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大学・研究所にある論文を検索できる 「Unique Electrophysiological Properties of Fast-Slow Atrioventricular Nodal Reentrant Tachycardia Characterized by a Shortening of Retrograde Conduction Time via a Slow Pathway Manifested During Atrial Induction.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Unique Electrophysiological Properties of Fast-Slow Atrioventricular Nodal Reentrant Tachycardia Characterized by a Shortening of Retrograde Conduction Time via a Slow Pathway Manifested During Atrial Induction.

田村, 峻太郎 タムラ, シュンタロウ Tamura, Shuntaro 群馬大学

2020.06.30

概要

心臓電気生理検査におけるプログラム刺激はリエントリー性頻拍の診断において重要である。リエントリー性頻拍が起こるためには回路における一方向性ブロック、緩徐伝導路が必要であり、リエントリー性頻拍をプログラム刺激で誘発、entrainmentする場合には緩徐伝導路に頻拍の正方向性伝導と逆方向への興奮も侵入する。リエントリー性頻拍の中で房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)は、房室結節に存在する二重伝導路(遅伝導路と速伝導路)をリエントリー回路とする頻拍で、その中でもFast-Slow(F/S)型AVNRTは速伝導路を順伝導路、遅伝導路を逆伝導路とする上室性頻拍である。F/S型AVNRTの場合、心臓電気生理検査において頻拍中のAH時間に速伝導路の順伝導時間、HA時間に遅伝導路の逆伝導時間が反映される。頻拍誘発時には遅伝導路へ順行性にも興奮が侵入すると考えられるが、その興奮がその後頻拍中の遅伝導路の伝導性に与える影響は明らかになっていない。そこでF/S型AVNRTが心房刺激で誘発される際に遅伝導路へ順行性に侵入する興奮が、その後の遅伝導路の頻拍中の逆伝導にどのように影響するのか評価することを目的に研究を行った。頻拍誘発時の最初のAH時間、HA時間、頻拍周期をAH(1)、HA(1)、TCL(1)とし、頻拍周期の安定した段階での各インターバルをAH(T)、HA(T)、TCL(T)としてそれぞれの差を比較した(AH(1)-AH(T)をΔAH、HA(1)-HA(T)をΔHA、TCL(1)-TCL(T)をΔTCLと定義した)。ΔTCL<-20をincremental response、誘発時と頻拍周期安定後のTCLがほぼ同等のbalanced response、ΔTCL>20をdecremental responseとして分類したところ、incremental response、balanced response、decremental responseはそれぞれ誘発された全頻拍の35%、38%、27%となった。また、48%の症例で2種類から3種類の複数のresponseを生じていることがわかった。

 頻拍中のAH時間、HA時間は単純に速伝導路、遅伝導路の伝導時間だけではなく両伝導路の下流からヒス束に存在する下位共通路の伝導時間も含んでおり、誘発直後のAH時間は下位共通路の伝導時間延長の影響も受ける。もしそれだけの影響であれば頻拍安定後には下位共通路の伝導時間延長は解消され頻拍時と誘発時の伝導時間の差であるΔAHとΔHAはほぼ等しくなるはずであるが、incremental response群ではΔAHの変化と比較してΔHAの負の値が大きくなっていた。その結果からincremental responseが下位共通路の伝導時間の延長のみではなく、何らかの要因で遅伝導路の逆伝導時間が短縮して生じていることが示唆された。また、頻拍の2拍目のAH時間、HA時間は頻拍安定時とほぼ同等でありHA時間の短縮は心房刺激による誘発時のみに生じていた。同一例において複数の反応がみられるのは房室結節の減衰伝導特性と遅伝導路の逆伝導時間短縮のバランスによるもので、balanced responseは下位共通路伝導時間延長、順行性速伝導路の減衰伝導特性が遅伝導路の伝導時間の短縮で相殺されることで説明可能であり、decremental responseは順行性伝導路の減衰伝導特性が遅伝導路の逆伝導時間短縮効果を上回るために生じていると推定される。

 心房刺激により速伝導路の室房伝導時間が短縮することが以前より知られており我々は心房刺激で遅伝導路の室房伝導時間が短縮した症例を報告しているが、AVNRT誘発時の心房刺激で遅伝導路の逆伝導時間が短縮したという報告は今までにはない。伝導時間短縮の理由としては心房刺激で生じた興奮が速伝導路を順伝導するのと同時に遅伝導路も順行性に伝導して遅伝導路内で興奮が衝突し、遅伝導路への順行性興奮により頻度依存性の減衰伝導が生じその直後の遅伝導路の逆行性伝導時間が短縮している可能性が考えられるがまだその機序は明らかではない。

 その他のマクロリエントリー性頻拍においてペーシングによる誘発時に逆行性伝導路の伝導時間が短縮する現象は観察されておらず、房室結節組織のリエントリーで生じる頻拍に特異的であるとすればAVNRTの診断に有用となる。また、AVNRTの診断のための心臓電気生理検査では心房からのエントレインメントマッピングや心房期外刺激を行うが、逆行性遅伝導路の伝導時間短縮によりペーシング後の反応が修飾される可能性があり今後リエントリー性頻拍の電気生理検査の結果を解釈していく上で非常に重要な結果であると考えられる。

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