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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the establishment of Ucp1-reporter system for screening and evaluation of UCP1 expression-modulating compounds」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the establishment of Ucp1-reporter system for screening and evaluation of UCP1 expression-modulating compounds

Kawarasaki, Satoko 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24110

2022.05.23

概要

【研究背景・目的】
脱共役タンパク質 1 (UCP1) は褐色脂肪組織 (BAT) を構成する褐色脂肪細胞および一部の白色脂肪組織 (WAT) に存在するベージュ脂肪細胞のミトコンドリアに存在し、糖や脂質を消費して熱産生を行うことでエネルギー消費に寄与するタンパク質である。UCP1 は-アドレナリン刺激や Ucp1 転写調節領域に結合する核内受容体の活性化などにより発現が亢進する。また 2009 年には成人においても UCP1活性を有する脂肪組織が存在することが報告された。そのため UCP1 は新規肥満治療の標的分子として注目されており、新規 Ucp1 発現誘導能を有する化合物の発見が期待されている。新規 Ucp1 発現誘導化合物の探索には膨大な化合物を対象とするスクリーニングおよび動物個体での Ucp1 発現に対する効果の評価が必須である。そこで本研究では Ucp1 転写活性を簡便に評価可能な動物および細胞実験系を作製することを目的とした。

第 1 章 蛍光レポータータンパク質を用いた非侵襲的な Ucp1 発現評価マウスモデルの作製 Ucp1 プロモーター下流に赤色蛍光タンパク質 (mRFP1) を組み込んだバクテリア人工染色体 (BAC)を用いて蛍光レポーターマウス Ucp1-mRFP1 BAC Tg マウスを作製した。このマウスでは成獣および生後 3 日の幼獣において BAT が存在する肩甲骨付近に蛍光が検出された。このマウスでは Ucp1 発現誘導刺激である寒冷環境での飼育により肩甲骨付近の蛍光強度が増大し、蛍光強度が Ucp1 発現量を反映していた。Ucp1-mRFP1 BAC Tg マウスを用いた経時的評価の結果、環境温度の変化に伴って肩甲骨間の蛍光強度が増減する様子が観察され、また-アドレナリン受容体アゴニスト CL316,243 の投与下では14 週間にわたって高い蛍光強度が維持されていた。これらの結果から、Ucp1-mRFP1 BAC Tg マウスを用いて Ucp1 発現の変化を経時的に評価可能であることが確認された。このマウスを用いて、Ucp1 発現誘導効果を示すジペプチジルペプチダーゼ4 (DPP4) 阻害剤teneligliptinとUcp1発現抑制効果を示すNa+/グルコース共役輸送担体 2 (SGLT2) 阻害剤 canagliflozin をそれぞれ単剤または両剤を併用して投与した際の蛍光を経時的に観察した結果、teneligliptin との併用が canagliflozin による Ucp1 発現の減少を投与期間全体にわたって抑制可能である結果が得られた。以上の結果から、作製した Ucp1-mRFP1 BAC Tg マウスは動物個体における Ucp1 発現の変化を長期にわたり経時的に評価可能なマウスモデルであることが認められた。

第 2 章 Ucp1-luciferase レポーターベージュ脂肪細胞株の樹立と新規 Ucp1 発現誘導香気成分の探索Ucp1 プロモーター下流に発光酵素 luciferase が組み込まれた BAC を用いて作製された ThermoMouse(Cell Rep. 2014, 9:1584-1593) の鼠径部白色脂肪組織より前駆脂肪細胞を単離し、不死化処理およびシングルセルクローニングを経て、高分化能、高 luciferase 活性を示し、Ucp1 発現誘導刺激に対して応答を示す Ucp1-luciferaseレポーターベージュ脂肪細胞株を樹立した。樹立した細胞株を用いてフレーバー化合物 654 種を対象とするスクリーニングを行った結果、5-methylquinoxaline (5MQ) が新規 Ucp1 発現誘導化合物として見出された。5MQ はマウスおよびヒト脂肪細胞において Ucp1 発現を誘導し、マウス脂肪細胞においてミトコンドリアの脱共役呼吸および最大呼吸による酸素消費量を増加させた。5MQ で処理した脂肪細胞においてはUcp1 の転写活性化にも寄与するペルオキシソーム増殖剤応答性受容体 コアクチベータ 1 (PGC1) の発現が上昇しており、5MQ は sirtuin 1 (SIRT1) やAMP-activated protein kinase (AMPK), p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) を介した PGC1の活性化によりUcp1発現を誘導していた。以上の結果より、樹立したUcp1-luciferase レポーターベージュ脂肪細胞株は新規Ucp1発現誘導化合物の探索に有用な実験系であることが明らかになった。

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