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大学・研究所にある論文を検索できる 「紛争後の農民の生計再建における制約要因-スリランカ東部の難民帰還地域を対象に-」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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紛争後の農民の生計再建における制約要因-スリランカ東部の難民帰還地域を対象に-

山田 翔 東北大学

2020.02.29

概要

【目的】
紛争影響を受けた国の人口の 56%は生計の大半を農業に依存する農村部に居住しており、多くの紛争では農村部の人々と農業、フードシステム、生計に重大な影響が及ぶことがわかっている(FAO, IFAD, UNICEF & WHO 2017 p44)。原田(2017)はスリランカの紛争後復興において、経済活動の早期再開と拡大が生計再建において重要であるとしたが、それを実行できる世帯とそうでない世帯の違いや、拡大を制約する要因に関しては明らかにされていな い。本研究の目的はスリランカ東部の難民帰還地域を対象とし、紛争後の農民の生計再建において特に稲作の再開および拡大を制約する要因を明らかにし、稲作が生計再建に果たす役割を分析することである。

【方法】
調査地はスリランカ東部トリンコマリー県において、国内避難民の帰還者数が最も多いムトゥール郡から、稲作が主要な生計手段でありカーストが同程度であるタミル人コミュニティを選定した。そして同地において稲作を規定する諸条件を明らかにする上で、Sustainable Livelihoods Approach の視点に基づき構造化インタビューを行った。

【分析結果】
調査対象 41 世帯のうち、稲作を再開していない世帯は 4 世帯、再開済みの世帯は 37 世帯あった。前者と後者を比較すると、稲作を再開していない世帯は、人的資本と金融資本に乏しいという共通点がみられた。再開済みの世帯の稲作収入は中央値で 17,083Rs/月であり、スリランカ中央値の 43,551Rs/月を大きく下回っていることが明らかとなった。こうした収入の少なさに繋がっている要因には、①紛争による灌漑設備の損傷と降水量の減少によって水供給が不安定となり、低価格でも収量が水供給に影響されにくい Nadu 種の栽培を行っていること、②耕作面積の狭さが考えられた。

【結論】
Nadu 種栽培でトリンコマリー平均(46,113Rs/月)の収入を得る場合 17.5 エーカーが必要となるが、同地における小農の多さと同国の土地制度上こうした規模拡大は困難であると考えられる。一方中央値的な耕作面積(4 エーカー)をもつ農家が Samba 種に転換した場合、稲作収入は 50,610Rs/月となり、スリランカ平均(62,223Rs/月)には及ばないものの中央値 (43,551Rs/月)は上回ることが出来る。しかし多くの農家はタンクと呼ばれるため池に水源を依存しており、根本的に降雨に影響される。実際、紛争前と比べ降雨が少なく不安定になっているとした世帯は 65%おり、生計再建において稲作収入の増加を目指す場合、水供給が大きな制約となっていることが考えられる。

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