の入院例のうち、挿管人工呼吸器装着率は
12%(11/91 例)、死亡率は 7%(6/91 例)であり、インフルエンザウイルス A や
RSV に匹敵する重症度であると報告されている[14]。成人の市中肺炎例に占める
hMPV 感染の割合は 1.7%(33/1942 例)[15]、3.2%(50/1559 例)[18]、3.8%
(88/2320 例)[19]と、文献によりばらつきが認められる。集中治療室に入院した
hMPV 重症肺炎の報告によると、背景に免疫不全症を有する症例が 22%(11/50 例)
含まれているが、平均年齢は 70 歳で、敗血症性ショック合併率は 50%(25/50 例)

人工呼吸器装着率は 90%(45/50 例)であり、30 日以内死亡率は 24%(12/50 例)
だった[18]。また、気管支喘息発作や慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive
pulmonary disease: COPD)の急性増悪[20]、高齢者施設などでのアウトブレイク
[21,22]もしばしば問題となる。
6

2022 年 10 月現在、hMPV 感染症に対する有効な治療薬やワクチンは、市場に流
通していない[23,24]。しかし、モデルナ社(MA, USA)は、hMPV とパラインフ
ルエンザウイルス 3 型に対する多価ワクチン(mRNA-1653)を開発しており、第 1
相試験の結果が 2022 年 5 月に報告された[25]。最終的には、同社が開発し、すでに
第 3 相試験が行われている RSV に対するワクチン(mRNA-1345)[26]と統合し、3
つのウイルスに対応可能なワクチン開発が想定されている[27]。
このように、hMPV は初めて発見されてから約 20 年しか経過していない比較的新
しいウイルスであるが、小児のみならず、成人、とくに高齢者では重症化すること
があるため、決して無視できない気道病原体の一つである。hMPV 感染の有無を迅
速かつ簡便に診断することは、患者の重症化の予測や治療方針の決定、適切な抗菌
薬使用、家族内感染、アウトブレイクの抑止につながるなど、重要性は高い。
hMPV 感染症は、分離培養、reverse transcription polymerase chain reaction
(RT-PCR)、迅速抗原検査、血清学的検査によって診断される。
分離培養は、感染性のあるウイルスを得られ、ウイルスの抗原性や宿主の抗体反
応の解析、ワクチン株の獲得などにも重要であるが、分離までに時間がかかり、検
査技術や経験も必要であるため、限られた施設でしか実施できない(表 1)[1]。
RT-PCR は感度が高く、鼻咽頭拭い液、喀痰、唾液、気管支肺胞洗浄液などの
様々な種類の検体を用いることができる。そのため、hMPV の検出には RT-PCR が
広く用いられている[28]。しかし、無症候性に病原体を保有している健常者や、発症
から 1 ヶ月以上経過している回復期症例でも陽性となるため、RT-PCR 陽性のみで、
活動性のある急性気道感染症と確定診断することは危険である(表 1)[29]。
イムノクロマトグラフィー(immunochromatography: IC)アッセイに基づく迅
7

速抗原検査を用いた、日本における hMPV 感染症の状況は、2007 年に初めて報告
された[30]。IC アッセイは、試料中の抗原の有無を 15 分以内に判別することができ
る[30,31]。2023 年 1 月現在、日本で販売されている IC アッセイに基づく迅速抗
原検査キットは、表 2 に示す通り 6 種類である[32-37]。標的抗原はいずれのキット
も非公開であるが、アミノ酸配列が 4 つのサブグループ内でよく保存されている N
蛋白または F 蛋白と推測される[30,31]。2016 年 12 月までに販売された 5 種類の
抗原検出キットを比較した報告によると、検出可能な最高希釈倍率は、製品間で最
大 33 倍の差があり、「イムノエース®hMPV」が全ての hMPV サブグループにおい
て最も高い検出感度を示した[38]。そのため、本研究では、「イムノエース®hMPV」
を用いた。
小児では、RT-PCR と比較した IC アッセイの hMPV 検出感度と特異度はそれぞ
れ 71-83%と 94-96%と報告されている[39,40]。IC アッセイは RT-PCR と比べて、
やや感度が低いものの、迅速、かつ安価であり、特殊な機器も必要としないという
利点がある(表 1)。一方で、成人では、RT-PCR と比較した IC アッセイの hMPV
検出感度と特異度は報告されていない(表 3)。
hMPV 検出のための材料は、一般的に鼻咽頭拭い液がよく用いられている。小児
では喀痰を採取することは困難であるが、成人 LRTI 症例では、喀痰を採取するの
は比較的容易であり、細菌培養検査のためにあらかじめ採取していることが多い。
すでに喀痰が採取されている場合であっても、鼻咽頭拭い液を追加で採取すべきな
のか、いまだに結論は出ていない。近年、RT-PCR を用いて、成人 LRTI 症例にお
けるウイルス検出率を鼻咽頭拭い液と喀痰で比較した報告がいくつか存在する[4144]。結果は報告によって異なり、Jeong らや Falsey らは、鼻咽頭拭い液と比較し
8

て喀痰のほうが、hMPV 検出率は有意に高かったと報告している(それぞれ、
20.0% vs. 80.0%, 70.0% vs. 88.9%)[41,42]。一方で、Robert らや Nyawanda ら
は、喀痰は鼻咽頭拭い液と比較して、hMPV の検出率に明白な優越性はないと報告
している[43,44]。 また、IC アッセイにおける hMPV 検出率を鼻咽頭拭い液と喀
痰で比較した報告は存在しない(表 3)。
血清学的検査は、ウイルスの中和能を測定する中和抗体法[45,46]や、蛍光抗体
法[47]などが報告されている。急性期に診断ができないことや、回復期に採血できな
い超重症例、再診の協力が得られない患者では診断できないことなどの弱点はある
ものの、ペア血清における抗体価上昇が確認できれば、直近で有意な感染があった
ことを示唆する重要な根拠の一つとなりうる(表 1)[48]。
このように、hMPV 感染症の診断に用いられる検査方法は、いずれも利点と欠点
があり、とくに成人では hMPV 感染症の診断に最適な検体や検査方法が定まってい
ない。本研究では、「安価で、だれでも簡便かつ迅速に診断できる」という点で、喀
痰を用いた IC アッセイに注目した。喀痰は鼻咽頭拭い液と比較して粘性が高いため、
喀痰溶解剤が用いられることがあるが、簡便性、迅速性を優先して、未処理喀痰を
使用することを試みた。

9

Ⅲ. 研究目的

本研究では、hMPV 検出における成人 LRTI 症例の喀痰を用いた IC アッセイの有
用性を検討する。
1)血清学的検査により診断した成人 hMPV 関連 LRTI 症例(hMPV-LRTI)にお
いて、hMPV 検出のために最適な検体材料(鼻咽頭拭い液、喀痰)、ならびに
検査方法(IC アッセイ、定量 RT-PCR)を明らかにする。
2)血清学的には hMPV 陰性だった症例についても、IC アッセイ、定量 RT-PCR
の結果との関係性を検討する。
3)喀痰を、検体の質により「良質痰」と「不良痰」に分類し、鼻咽頭拭い液との
3 群間で、IC アッセイ、定量 RT-PCR それぞれの陽性率を比較する。
4)鼻咽頭拭い液と喀痰の両方で定量 RT-PCR 陽性だった症例を「肺炎」と、「非
肺炎」に分類し、それぞれの検体におけるウイルスコピー数を比較する。
上記の 4 項目の検討から、成人 LRTI における hMPV 診断の golden standard を
確立させることを目的とする。

10

Ⅳ.研究方法

1.対象者
2017 年 8 月 1 日から 2019 年 12 月 31 日の間に、咳嗽、呼吸困難、痰または発熱
と定義される急性呼吸器症状が認められ、坂総合病院(宮城県塩竈市)を受診した
16 歳以上の患者のうち、LRTI(市中肺炎、医療介護関連肺炎、急性細気管支炎、
または急性気管支炎を含む)と診断された入院および外来患者が、この研究に登録さ
れた。肺炎は、急性呼吸器症状があり、かつ胸部 X 線写真または computed
tomography(CT)所見に基づいて、主治医とその他少なくとも 1 人以上の呼吸器
内科医によって診断された。診断医は 8 名で、そのうち、呼吸器専門医かつ感染症
専門医は 4 名(論文提出者を含む)、呼吸器専門医が 1 名、非専門医が 3 名である。
本研究における hMPV-LRTI の定義は、ペア血清で hMPV 抗体価が 4 倍以上増加
すること(以下、セロコンバージョン)が観察されることとした(「6.hMPV 中和
抗体測定」を参照のこと)。
すべての研究参加者またはその法的保護者は、書面によるインフォームド・コン
セントを確認した。坂総合病院の倫理審査委員会(Institutional Review Board:
IRB)による承認を受けた(IRB 承認番号: 17-06-14)。一般採血検査、胸部画像検
査、喀痰培養検査、抗菌薬治療などの保険内診療に関しては、自己負担額は、患者
が負担した。hMPV 検査としての IC アッセイ、RT-PCR、血清学的検査など保険外
診療に関しては、仙台医療センター臨床研究部助成研究費(2017 年度、2018 年度、
2019 年度)から補填し、患者の負担はなかった。

2.鼻咽頭拭い液、喀痰
11

本研究への登録時に、各症例からフロックスワブを用いて鼻咽頭拭い液を 2 本ず
つ得た。1 本はすぐに IC アッセイに使用され、もう 1 本はゼラチン 0.5%、ペニシ
リン G(Meiji Seika, 東京, 日本)100 unit/ml および 100 µg/ml のストレプトマイ
シンを含むイーグルの最小必須培地(minimum essential medium: MEM; SigmaAldrich, St Louis, MO, USA)からなるウイルス輸送培地(Virus transportation
medium: VTM)3 ml を含む滅菌スピッツチューブに接種し、RNA 抽出に使用した
[49]。
喀痰は、鼻咽頭拭い液の採取後速やかに採取した。同一の痰に 2 本のフロックス
ワブを直接挿入した。1 本はすぐに IC アッセイに使用し、もう 1 本は鼻咽頭拭い液
と同様に RNA 抽出に使用した。喀痰溶解剤で希釈または前処理は行わなかった。喀
痰の品質は、Murray-Washington 基準[50]と Geckler の分類[51]に基づいて決定し
た。Murray-Washington 基準は、100 倍の視野倍率あたり 10 個未満の扁平上皮を
有する検体を良質とした基準であり、Geckler の分類は、表 4 に示す通り、100 倍の
視野倍率あたりの扁平上皮と白血球の数により 6 つの群に分類した基準である。本
研究では、良質痰は、100 倍の視野倍率あたり 10 個未満の扁平上皮と 25 個を超え
る白血球を有する検体(Geckler の分類:第 5 群)とした。それ以外の場合は、不
良痰と判断した[52]。扁平上皮が多い不良痰の場合は、口腔や唾液など上気道から採
取された検体であることが示唆される。それに対して、良質痰は、肺炎が認められ
る主病巣から採取された検体である可能性が高い。
臨床検体(鼻咽頭拭い液または喀痰)を含む滅菌スピッツチューブは 4℃の冷蔵
庫に保管し、週に 2 回の頻度で、仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター
(宮城県仙台市)の研究室に移送した。-80℃に凍結するまでの時間は 24-96 時間で
12

あり、大部分は 2 週間以内に解凍し、RNA 抽出した。
喀痰は一般細菌培養検査も行い、血液寒天培地において肺炎球菌(Streptococcus

pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophiles influenzae)、モラキセラ・カタ
ラーリス(Moraxella catarrhalis)の 3 菌種が分離された場合は、「細菌感染あり」
と判断した[53]。それ以外の菌種に関しては、グラム染色における喀痰品質、好中球
貪食像の有無などから総合的に判断し、上気道や環境中からのコンタミネーション
ではなく、起炎菌として矛盾がない場合は、「細菌感染あり」と判断した。その判断
は、1 名以上の呼吸器内科医と、2 名以上の検査技師の複数で確認した。今回の検討
では、血液寒天培地を用いても培養できないマイコプラズマ、レジオネラ、真菌な
どの病原微生物は、問診で疑わしい患者に限り検査を実施し、全例では確認してい
ない。

3.IC アッセイ
イムノエース®hMPV を、IC アッセイに基づく迅速抗原検査として使用した[38]。
鼻咽頭拭い液を抽出試薬溶液バイアルに挿入し、製造販売元の添付文書通りに検査
した[34]。喀痰は、フロックスワブを用いて可能な限り膿性部分もしくは粘性部分か
ら採取し、喀痰溶解剤などは使用せず、そのまま抽出試薬溶液バイアルに移した。
その後、鼻咽頭拭い液と同様に検査した。

4.RNA 抽出と cDNA 合成
ウイルス RNA は、各検体が入っている VTM 140 µl から、QIAamp Viral RNA
Mini Kit(Qiagen, Hilden, Germany)を使用して、添付文書のプロトコールに従
って、抽出した[54]。逆転写反応は、RNA 抽出液 10 µl と、cDNA 逆転写キット
13

ReverTra Ace®(東洋紡, 大阪, 日本)を用いたランダムプライマー10 µl を混合させ
た計 20 µl を 37℃、15 分で行った[55]。処理された cDNA は、定量 RT-PCR が検査
されるまで、-20℃で保存した。

5.定量 RT-PCR
処理された cDNA は、THUNDERBIRD® Probe qPCR mix(Toyobo, 大阪, 日本)
とライトサイクラー96 機器(Roche Diagnostics K.K., 東京, 日本)を用いた定量
qRT-PCR 手順よって増幅した[56]。各反応混合物は、cDNA 1 µl と、
THUNDERBIRD® Probe qPCR mix 5 µl、フォワードおよびリバースプライマーの
それぞれ 3 pM、および TaqMan® probe 2 pM (Roche Molecular Systems, CA,
USA) を含む合計 10 µl の混合液を反応させた。プライマーおよびプローブは、
Mackay らの方法[57](GenBank 登録番号:AF371337)に基づいて、hMPV ヌク
レオカプシドタンパク質(N)遺伝子を標的としたものを用いた。プライマーおよ
びプローブ配列を表 5 に示す。
定量 RT-PCR 反応は、95℃で 10 分間加温した後、95℃を 15 秒、55℃を 60 秒間
のサイクルを 50 サイクル反応させた。ウイルスコピー数は、N 遺伝子におけるプラ
イマーのターゲット領域を組み込んだプラスミドから in vitro transcription 反応に
よって増幅した hMPV RNA をもとに合成した cDNA(国立研究開発法人産業技術
総合研究所バイオメディカル研究部門:永井秀典博士から供与)を用いた標準曲線
によって算出した。10 倍希釈法により 103-108 コピーと判明している cDNA のうち、
3 つ(例:103、105、108 コピー)から得られた閾値サイクル(threshold cycle;Ct)
値との相関で得られる標準曲線と、臨床検体を 3 回分析したときの Ct 値の平均値を

14

比較して、ウイルスコピー数を算出した。

6.hMPV 中和抗体測定
各患者から、急性期(登録時=初診)と、回復期(終診時、もしくは 2-3 週間後)
のペア血清を採取した。本研究では抗体価測定に中和試験を使用した[45,46]。 ...

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44

January 2023.

45

Ⅹ.表の説明

表1

hMPV 関連検査の長所・短所

検査法

長所

短所

分離培養

・感染性のあるウイルスを得られる

・急性期診断ができない

・抗原性や宿主免疫反応の解析

・検査技術や経験が必要

・ワクチン株の獲得に重要

RT-PCR

・急性期診断が可能(約 1 時間)

・高価

・感度が高い

・検査技術や経験が必要

・様々な種類の検体が利用可能

・回復期症例や無症候性病原体

保有者も陽性となる

・保険適応は入院のみ

IC アッセイ

・急性期診断が可能(5-10 分間)

・RT-PCR と比較して低感度

・安価

・成人では保険適応なし

・検査機器、技術は不要

血清学的検査

・直近の有意な感染を示す重要な根拠 ・急性期診断ができない

・ペア血清が必要

・検査技術や経験が必要

46

表2

日本で販売されている IC アッセイに基づく迅速抗原検査キットの比較

製品名

製造販売元

承認年月 標的抗原 最低検出濃度

反応時間

(TCID50/ml)

チェック hMPV

大蔵製薬株式会社

2011.11

非公開

1.25×103

1.25×103

10 分

プロラスト hMPV

アドテック株式会社

2013.11

非公開

3.1×103

3.1×103

15 分

イムノエース®hMPV

株式会社タウンズ

2015.11

非公開

4.5×102

3.0×102

5分

2016.04

非公開

2.39×106

2.99×105

10 分

copies/mL

copies/mL

クイックチェイサー®hMPV 株式会社ミズホメディー

ラピッドテスタ hMPV

積水メディカル株式会社

2018.12

非公開

3.3×10

3.3×10

7分

アルソニック®hMPV

アルフレッサファーマ株式会社

2021.01

非公開

5.5×103

5.0×103

5分

承認年月の早い順番に、上から並べている。点線より上(4 製品)は、本研究開始ま

でに発売された製品であり、点線より下(2 製品)は、本研究開始後に承認された製

品である。承認年月、標的抗原、最低検出濃度、反応時間は、各製品の添付文書か

ら引用した[35-40]。最低検出濃度は、サブグループごとに分けて表記した。クイッ

ク チ ェ イ サ ー ®hMPV の み 、 最 低 検 出 濃 度 の 単 位 が 、「 TCID50/ml 」 で は な く

「copies/mL」となっている。

47

表 3

hMPV 検査法(IC アッセイ、RT-PCR)および、検体材料(鼻咽頭拭い液、

喀痰)の比較に関する既報告

対象 共通項目

基準

比較対象

既報告の有無、結論

小児 鼻咽頭拭い液 RT-PCR

IC アッセイ 感度 71-83%、特異度 94-96%

成人 鼻咽頭拭い液 RT-PCR

IC アッセイ 報告なし

成人 喀痰

RT-PCR

IC アッセイ 報告なし

成人 IC アッセイ

鼻咽頭拭い液 喀痰

報告なし

成人 RT-PCR

鼻咽頭拭い液 喀痰

喀痰が優越:2 編、同等:2 編

48

表4

Geckler の分類

細胞数/1 視野(100 倍率で鏡検)

扁平上皮

白血球

>25

<10

>25

10-25

>25

>25

10-25

>25

<10

>25

<25

<25

49

表5

塩基配列

ウイルスゲノム

上の位置

濃度(nM)

Forward: 5’-AACMGWGTRCTAAGTGATGCACTC-3’

nt1 613-639

500

Reverse: 5’-CATTGTTTGACCRGCHCCATAA-3’

nt 828-807

500

5’-FAM2- CTTTGCCATACTCAATGAACAAACT -BHQ-13-3’ nt 718-742

300

塩基配列

PCR primers

Taqman-probe

Mackay らの方法(GenBank 登録番号:AF371337)に基づいて、プライマー、プ

ローブをヌクレオカプシド領域に設計した[60]。DNA 合成により Taqman プローブ

が分解され、FAM が発光する。Forward はセンスプライマー、Reverse はアンチセ

ンスプライマーである。塩基配列の M は A+C、W は A+T、R は A+G、H は A+

C+T を表す。PCR 産物の大きさは、213 塩基対である。

1:

nt(nucleotide), 2: FAM(6-carboxyfluorescein)はレポーターとしての蛍光色

素, 3: BHQ-1(1,4-dihydroxy-2,5-di-tert-butylbenzene)はレポーターを抑止するク

エンチャーである。

50

表6

患者背景

hMPV セロコンバージョン

あり

なし

n=63(%)

n=274(%)

p値

平均年齢±SD

73.2±18.8

70.4±19.4

0.30

男性/女性

32/31

158/116

0.33

症状出現から受診までの期間±SD

4.11±2.93

5.07±6.01

0.07

入院/外来

53/10

228/46

1.00

肺炎あり/なし

56/7

232/42

0.55

CAP/HCAP

39/17

185/47

0.11

感冒症状のある人との接触あり/なし 18/45

67/207

0.52

小児との接触あり/なし

9/54

58/216

0.29

基礎疾患あり/なし/不明

56/7/0

221/52/1

0.15

細菌感染あり(重複含む)/なし

22/41

108/166

0.57

S. pneumoniae

11(50.0)

38(35.2)

0.23

H. influenzae

8(36.4)

36(33.3)

0.81

M. catarrhalis

2(9.09)

18(16.7)

0.52

その他

2(9.09)

24(22.2)

0.24

2(3.17)

13(4.74)

0.74

30 日以内死亡

平均入院日数±SD

21.4±24.6

17.6±11.5

0.28

ペア血清における中和抗体価の有意な上昇(4 倍以上)が観察された症例を hMPV

51

セロコンバージョンありと定義し、本研究の解析対象 337 例をセロコンバージョン

の有無で分け、患者背景を比較した。p<0.05 を有意とした。SD は標準偏差を示す。

CAP:Community-associated pneumonia(市中肺炎)、HCAP:Healthcareassociated pneumonia(医療ケア関連肺炎)S. pneumoniae:肺炎球菌、

H.influenzae:インフルエンザ菌、M.catarrhalis:モラキセラ・カタラーリス。

52

表7

鼻咽頭拭い液と喀痰における IC アッセイの hMPV 検出率

喀痰における IC アッセイ

陽性

陰性

鼻咽頭拭い液における IC アッセイ

陽性

26(65.0%)

陰性

14(35.0%)

数字は症例数、

)内は全体における割合。κ係数=0.54。

53

1( 4.3%)

22(95.7%)

表8

鼻咽頭拭い液と喀痰における定量 RT-PCR の hMPV 検出率

喀痰における定量 RT-PCR

陽性

陰性

陽性

32(84.2%)

0(

陰性

6(15.8%)

鼻咽頭拭い液における定量 RT-PCR

数字は症例数、( )内は全体における割合。κ係数=0.81。

54

0%)

25(100%)

表9

鼻咽頭拭い液における IC アッセイ、定量 RT-PCR の結果

定量 RT-PCR

陽性

陰性

陽性

26(81.3%)

1( 3.2%)

陰性

6(18.7%)

30(96.8%)

IC アッセイ

数字は症例数を示す。κ係数=0.78。

55

表 10

喀痰における IC アッセイ、定量 RT-PCR の結果

定量 RT-PCR

陽性

陰性

IC アッセイ

陽性

37(97.4%)

3(12.0%)

陰性

1( 2.6%)

22(88.0%)

数字は症例数を示す。κ係数=0.87。

56

表 11

セロコンバージョン陰性、かつ IC アッセイまたは定量 RT-PCR 陽性 3 例の

詳細

IC アッセイ

定量 RT-PCR セロコンバージョン

ペア血清の

採取間隔

鼻咽頭 喀痰 鼻咽頭 喀痰

Case 1

8日

Case 2

17 日

Case 3

15 日

+は陽性、-は陰性を示す。

57

表 12

喀痰の質と hMPV 陽性率との関係性

hMPV 陽性率(%)

鼻咽頭拭い液(n=63)

喀痰(n=63)

不良痰

良質痰

(n=38)

(n=25)

IC アッセイ

42.9

65.8

60.0

定量 RT-PCR

50.8

57.9

64.0

喀痰を良質痰と不良痰に分け、鼻咽頭拭い液の結果と比較した。良質痰は、100 倍

の視野倍率あたり 10 未満の扁平上皮と 25 個を超える白血球を有する検体とし、そ

れ以外の場合は、不良痰と判断した[55]。数字は hMPV 陽性率(%)を示す。

58

Ⅺ.図の説明

図1

Baltimore 分類

ウイルスは、蛋白質合成の鋳型となる mRNA(図中央:灰色)を作るためにどのよ

うな過程をたどるのかによって、Baltimore が提唱した方法で、以下 7 つの群に分

類される。

第 1 群:二本鎖 DNA ウイルス(+/- dsDNA);(例)単純ヘルペスウイルス、

アデノウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、天

然痘ウイルス、サル痘ウイルスなど。

第 2 群:プラス一本鎖 DNA ウイルス(+ ssDNA);(例)パルボウイルス、ボカ

ウイルスなど。

第 3 群:二本鎖 RNA ウイルス(+/- dsRNA);(例)ロタウイルスなど。

第 4 群:プラス一本鎖 RNA ウイルス (+ ssRNA);(例)コロナウイルス、ライ

ノウイルス、エンテロウイルス、ノロウイルス、デング熱ウイルス、A

型肝炎ウイルス、C 型肝炎ウイルス、E 型肝炎ウイルスなど。

第 5 群:マイナス一本鎖 RNA ウイルス (- ssRNA);(例)hMPV、RSV、イン

フルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、エボラウイルスな

ど。

第 6 群:プラス一本鎖 RNA 逆転写ウイルス(+ ssRNA-RT);(例)ヒト免疫不

全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)、ヒト T 細胞白血

病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus:HTLV)など。

第 7 群:二本鎖 DNA 逆転写ウイルス (+/- dsDNA-RT);(例)B 型肝炎ウイ

59

ルスなど。

+はプラス鎖、-はマイナス鎖、+/-は二本鎖を示す。

図2

患者登録状況

2017 年 8 月 1 日から 19 年 12 月 31 日までに、16 歳以上の LRTI 365 例が本研究に

参加された。そのうち、鼻咽頭拭い液と喀痰が揃わなかった症例が 13 例、ペア血清

を採取できなかった症例が 12 例であり、本研究への参加に的確であると判断され、

登録されたのは 340 例だった。さらに、3 例は、真菌によるコンタミネーションに

より、臨床検体を含む VTM を定量 RT-PCR に利用することができなかったため除

外した(a)。最終的に 337 例が解析対象となった。そのうち、ペア血清の抗体価が

4 倍以上増加した症例(hMPV セロコンバージョンあり)は 63 例存在した(b)。

図3

セロコンバージョンの有無別に見た成人 LRTI 症例数の月次分布

縦軸は、症例数であり、hMPV セロコンバージョンが見られた症例は黒棒、セロコ

ンバージョンが見られなかった症例は白棒で示している。 横軸は本研究の調査期間

を示す。

図4

抗体価と IC アッセイ、定量 RT-PCR の関係性

図の各区画の数字は、セロコンバージョン(下、灰色の円)、と、IC アッセイ(左

上)、定量 RT-PCR(右上)結果との関係性を示す。A は鼻咽頭拭い液、B は喀痰の

結果を示す。円内の数字は、各検査の陽性例数を示す。セロコンバージョン、IC ア

ッセイ、定量 RT-PCR のいずれも陰性だった症例は、記載を省略した。

60

図5

鼻咽頭拭い液と喀痰のいずれも定量 RT-PCR が陽性だった hMPV-LRTI 32 例

におけるウイルスコピー数

肺炎(市中肺炎、医療介護関連肺炎)と非肺炎(急性細気管支炎、急性気管支炎)

で分けて示す。縦軸は定量 RT-PCR で算出したウイルスコピー数(/ml)を示す。同

一の症例の結果をそれぞれ線で結んでいる。実線は鼻咽頭拭い液よりも喀痰のウイ

ルスコピー数が多かった症例、破線は喀痰よりも鼻咽頭拭い液のウイルスコピー数

が多かった症例を示す。ウイルスコピー数の横にアスタリスク(*)が記載されて

いる 7 検体(鼻咽頭拭い液 6 検体、喀痰 1 検体)は、IC アッセイ陰性だった。

61

図1

+ ss

(第2群)

+ ss

( 第6群 )

+ ss

(第4群)

ss

ss

+ - ds

(第1群)

ss

ss

+ - ds

( 第3群 )

- ss

(第5群)

62

+ - ds

(第 群)

図2

n 3 5

n 3 0

n 3

n 33

hM

hM

63

Aug

Sep

an

Fe

Mar

Apr

May

un

ul

Aug

Sep

an

Fe

Mar

Apr

May

un

ul

Aug

Sep

図3

hM

hM

64

図4

n 33

30

65

図5

hM

ml

n 3

n 0

n 3

05

05

66

...

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