リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「血中プロレニン濃度の臨床的意義に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

血中プロレニン濃度の臨床的意義に関する検討

川村 沙友希 北里大学

2021.07.20

概要

内分泌疾患の診療においては、血中や尿中の様々なホルモン濃度を測定して診断を行っている。原発性アルドステロン症やその他レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系に関わる疾患や病態の評価には血漿レニン活性が用いられているが、血漿レニン活性は体位変換や薬剤の影響で大きく変動するため、正確な評価のためには一定期間の薬剤中止や、食事や体位の制限を設けたうえで採血を施行する必要がある。その煩雑さや様々な因子の影響を加味し評価する必要があることから臨床的に頻用されにくい現状がある。そこで、血漿レニン活性に代わる、もしくは補助的な臨床指標の可能性としてプロレニンに着目した。プロレニンは腎臓の傍糸球体細胞で産生され循環血液中に分泌されるが、一部は細胞内で活性型レニンにプロセシングされて分泌される。プロレニンが循環血液中の主な形であり、レニンの血中濃度よりも 10 倍以上高濃度で血漿中に存在するとされている。これまでのプロレニン測定に関する報告においては、プロレニン活性で代用する方法や、総レニン濃度からプロレニン濃度を間接的に求める方法が多く用いられており、プロレニン分子を直接的に捉える測定系で臨床に用いられるものはない。本研究室では独自の「網羅的抗表面抗原抗体作製法」を用いてプロレニンオープン構造部位N端の 11 アミノ酸配列に特異的な家兎由来ポリクローナル抗体を作成し、これにマウス由来抗プロレニンオープン構造部位 C 端側モノクローナル抗体を組み合わせたサンドイッチ免疫酵素抗体法(ELISA)の確立に成功した。本研究において血漿および血清プロレニン濃度の臨床的意義を検討することを目的とした。

ウェスタン解析より、ヒト血漿免疫反応性プロレニンは 3 つ、血清免疫反応性プロレニンは 2 つの主要な成分で構成されていた。血漿と血清で共通して、翻訳後修飾を受けたプロレニン全長と C 端側レニン/プロレニン共通配列で切断された断片が存在した。血漿中で検出可能であった高分子量のアルブミン結合プロレニンは、ヒト血清中には存在しなかった。新たに確立した ELISA でも、血清および血漿プロレニン濃度は相関していたが、血清プロレニン濃度は血漿より低値であった。血漿および血清ともにプロレニンは翻訳後修飾を受けており、翻訳後修飾の影響で抗体による免疫反応が阻害されプロレニン分子を確実に捉えて測定することが困難となっていた可能性が示唆される。新たに確立した ELISA ではプロレニンプロセグメント領域に特異的な抗体を使用し、プロレニン分子を確実に捉え正確なプロレニン濃度の算出ができる可能性がある。ELISA で測定した血清プロレニン濃度は男性に比べ女性で有意に高値であり、プロレニンが黄体期に上昇することが影響していたと考えられる。血中プロレニン濃度は、体位変換による生理的変動の影響を受けず、外来での随時採血での評価が可能な安定的な指標であると考えられ、今後の病態評価に活用できることが期待される。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る