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書き出し

造影CTを用いた高位脛骨・脛骨遠位粗面下骨切り術における膝窩動脈位置の解析

森, 昭嘉 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Analysis of popliteal artery location for high
tibial and distal tuberosity osteotomy using
contrast-enhanced computed tomography

森, 昭嘉
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8618号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482366
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)

学位論文の内容要旨

Analysis of popliteal artery location for high tibial and distal
tuberosity osteotomy using contrast-enhanced computed tomography
造影 CT を用いた高位脛骨・脛骨遠位粗面下骨切り術における膝窩動脈位置の解析

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
整形外科学
(指導教員:黒田 良祐教授)
森 昭嘉

【目的】
高位脛骨骨切り術 (HTO))は、内側型変形性膝関節症 (OA)患者の治療として行われ、 良
好な臨床結果が報告されている。内側開大型高位脛骨骨切り術 (OWHTO)は手技が簡便で、数十
年前から行われている。一方、ハイブリッド外側閉鎖式高位脛骨骨切り術 (hybrid CWHTO)や脛
骨遠位粗面下骨切り術 (DTO))など、新しい手術方法の施行も増えている。
HTO は膝 OA 患者に対する有効な治療法であるが、合併症も存在する。その中でも膝
窩動脈 (PA)損傷は、比較的稀な合併症であるが、最も重症な合併症の 1 つである。HTO 中の PA
損傷を予防する為に、過去の研究では CT や MR 画像を用いて骨切り面における PA の位置を調
査している。しかしながら、骨切り面の測定方法の設定が詳しく記載されてない報告や、2 次元の
画像を用いており、手術中の実際の骨切り面を再現するには適していない可能性がある報告等が
多い。さらに、HTO の手術時における脛骨後方皮質骨の切断時や DTO における脛骨結節のスク
リュー穿孔時の PA 損傷のリスクについては十分 に検討されていない。
そこで本研究では、造影 CT を用いた 3 次元モデルを用いて、HTO の骨切り面における
PA の位置を総合的に評価し、HTO 時の膝窩動脈損傷の危険域および DTO の脛骨結節のスクリ
ュー穿孔時の安全角度を決定することを目的とした 。
【方法】
対象
2012 年 12 月から 2018 年 10 月まで当院にて、急性心血管疾患の為に造影 CT を受けた
20 例 (男性 10 例、女性 10 例、平均年齢 69.8±15.3 歳、平均身長 164.2±10.2cm、平均値体重
63.2±8.4kg) の患者を対象とした。炎症性関節炎、金属の留置、 手術・骨折歴のある患者のデー
タは除外した。
画像取得・処理
造影 CT(Aquilion 64、東芝メディカルシステムズ、東京)を用いて CT 撮影を行い、患
者は仰臥位で両膝を伸展させ、造影剤を注入した。1mm 厚のスライスの CT 画像にて動脈相で撮
影した画像を使用した。画像処理ソフトウェア 3-matic (Mimics Materialise、Leuven、Belgium)
を用いて 3D 骨・血管モデルを作成した。
骨切り面の作成と後皮質と膝窩動脈の最短距離
3D 骨・血管モデルにおいて、OWHTO 用の骨切り面を作成する為、内側関節面より 4cm
遠位の点から、腓骨頭の高さに相当する外側関節面より 1.5cm 遠位の点までの線を冠状面上に描
いた。そして、矢状面上で脛骨内側関節面の後傾に平行な線を通って軸断面が形成された。hybrid
CWHTO では、外側関節面より 4cm 遠位の点から内側関節面より 1.5cm 遠位の点まで線を冠状
面上に引いて、OWHTO と同様な軸断面を形成した。軸断面上で、脛骨後方皮質骨と PA 間の最
小距離 (dPC-PA)を測定した。

高位脛骨骨切り術の膝窩動脈損傷の危険域
先行研究より,手術中の骨切り時に使用する骨鋸の先端の振動の作業幅を 35mm とし、
骨鋸の中心から PA までの危険な距離として 17.5mm (振動の作業幅の半分の長さ)と設定した。
危険点 (D 点)は、骨鋸の中心がその点に位置する場合、骨鋸の後端が PA に当たる可能性がある
点 (PA の最前壁から 17.5mm 離れた点)と定義し た。D 点の位置は、2 種類の切断方向 (平行切
断 :地面と平行に切断、斜め切断:最も内側の点から後方に向かって斜めに切断)で検討された。
1) 平行切断
地面に対して垂直で、最も内側にある点 (M 点)と、最も外側にある点 (L 点)を通る骨
切り面における線をひいた (それぞれ M 線、L 線)。次に M 線に垂直な線を M 点から
L 線に達するまで地面と平行に引いた (ML 線)。PA 最前部から ML 線に垂直な線を引
き、ML 線上の点 (A 点)に達するまで線を引いた (AP 線)。AP 線上の PA 最前部より
17.5mm 離れた点を D1 点と定義した。
OWHTO では,M 線から D1 点までの距離 (dM-D1)を D1 点に到達する骨鋸長とし
て測定した。また,ML 線から D1 点 までの距離(dD1-A)を測定し,ML 線に対する
骨鋸の中心位置を求めた。hybrid CWHTO では、L 点と D1 点の距離 (dL-D1) を測定
した。
手術中の骨切り線中の PA の位置を推定するために、OWHTO と hybrid CWHTO の
D1 の位置を長さの割合を、 (dM-D1 /ML 線の長さ) ×100、 (dL-D1/ML 線の長さ) ×100
の計算式でそれぞれ算出した (骨切り開始点を 0%、骨切り線終了点を 100%とした)。
2) 斜め切断
PA の最前面を中心とした半径 17.5 mm の円を描いた。次に、M 点から円の接線を引
き、その接点を OWHTO の D2 点と定義した。ML 線と接線のなす角度をカッティング
アングルとした。また、M 点と D2 点の距離 (dM-D2)を測定した。Hybrid CWHTO で
は、接線は点 L から引かれ、点 L と点 D2 の距離 (dL-D2)が測定した。
DTO における脛骨結節へのスクリュー穿孔の安全角度
DTO における脛骨結節へのスクリュー穿孔の安全角度を決定する為に、脛骨の内側皮
質骨を基準として設定した。軸方向面は、脛骨結節上の 3 つのレベルの点 (最下点、中間点、最遠
点)を通して測定した。そして、脛骨内側皮質骨の接線 (MC 線)と脛骨結節と PA の中心を結ぶ線
(TTPA 線)の間の角度を測定し、PA に向かうスクリュー角度を決 定した。
統計解析
サンプルサイズの計算では、過去の報告に基 づいて dPC-PA の標準偏差を 2.5mm と推

定した場合、最小サンプルサイズは 17 であることがわかった(EZR version 1.55, 自治医科大学、
東京)

OWHTO と hybrid CWHTO の差の比較には,student-t 検定が用いられた。DTO の 3
つのレベルの違いを比較するために一元配置分散分析が使用された。すべての分析において,統
計的有意性は p < 0.05 とした。
【結果】
脛骨後方皮質骨と膝窩動脈の最短距離
OWHTO と hybrid CWHTO の骨切り面にお いて、平均 dPC-PA はそれぞれ 10.8 ± 2.4
mm (range 6.9-16.5 mm)および 10.3 ± 2.2 mm (7.3-15.4 mm)であった。OWHTO と hybrid
CWHTO の間に統計的な有意差はなかった。
高位脛骨骨切り術の膝窩動脈損傷の危険域
OWHTO の平行切断では、平均 dM-D1 は 25.9 ± 2.9 mm、平均 dD1-A は 6.0 ± 2.0 mm
であっ た。hybrid CWHTO では、平均 dL-D1 と dD1-A はそれぞれ 5.1 ± 1.7 mm と 5.6 ± 2.1
mm であった。OWHTO の斜め切削では、平均 dM-D2 は 31.1 ± 3.1 mm、カッティングアング
ルは 11.2 ± 2.3°であった。hybrid CWHTO では、平均 dL-D2 は 12.7 ± 2.2 mm、カッティングア
ングルは 31.8 ± 5.6°であった。D1 は OWHTO で 47.6%±3.7%、hybrid CWHTO で 9.3%±4.1%
であった。
DTO における脛骨結節へのスクリュー穿孔の安全角度
脛骨結節の平面における平均 dPC-PA は近位、中位、遠位で 12 .7 ± 2.6 ㎜ (8.9-16.7 ㎜)、
13.1±2.1 ㎜ (9.2–16.2 ㎜)、13.2±2.0 mm (8.2–15.7 ㎜)であった。3 つの レベルの間には、統計的
に有意な差はなかった。 近位、中位、遠位における MC 線と TTPA 線の平均角度は、47.8±4.2°
(40.2~54.0°)、45.2±5.3° (35.2~50.2°)、およびそれぞれ 45.8 ± 5.8°(37.9-52.4°)であっ
た。3 つのレベル間で統計的に有意な差はなかった。3 つのレベルにおいて、すべての測定面にお
ける最小角度は、中間レベルの 35.2°であった。
【考察】
本研究では、主 3 つの知見を得た。第一に、PA は OWHTO および hybrid CWHTO と
もに骨切り面において後方皮質骨から約 7~16mm 離れており、有意差は認められなかった。第
二に、PA は OWHTO および hybrid CWHTO において、それぞれ骨切り線の 42~54%および 3
~15%に位置する。第三に、脛骨結節から PA に向かうスクリューの最小穿孔角は 、脛骨内側部
を基準として 35.2°であり、DTO における穿孔角の安全角は MC ラインに対して 35°以下である
ことが 示唆された。
過去の研究では HTO の骨切り面にお ける PA と脛骨後方皮質骨の距離が検討されてい

る。
造影 CT 画像を用いたキャダバーや心血管患者における研究、
MRI 画像から測定した OWHTO
の骨切り面における平均距離はそれぞれ、9.6±2.1mm、15mm、13.0 ± 2.0 mm であるとの報告が
ある。本研究では、OWHTO の最短距離の平均は 10.8 ± 2.5 mm であり、過去の研究と差異があ
るが、この違いは、上記の報告との研究方法・測定方法の違いに起因している可能性がある。さら
に、本研究では、hybrid CWHTO についても平面で距離を測定し、平均距離は 10.3 ± 2.2mm で
あり、OWHTO と hybrid CWHTO の平面間の最短距離に有意差はなかった。従って、PA は脛骨
近位部において脛骨後方皮質骨から約 10mm 離れて走行しており、PA の損傷のリスクは骨切り
術に関係なく同程度であった。
また、過去の報告では、骨鋸の振動の作業幅は最大 35mm に達すると報告している。本
研究での PA への最小距離が約 7mm であったことや、骨鋸の振動の作業幅を考慮し、骨鋸の作業
長に基づく膝窩動脈損傷の危険箇所も検討した。骨鋸の中心が 6.0±2.0mm 後方に位置する場合、
OWHTO の最内側点から危険点である D 点までの平均距離は 25.9±2.9mm であり、骨切り線の
47.6±3.7%に相当す ることが明らかとなった。この結果から、骨切り術 を最内側から約 5~6mm
後方の位置から開始し、地 面と平行に骨鋸を進行させた場合、骨鋸の先端は PA に接触する可能
性が示唆された。一方、hybrid CWHTO では、PA が骨切り開始点の近傍に位置していた。
本研究では、膝関節伸展位で撮影した CT 画像を用いた。膝関節の屈曲角度が PA と脛骨
後方皮質骨の距離に与える影響については、いくつかの報告がある 。PA は屈曲時に最も離れた
位置にあるとの報告や、逆に一部の症例では伸展時に距離が短くなるとの報告、0°屈曲時と比較し
て 90°屈曲時では 1.3~1.7mm しか距離が伸びなかったとの報告があるが、明確なコンセンサス
は得られていない。いずれにせよ、膝関節の屈曲だけでは骨ノミや骨鋸が届かない位置まで PA は
移動しない可能性があること、本研究で示された PA までの距離や位置・骨鋸の作業幅を考慮する
と、術中にレトラクターを脛骨後方皮質骨のすぐ下に正しく設置することが、PA の損傷を防ぐ確
実な方法である。
近年、膝蓋大腿関節の劣化の合併症の改善目的として、DTO が注目を集めているが、DTO
では一般的に脛骨結節へのスクリュー固定が必要である。一方、脛骨結節固定による PA 損傷の症
例報告もある。過去の報告によると、脛骨近位部の手術の場合、脛骨の後中央線より外側に神経血
管構造が観察されることを報告がある。そこで本研究では、術中に確認が容易である脛骨内側皮
質骨線を用いて,脛骨結節へのスクリュー穿孔の安全な角度を決定することにした。本研究での
最小角度は 35.2°であったことを考慮すると、DTO におけるスクリュー穿孔は MC 線に対して
35°以下の角度が安全であることが示唆された。
この研究にはいくつかの限界がある。第一に、PA は造影 CT を用いて同定されたため、
血管壁は考慮されいない。第二に、我々の患者における最小距離は 7mm であったが、他の患者で
は 7mm より短くなる可能性がある。第三に、DTO の際 、脛骨の骨切りの遠位部が横方向に移動
し、結果的に距離や安全角が変化する可能性があるが、遠位部の側方 移動は神経血管構造を側方
に移動させるので、安全角は 35°以下にはならないと考えられる。第四に、本研究の対象は、心血
管疾患であり、HTO 手術の対象となる膝 OA の患者ではない。しかし、過去の報告では、関節レ

ベルより遠位の PA の位置は、関節炎群と非関節炎群の間で有意差はなかったと報告している。第
5 に、本研究では膝関節伸展位で撮影された CT 画像のみを評価 しているが、術者が手術中に異
なる膝関節屈曲角度を使用した場合、本研究の値は利用されない可能性がある。 以上のような限
界はあるものの、本研究は HTO および DTO 時の PA 損傷予防に有用な情報を提供するものと考
えられる。
【結語】
結論 HTO の骨切り面では、PA が後脛骨皮質から 10mm 以内に位置することがあるた
め、骨切り法の如何に関わらず、適切な後方保護が必要である。DTO では内側皮質線に対する角
度が 35°以下であればスクリュー 固定は安全であると考えられる。

神戸大学大学院医学(系)研究科(博士課程)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
甲 第 3283号



受付番号

森昭嘉



造 影 CTを用いた高位腔骨・腔骨遠位粗面下骨切り術における
膝喬動脈位置の解析
論文題目

A
n
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副 査 審査委員
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晶必

(要旨は 1, 000字 ∼ 2, 000字程度)



l






変形「生関節症 (OA)は軟骨変性疾患で、高齢化社会においてその有病者数は年々増加し
ており、国内では 2400万人にも上ると推測されている。膝 OAの治療方法として、下肢
のアライメントを矯正する高位腔骨骨切り術の良好な治療経過が報告されているが、術中
の膝窯動脈損傷が重症な合併症として存在する 。
今回研究者らは、造影 CT を用いた 3次元モデルを用いて、高位腔骨骨切り術の骨切り
面における膝窯動脈の位置を総合的に評価し、術中の膝商動脈損傷の危険域および腔骨結
節のスクリュ ー穿孔時の安全角度を決定することを検討した。
方法
対象は急性心血管疾患の為に造影 CTを受けた 20例(男性 10例、女性 10例)と した。

D骨・血管モデルを作成した。骨切り術の中で、
両膝伸展位で撮像した造影 CT画像より 3
内側開大型高位腟骨骨切り術およびハイブリッド外側閉鎖式高位腔骨骨切り術の骨切り面

D モデルを用いてそれぞれ作成した。腔骨後方骨と膝嵩動脈間の最小距離を測定した。

、3
また、骨切りに使用する電動骨鋸の先端の 、術中に振動する最大作業長を 35m m とし、

7
.
5m m離れた点を危険点とした。 内側開大型高位腔骨骨切り術およびハ
膝腐動脈から 1
ィブリッド外側閉鎖式高位腔骨骨切り術において、骨切り開始位置から危険点までの距離
と、骨切り全長における長さの割合を検討した。腔骨遠位粗面下骨切り術では、腟骨結節
のスクリューによる固定が必要となるが、腔骨内側骨の接線と腔骨結節の中心と膝裔動脈

t
u
d
e
n
t・
t検定及び一元配置分散分析を使用し 、統計的有
を通る線の穿孔角度を測定した。s
.
0
5 とした。
意性は p<0
結果
内側開大型高位腔骨骨切り術およびハイブリッド外側閉鎖式高位腔骨骨切り術におい
て、腔骨後方骨と膝窟動脈間の最小平均距離は 1
0
.
8士 2
.
4m m(
6
.
9-1
6
.5mm)および 1
0
.
3
土2
.2m

m(
7.
3-1
5
.
4mm)であった。両距離間に統計的な有意差はなかった。

内側開大型高位腔骨骨切り術及びハイブリッド外側閉鎖式高位腔骨骨切り術の骨鋸と危
険点の平均距離は、 25.
9m m(
2
4
.
6-2
7
.
2mm)、5.
1m m(
2
.
9-7
.
4mm)であった。骨切り
全長における平均割合は、 4
7
.
6士3.
7%、9
.
3土 4
.
1%であ った。
腔骨内側骨の接線と膝裔動脈へのスクリュー穿刺の角度は、腔骨結節の近位、中位、遠

8士 4
.
2
° (
4
0
.
2-5
4
.0°)
、4
5
.
2土 5.
3
° (
3
5
.
2
位の高さにおける平均角度はそれぞれ、 47.
゜)、および 4
5
.
8土 5
.
8
°(
3
7
.
9-5
2
.
4
°)
であった。最小角度は、中間位の 35.
2゜であ
-5
0
.
2
った。

考察および結論
本研究では内側開大型高位腔骨骨切り術及びハイブリッド外側閉鎖式高位腔骨骨切り術
の腟骨後方骨と膝嵩動脈間の最小平均距離に有意差はなく、膝腐動脈は高位腔骨骨切り術
の骨切り面において腟骨後方骨から約 10mm離れて走行していた。
内側開大型高位腔骨骨切り術では、骨鋸の先端は、骨切開始点から骨切り全長の約半分
l
l
I
I
l
進むと膝商動脈に接触する可能性が示唆された。一方、ハイブリッド外側
である約 25I

閉鎖式高位腟骨骨切り術では、膝嵩動脈が骨切り開始点の近傍に位置していた。
腔骨近位部の手術の場合、腔骨の後中央線より外側に神経血管構造が観察されるとの報

2
゜ であったこ
告されている。本研究では、腔骨内側骨とスクリュー穿孔の最小角度が 35.
゜以下の角度が安全
とを考慮すると、 DTOにおけるスクリュー穿孔は M C線に対して 35
であることが示唆された。本研究により、 HTO の骨切り面では、 PAが後腔骨皮質から

10mm以内に位置していた。ま た、腔骨内側骨とスクリュー穿孔角度が 35
゜以下であれば
スクリュー固定は安全であると考え られる 。

本研究は、高位腔骨骨切り術の骨切り面における膝窟動脈の位置について評価し、骨切
り術中の膝嵩動脈損傷の危険域および腔骨結節のスクリュ ー穿孔時の安全角度を研究した
ものであるが、従来ほとんど行われなかった高位腟骨骨切り時の膝裔動脈損傷のリスクと
腟骨結節のスクリュー穿孔における安全角度について、重要な知見を得たものとして価値
ある業績であると認める 。 よって、本研究者は、博士(医学)の学位を得る資格があると
認める 。

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