リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「接触快適感の計測評価システムに関する感性工学的研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

接触快適感の計測評価システムに関する感性工学的研究

上條, 正義 信州大学

2021.03.01

概要

1版

様 式 C−19、F−19−1、Z−19 (共通)

科学研究費助成事業  研究成果報告書
令和

元 年

6 月 19 日現在

機関番号: 13601
研究種目: 基盤研究(B)(一般)
研究期間: 2016 ∼ 2018
課題番号: 16H02888
研究課題名(和文)接触快適感の計測評価システムに関する感性工学的研究

研究課題名(英文)Investigation of measurement system of comfortable tactile sensation in KANSEI
engineering research
研究代表者
上條 正義(Kamijo, Masayoshi)
信州大学・学術研究院繊維学系・教授

研究者番号:70224665
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)

12,700,000 円

研究成果の概要(和文):本研究の目的は、人が繊維製品と接触した際に発現する快適感もしくは不快感を定量
的に評価する方法を人の動作や心理生理反応の計測から実現し、接触快適感を持つ繊維製品の開発に貢献できる
計測評価技術について検討することである。研究実施として①綿タオルをサンプルとした接触感評価について、
②肌着を対象とした温熱感および肌触り感評価について、③手触りにおける粗さ感について、④被服圧迫につい
て実施した。ふかふか感を評価できる方法、温熱快適感がある肌触りが良い肌着編布の仕様、粗さ感を発現する
ための表面特性の機序、圧迫を含めた刺激に対しての個人対応の必要性などが明らかになった。

研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究は、物理刺激に対する人の心身反応を計測し、心理的な評価だけでなく、健康学的な側面から接触に伴う
快適/不快を評価するための方法を検討した。接触している際の心理生理反応を計測したデータから接触快適感
を評価するための指標を特定することを試みた。繊維製品との接触時の人の心身状態が把握できるようになるこ
とによって快適/不快状態を誘発する繊維製品の特徴を評価でき、人に快適感を賦与する特性を持つ繊維製品を
設計のための技術として、これからのモノづくりに寄与することができると考える。接触快適感を計測評価する
装置を構築するための必要要件の一端を明らかにすることができた。
研究成果の概要(英文):The purpose of this study is to realize a method of quantitatively
evaluating the comfort or discomfort that occurs when a person comes in contact with textile
products from the measurement of human behavior and psycho-physiological responses. We clarified the
necessary requirements to achieve the research purpose through four kinds of experimental studies:
(1) about the touch feeling evaluation which made cotton towel a sample, (2) about thermal sensation
and touch evaluation for underwear a target, (3) about the surface roughness feeling in touch, (4)
about the feeling of clothing pressure. The necessary requirements are how to evaluate the FUKAFUKA
feeling, specifications of a comfortable knitted fabric with a thermal comfort sensation, the
mechanism of surface characteristics related a roughness sensation, the grasp for individual
psycho-physiological responses according to stimuli including pressure.

研究分野: 感性工学
キーワード: 感性計測評価 着心地 触り心地 肌触り 快適感 温熱快適感 被服圧迫 表面粗さ



式 C-19、F-19-1、Z-19、CK-19(共通)

1.研究開始当初の背景
本研究では、
“繊維製品は快適感を有する製品特性を持つ”を背景に、この特性を評価するた
めに、繊維製品の物理特性や性能に起因する物理刺激が人に与える影響を心理生理反応計測か
ら明らかにし、人間にとって快適な状態とその快適な状態をもたらす物理刺激を定量的に表現
する方法を構築するための感性工学に基づいた研究である。
2.研究の目的
柔らかくふかふかしたなど接触して快適と感じる感覚は、綿タオル、布団、クッションのよ
うな厚みがあり、柔らかい特性を持つ繊維製品の大きな魅力の一つである。しかし、これらの
繊維製品が持つ材料特性を定量的に計測するシステムの開発が遅れていることから、繊維製品
に対する接触快適感の心理的および生理的な知覚メカニズムも明確になっていない。本研究で
は、人が繊維製品と接触した際に発現する快適感もしくは不快感をどのように知覚しているか
を動作や心理生理反応から計測し、繊維製品との接触感を評価するための方法を検討する。さ
らに、接触感に関連した材料特性を定量的に計測できる接触快適感計測評価システムについて
検討する。
3.研究の方法
研究実施項目は、4 項目:①綿タオルをサンプルとした接触感評価について、②肌着を対象
とした温熱感および肌触り感評価について、③手触りにおける粗さ感について、④被服圧迫に
ついて、に大別される。
①綿タオルをサンプルとした接触感評価について
繊維繊度、繊維長、太さ(番手)、撚り数、精紡方法などの仕様が異なる綿糸を用意し、13
種類の綿タオルを作製した。そのタオルサンプルの材料特性や接触感を評価して、タオルの接
触特性の差を明らかにした。ふかふか感が異なる試料を用意するために、糸、パイル長、柔軟
剤処理の有無が異なるタオル生地を作製した。糸は A(撚り係数 3.38),B(撚り係数 2.54)の 2
種類の綿糸、パイル長は 9,11,13mm の 3 種類のタオル生地を用いた。さらに、このタオル生
地を柔軟剤処理した生地と処理しない生地を用意した。試料のふかふか感は一対比較法(中屋
の変法)によって 7 段階評定(差がない-やや-かなり-非常に)で評価し、評定に対して 0~±
3 の評点を当てはめて集計した。被験者は大学生 20 名(男性 10 名,女性 10 名)であった。
②肌着を対象とした温熱感および肌触り感評価について
疎水性と親水性素材の混紡糸によって水分移動特性に富むことによって、肌触りも良くなる
と仮説し、ポリプロピレン(PP)と他素材の混紡糸を用意して、複数の編生地による肌着を作製
した。これらの生地の材料特性を調査し、着衣実験によって、被服内の温熱現象や人体の生理
反応を計測することによって、温熱感および肌触り感について検討した。実験は、サンプルを
変えて 2 種類:
【実験 1】では、PP と綿との混紡糸による接触感が良い肌着の可能性を検証する
実験、
【実験 2】人体に熱呈示した際の温熱刺激と生理・心理反応の反応特性の調査、を実施し
た。
【実験 1】PP と綿を用いて 25%ごとに混用率を変えた四つの紡績糸から編布を作製し、これら
についての材料評価を JIS、KES、ボーケン法などによって調査し、接触特性が好ましいと考え
られる PP と綿との混用率を特定した。この結果から PP と綿との最適な混用率を求め、着衣実
験用のサンプル仕様を決めた。
数種類の肌着サンプルを作製し、接触快適感を心理生理反応計測によって評価する着衣実験
を実施した。実験プロトコルは、着衣後 10 分間の初期安静後、10 分間エルゴメータで運動し
発汗をうながした後、20 分間の椅坐位安静での生理反応、心理反応を採取した。生理反応とし
ては、心電図、指尖末梢血流、呼吸、皮膚表面温度、衣服内湿度を計測し、心理反応としては、
温熱的特性、水分移動特性、通気特性、力学的特性、総合的な着心地に対応した 10 個の形容詞
対について 10 分毎に印象を聞きとった。
【実験 2】温熱感評価においては、生理反応から評価するための指標の特定を行うために、
(1)
恒温恒湿室の温度、湿度を中立環境から暑熱環境へ、暑熱環境から中立環境へ変化させた際の
皮膚へ放射熱を呈示した際の心理反応と生理反応を計測して、温熱感を評価する研究と(2)
温調スーツを作製して、人体に伝導で熱を呈示した際の心理反応と生理反応を計測する実験を
実施した。
③手触りにおける粗さ感について
指先による触察動作によって表面粗さを人は評価できるが、人の違いによる評価のバラツキ
が生じる。表面粗さの評価における人の認知メカニズムを明らかにするために、複雑な特性が
複合している繊維製品ではなく、樹脂にドットパターンを作ったサンプルを作製して、触察動
作による官能評価から表面粗さの心理構造について調査した。
ドットパターンの基本的な寸法がどのような触感因子に影響するかを調べるため、ドットの

間隔と直径を変化させて触察と目視における印象を評価する実験を行った。ABS 樹脂を射出成
形して 6 種類の試料を製作した。粗滑感・硬軟感・温冷感・乾湿感を含む 8 項目の質問につい
て一対比較法により感覚量を求めた。視覚的な刺激を定量化するため 2 次元色彩輝度計を用い
て試料表面の詳細な輝度分布を測定し、マイケルソンコントラストをはじめとする特徴量を算
出した。
ドット高さが知覚されるには、ドット間の平面に皮膚が接触する必要があることから、接触
した状態(底付き)と接触しない状態(底浮き)とでドット高さと粗さ感の関係が変化すると
予想し、これを確認する実験を行った。曲率一定で間隔と高さを変化させた 9 種類の試料を製
作し、一対比較法により粗さ感を評価した。
ドット曲率の影響について検討するために、インクジェット式 3D プリンタを使用してドット
の間隔と曲率の組合せが異なる 44 種類の試料を作成し、これらの中から同等の粗さ感を示す組
合せを探索する実験を行い、ドットの間隔・曲率の 2 次元平面上に粗さ感の等高線を求めた。
④被服圧迫について
着衣快適感評価は、被服による圧迫、被服による熱、被服の表面粗さなどの刺激が人体の多
感覚に呈示されることによって発現することが知られている。被服だけでなく、繊維製品との
接触快適感を計測評価する場合においてマルチモーダルな刺激による心身反応から評価する方
法を検討する必要がある。ここでは、被服圧迫を対象し、圧迫刺激の体性感覚への呈示と視覚
からの情報の呈示によって生理反応が異なるかを調査した。快適感評価手法の基礎研究として
ウエストベルトによる衣服圧下における体格差と心身反応との関係を調査した。体格差の影響
を明らかにするために、fNIRS、心電図、官能検査、体重、体脂肪、BMI、胴囲を測定した。研
究対象者は 10 人の健康な成人大学生であった。
4.研究成果
①綿タオルをサンプルとしたふかふか感評価について
綿タオルのための綿糸について、撚り係数が異なる 5 種類、精紡方法が異なる 3 種類、番手
が異なる 3 種類、繊維繊度が異なる 3 種類、カード糸コーマ糸の 2 種類、繊維長 2 種類を用意
した。この糸を用いて、糸密度は経糸 38 本/in、緯糸 45 本/in、パイル長は織機設定で 12mm
に統一してタオルを作製した。綿タオルの材料特性として、吸水性、引張特性、せん断特性、
圧縮特性、温熱特性、通気特性、吸水特性、吸水速乾特性、摩擦特性、曲げ特性を KES や JIS
に基づく方法で測定した。綿タオルの肌触り感についてシェッフェの一対比較(中屋変法)を用
いて八つの評価項目〈あたたかい、乾いている、なめらか、弾力感がある、ボリューム感があ
る、押しやわらかい、曲げやわらかい、肌触りは良い〉に対して 7 段階(非常に・かなり・やや・
どちらでもない)で研究対象者に評価させた。試料が視覚的に見えない状態で触察だけの評価を
行ってもらった。実験環境は室温 24℃、湿度 55%RH とした。研究対象者は男性 5 名、女性 5 名
の計 10 名(23±1 歳)だった。結果として、材料特性と手触り感評価それぞれで、仕様に応じた
特性差があることが示された。ただし、材料特性と手触り感評価結果の一致性が低かった。
タオルの主要特性である吸水感を官能評価するための実験環境を調査するために、前腕を水
で濡らし、拭き取った際の皮膚表面に残る水分についての感覚を吸水感とし、研究対象者には
吸水感を「感じる-感じない」について 5 段階の評定(±3 の評点)で官能評価してもらった。
最も吸水感覚が感じやすい環境を明らかにするために、実験の気候環境を①温度変化:湿度を固
定し、温度を 10~30℃の範囲で変えた条件,②湿度変化:温度を固定し、湿度を 30~70%RH の
範囲で変えた条件,③風速変化:温湿度を固定し、風速を 0~0.2m/s で変えた条件で実験した。
結果として、吸水感の差異が知覚されやすいのは、温度 14℃、湿度 35~40%RH、風速 0~0.1m/s
の環境であった。しかしながら、JIS に規定されたタオルの吸水性試験である沈降法、表面吸
水法の結果と一致しなかった。濡れた綿布からタオルへの水分移動量測定方法を提案して実験
した結果、吸水感に対応した結果が得られた。吸水感に合致した吸水性評価が行える要件とし
て、①少ない量の水を吸水する、②圧を加えて水をタオルに吸水させない、③水とパイル糸が
触れる程度の接触などの要件を満たした新しいタオルの吸水特性評価方法が必要であることを
明らかにした。
ふかふか感評価において、3 軸直交マニピュレータと力覚センサを組み合わせた装置を作製
し、センサからの出力信号を処理してマニピュレータを制御するためのシーケンサーが搭載さ
れた計測装置を作製した。圧縮特性試験を行い、ふかふか感と対応する可能性がある圧縮条件
と評価指標についての予備実験を行った。その結果、圧縮回復特性に関する指標がふかふか感
と対応する可能性が得られ、ふかふか感評価の動作規範となる知見が得られた。官能評価結果
で得られた試料間の差と同様な傾向を示す指標を試験機の出力から特定することを試みた。圧
縮試験では、接触子で上面からタオルを圧縮し、連続 3 回往復させた。接触子は厚さ 1cm、直
径 10cm の鉄製の円盤であった。測定条件は荷重 10/30/50[N]の 3 種類とした。測定速度は
100[mm/min]とした。圧縮試験で得られた応力-歪曲線から、圧縮硬さを示す:KLC、圧縮エネル
ギーを示す:KWC、圧縮反力を示す:KRC を定義し、7 回の測定結果より、最大値、最小値を除
いた 5 回分から平均値を算出した。
結果として、各圧縮特性値「KLC」
「KWC」
「KRC」では、官能評価結果と合致した評価に有効な
指標とはならなかった。
パイル長 13mm の 2 試料は KLC と KWC の値が高く、KRC の値が低かった。

三つの圧縮特性値は、パイル長に基づく試料厚さの影響を大きく受けたと考えられる。人がふ
かふか感を触察する際の動作分析結果から、繰り返し押し込む動作の中でふかふか感を知覚し
ている傾向があったため、圧縮荷重「30N/10N」,
「50N/30N」の対比となるように三種類の圧縮
特性値それぞれを算出した。この値と平均嗜好度「ふかふか感」との相関係数を求め、ピアソ
ンの積率相関係数で無相関検定を行った。KWC、KRC において 30N から 50N へ圧縮荷重を大きく
した時、ふかふか感と高い相関が得られた。特に、KRC において相関係数(r=0.943)が高かった。
ふかふか感を評価する際、人は複数回、試料を圧縮することで事前との圧縮状態の対比からふ
かふか感を知覚している可能性が示唆された。圧縮荷重を段階的に変えて加圧する同一試料へ
の連続圧縮は、ふかふか感評価のために有効な測定方法であるとの知見を得た。
②肌着を対象とした温熱感および肌触り感評価について
【実験 1】編布の材料特性(伸長、せ
ん断、曲げ、圧縮、表面、重量、厚さ、
温熱、通気、水分特性)を JIS、KES、
ボーケン法などによって調査した結
果、PP75%、綿 25%の混用率の編布が接
触感が良い可能性が得られた。これを
検証するために、三種類の紡績糸 (1)
PP/R (レーヨン 70%/ PP30%), (2) PP/C
(綿 70%/ PP30%),(3) C (綿 100%)から
編布を作製し、長袖Tシャツとして着
衣実験を実施した。KES を用いた曲げ
特性、圧縮特性、表面特性、熱移動特
性、通気特性とボーケン法(BQE A 028)
を用いて吸水速乾性を測定した。全て
図1
LF/HF の経時的変化 (**p<0.01, *p<0.05)
の計測項目において、実験環境は温度
20℃,相対湿度 65%R.H.とした。研究対
象者は9名であった。平均皮膚温および衣服内湿度は温湿度センサを使用して測定された。
平均皮膚温度は PP/C、C、PP/R の順に測定開始から終了まで高かった。衣服内湿度において
は、運動直後で C と PP/C/R,PP/C との間に有意差が認められ、C の衣服内部の湿度は急速に上
昇し,運動後のサンプルの中では最も大きなものであり、次に PP/C が大きかった。心電図から
LF/HF を求めた結果を図 1 に示す。運動後において、PP/C の LF/HF 値が最も低値であり、他の
サンプルとの有意差が認められた。PP/C は、通気性が良く発汗に伴う水分処理性能が良く、発
汗時の接触感が良いことが示された。
【実験 2】
(1)の放射による熱呈示における心理反応と生理反応を計測した結果、心理反応と
生理反応には違いがあり、湿度を変化させた際は、心理反応としては、暑熱環境になれば、不
快感が増加するが、生理反応においては、発汗ができる状態であれば、LF/HF などの自律神経
活動指標に大きな変化はなく、ストレス反応を示さないことが示された。心理反応と生理反応
には差異があるため、着衣快適感評価においては、心理反応と生理反応のそれぞれから評価す
る必要性があることが明らかになった。
(2)の伝導による熱呈示実験においては、顔面もしくは、前額部の血流もしくは温度が温熱的
な不快感と対応した変化があり、温熱評価指標として利用できる可能性を得た。また、体幹部
に対する熱呈示は、発汗を誘発し、汗冷えにともなう不快感を誘発することが確認され、前腕
や下腿など遠位の身体部位に熱呈示することによって温熱的快適感が誘発されることが示され
た。寒冷環境においては、遠位な身体部位から徐々に熱呈示し、発汗を誘発しない程度の熱呈
示を行うことが温熱快適感にとっては重要であることがわかった。
③手触りにおける粗さ感について
触察および視覚による実験でも粗滑感については試料間で明確な違いがみられた。硬軟感や
温冷感といった素材物性に依存する因子では明確な差が生じなかった。粗さ感と特徴量の関係
について検討した結果、触察粗さ感はドット間隔と,目視粗さ感はドット直径およびコントラ
ストと高い相関を持ち、触察では刺激の周期が、目視ではドット直径から決まるコントラスト
等の光学的特徴が粗さ感を判断する手掛かりになることが明らかとなった。
予想された底付きによる粗さ感の変化が確認され、ドットが低い領域に限り粗さ感がドット
高さにしたがうことがわかった。底付きが生じる境界の寸法条件はドット高さ/ドット間隔の
比で 1/35~1/24 と推定された。
実験で得られた等高線から粗さ感はドット曲率の対数値と線形の関係になることがわかった。
重回帰分析により粗さ感をドット間隔・曲率の線形和の形で表す推定式を求め、推定値は実験
結果と概ね一致することを確認した。この式の係数は粗さ判断における各寸法の重み付けを表
すと考えられる。等高線パターンは被験者間で大きな違いがみられ、粗さ感の判断においてド
ット間隔を重視するかドット曲率を重視するかという被験者のタイプの違いを示すことができ
る可能性を得た。

④被服圧迫について
体脂肪の違いは、衣服圧による脳の血行動態や心拍数の変化に影響することが示唆された。
低体脂肪の被験者は、圧迫刺激に対してより敏感に反応し、一方、高体脂肪の被験者ほど圧迫
刺激に対する生理反応の耐性があったと推察される。体脂肪による体格の個人差を考慮した着
衣快適性評価の必要性を確認した。この結果から、人を対象にして心理生理反応から快適感や
ストレスを評価する上で研究対象者の個人特性を把握して結果を分析することが必要であると
いう知見を得た。 ...

この論文で使われている画像

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る