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大学・研究所にある論文を検索できる 「A Study on Prenatal Smoking Cessation Intervention among Public Health Nurses in Japan」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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A Study on Prenatal Smoking Cessation Intervention among Public Health Nurses in Japan

李, 猛 大阪大学

2021.12.23

概要

妊娠中の喫煙は、出産時の早期破水や前置胎盤、胎盤異常、低出生体重児、及び出生後乳児期の乳児突然死症候群の原因となることが報告されている。現在、日本では、妊婦の喫煙率は、5.1%~7.5%と推計されており、同時に、妊婦の受動喫煙が課題であることも報告されている。このような状況の改善に向けて、妊娠期から出産後まで継続して地域の全数の母子と関わる機会を持つ市町村保健師は、妊産婦の喫煙率低下、及び受動喫煙防止に寄与する活動ができると考える。しかしながら、保健師による産前からの禁煙支援の推進に関する研究は未だなされていない。そこで、本研究は、保健師による産前からの禁煙支援実践の評価、及び禁煙支援実践に影響を与える要因について検討した。

【研究1】保健師による産前からの禁煙支援実践を評価する尺度の開発
目的:本研究は、保健師による産前からの禁煙カウンセリング尺度の開発及び、尺度の妥当性と信頼性を検討することを目的とした。

方法:研究デザインは、自記式質問紙調査を用いた横断的研究である。研究対象者は、ランダムに選択された全国の市町村と特別区の431保健センターで働く1988名の常勤保健師であった。尺度原案は36項目で構成されており、文献検討と10名の熟練保健師への半構造化面接、予備調査に基づき作成された。分析方法としては、項目分析と探索的因子分析、及び既知のグループによる基準関連妥当性の分析を行った。

結果:回収数は604(回答率:30.4%)であり、有効回答550件について分析した。回答者は主に女性(98.2%)で、平均年齢は37.5(±9.37)歳であった。探索的因子分析では、2つの因子が抽出され、すべての項目の因子負荷は0. 40以上であった。因子1は11項目であり、禁煙支援の基本的要素を含むことから「基本的なカウンセリング」と命名された。因子2は7項目であり、高度な支援技術を含むことから「高度なカウンセリング」と命名された。尺度のCronbach' s αは、0.918であり、内的一貫性が確認された。累積寄与率は44.9%であった。保健師として働いた経験年数群別に、尺度全体と2つの下位尺度の得点を比較したところ有意な差がみられ、妥当性が検証された。

結論:研究結果より、本尺度の一定の信頼性と妥当性が検証され、保健師の禁煙支援実践を評価できる尺度が開発された。

【研究2】看護師による禁煙支援に影響を与える要因に関するナラティブレビュー
目的:本研究は、文献レビューに基づき、看護師による禁煙支援に影響を与える要因を検討することを目的とした。

方法:系統的な検索は、5つの電子データベース(Pubmed、CINAHL Plus、Scopus、Web of Science、ProQuest)を用い、2020年4月22日までに、科学雑誌に掲載された英語の全原著論文を対象論文として行われた。上記の電子データベースで最後に選定された論文のレファレンスとGoogle scholarを用い、ハンドサーチで追加検索された。

結果:2050論文が検索され、採択条件に基づき24文献を分析対象とした。24文献より46要因が、看護師の禁煙支援に影響する要因として抽出された。これらの要因は、4つのカテゴリ (社会人口的要因、喫煙関連要因、動機付け要因、及び能力要因と障壁) に分類された。

結論:今後、検討された要因に基づき、看護師による禁煙支援実践や体制の改善を検討する必要があると考えられた。

【研究3】保健師による産前からの禁煙支援に影響を与える要因
目的:本研究は、保健師による産前からの禁煙支援に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。

方法:研究デザインは、自記式質問紙を用いた横断的研究であった。研究対象者は、ランダムに選択された全国の市町村と特別区の431保健センターで働く1988名の常勤保健師であった。禁煙支援の項目は、5Aモデル(Ask, Ad vise, Assess, Assist and Arrange for follow-up) を用い、文献検討と10名の熟練保健師への半構造化面接、予備調査に基づき作成された。項目分析の結果、採用した30項目(Cronbach's α = 0.928)を用いて禁煙支援実践の測定を行った。動機付けの要因の検討には、社会的ニコチン依存症尺度(KTSND)、保健師の専門性発展力尺度(PDS)と禁煙支援への自己効力感尺度(SE)を用い、能力要因と障壁には、保健師の研究成果活用力尺度(RUC)を用いた。他には、社会人口的要因と喫煙関連要因も含まれた。分析方法は、t検定、一元配置分散分析、ピアソンの相関分析とパス解析であった。

結果:回収数は604(回答率:30.4%)であり、有効回答521件を分析した。回答者は主に女性(98.1%)で、平均年齢は37.5(±9.35)歳であった。年齢、勤務地域、保健師として働いた経験年数、及び保健師になった後の禁煙トレーニングは、保健師による産前からの禁煙支援に有意な差が見られた。SE、PDS、RUC、保健師として働く経験年数と年齢は、禁煙支援実践とポジティブに関連していたが、KTSNDは禁煙支援実践とネガティブに関連していた。さらに、 SEは、禁煙支援と、PDSなどの要因との関係を仲介した。

結論:今後、保健師による産前からの禁煙支援実践と禁煙支援への自己効力感を改善するためには、禁煙支援に関するトレーニングプログラムを開発、普及するなどを検討し実現していく必要があると考えられた。

【総括】
本研究では、保健師による産前からの禁煙カウンセリング尺度が開発され、一定の信頼性と妥当性が検証された。さらに、保健師による産前からの禁煙支援実践は、保健師の喫煙への態度、保健師の専門職の規範、禁煙支援への自己効力感、及び保健師の研究成果活用力が強化要因として重要であることが分かった。これらの要因を強化するには、今後、禁煙支援に関するトレーニングを広く実施する必要があると考えられた。