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Resting energy expenditure depends on energy intake during weight loss in people with obesity : a retrospective cohort study

半田, 朋子 名古屋大学

2023.04.26

概要

主論文の要旨

Resting energy expenditure depends on energy intake
during weight loss in people with obesity:
a retrospective cohort study
肥満者において減量中の安静時エネルギー消費量は
エネルギー摂取量に依存する:
後ろ向きコホート研究

名古屋大学大学院医学系研究科
病態内科学講座

総合医学専攻

糖尿病・内分泌内科学分野

(指導:有馬 寛
半田 朋子

教授)

【緒言】
エネルギーバランスはエネルギー摂取量とエネルギー消費量によって調整される。
エネルギー摂取量は食事により規定される一方、エネルギー消費量は安静時エネルギ
ー消費量(REE、約 60 %)、身体活動によるエネルギー消費量(約 30 %)、食事誘発性熱
産生(約 10 %)から構成される。肥満症治療では、エネルギー摂取量をエネルギー消費
量以下にコントロールする必要がある。しかし、肥満症患者において減量維持は容易
ではなく、これは減量治療中に REE が低下することが一因となっている。減量後の
REE は 体 組 成 の 変 化 か ら 予 測 さ れ る 値 以 上 に 低 下 す る こ と が 報 告 さ れ て お り 、
Metabolic adaptation(代謝適応)と呼ばれている。これまでに減量とともに REE 低下が
持続することが報告されている一方で、体重が減少しても REE が回復することを明ら
かにした報告もある。しかし、どのような条件で REE が回復するかは未だ不明である。
本研究では、減量過程において REE 低下や回復を規定する因子を明らかにするため
に、肥満症治療目的に入院中の患者を対象に、減量過程における REE、エネルギー消
費量、エネルギー摂取量、体重変化の関連を検討した。
【対象および方法】
2011 年 4 月から 2020 年 5 月までに名古屋大学医学部附属病院で肥満症治療目的に
入院した患者 44 名の電子カルテデータを後ろ向きに解析した。対象は、20 歳以上で
入院前は減量を行っておらず BMI(body mass index)が 30kg/m2 以上の症例とした。入
院中は主治医により設定された個別の食事が提供され、実際の摂取量が記録されると
ともに、必要に応じてエネルギー摂取量が調整された。さらに運動可能な患者には理
学療法士による運動療法が行われた。REE は携帯型間接熱量計を用いて週 1 回測定し、
1 回目、2 回目、3 回目の測定をそれぞれ 1~3 日目(ベースライン)、5~11 日目(1 週
目)、12~18 日目(2 週目)に施行した。REE 予測値(REEp)は Ganpule の式を用いて求
め、REEm-p(代謝適応の指標)を REE 測定値(REEm)と REEp の差として定義した。減
量中の体重、BMI、エネルギー摂取量、REE の前後比較には、一元配置分散分析と Tukey
検定を使用し、減量中のエネルギー消費量の前後比較には、paired t 検定を使用した。
相関分析は Pearson 相関係数を用いた。検定有意水準は 5 %未満とした。
【結果】
1 回目(ベースライン)、2 回目(1 週目)、3 回目(2 週目)の REE 測定を、それぞれ 44
名、38 名、17 名の患者に対して施行した(Fig. 1)。全 3 回の REE データのある 17 名
において、男性は 12 名で平均年齢は 47.6 ± 12.4 歳、平均 BMI は 42.4 ± 9.3 kg/m2 であ
り、約 70.6 %が 2 型糖尿病、94.1 %が高血圧、88.2%が脂質異常症を有していた(Table.
1)。体重は 1 週後(−4.7 ± 2.0 kg、P < 0.001)および 2 週後(−5.7 ± 2.2 kg、P < 0.001)に
有意に減少し、17 名全員が減量した(1 週間で 1.8~8.7 kg、2 週間で 2.7~9.7 kg 減量)。
REEp は 1 週後(−53.6 ± 23.4 kcal/日、P < 0.001)および 2 週後(−65.6 ± 25.1 kcal/日、
P < 0.001)に有意に低下した。一方、減量過程で REEm または REEm-p に有意な変化

-1-

は認めなかった(Table. 2)。
1 週目または 2 週目のエネルギー摂取量/エネルギー消費量比と 1 週後または 2 週後
の REEm 変化はそれぞれ正の相関を認めた(1 週目で r = 0.66、P = 0.004、2 週目で r =
0.71、P = 0.002)(Table. 3、Fig. 2A、2B)。また、2 週目のエネルギー摂取量/エネルギ
ー消費量比と 2 週後の REEm 変化における回帰式は y = 0.5257x − 43.579 と示された
(Fig. 2B)。これは 2 週目のエネルギー摂取量/エネルギー消費量比が 82.9 %であれば、
減量中の REEm 変化は 0 %(すなわちベースライン時と同等)であることを示している。
また、1 週目または 2 週目のエネルギー摂取量/エネルギー消費量比と 1 週後または
2 週後の REEm-p 変化に正の相関を認めた(1 週目で r = 0.58、P = 0.015、2 週目で r =
0.64、P = 0.005)(Table. 3、Fig. 2C、2D)。
さらに、1 回目と 2 回目の REE 測定を施行した 38 名においても、1 週目のエネルギ
ー摂取量/エネルギー消費量比と 1 週後の REEm または REEm-p 変化に有意な相関を
認めた(Fig. 3)。また、エネルギー摂取量/REEm 比と、REE または REEm-p 変化にお
いても有意な相関を認めた(Fig. 4)。体重変化と、REEm または REEm-p 変化、エネル
ギー摂取量/エネルギー消費量比との間には有意な相関は認めなかった(Table. 4)。
【考察】
本研究では REE 変化とエネルギー摂取量/エネルギー消費量比に有意な相関を認め
たが、それぞれ体重変化とは相関を認めなかった。腎不全・心不全の患者や利尿剤内
服中の患者では、入院中の塩分制限により体重が減少する可能性があり、体重変化は
エネルギーバランスのみを反映しない場合もある。そのため、本研究のような減量過
程急性期の変化においては、このような因子が体重変化を修飾していた可能性が示唆
される。
また、REE 測定値と REE 予測値の差、すなわち代謝適応の指標がエネルギー摂取量
/エネルギー消費量比と相関した。これよりエネルギー摂取量の制限を厳格にするほど
代謝適応が大きくなること、すなわち REE が体組成変化からの予想値よりもさらに低
下することが示された。さらに、減量 2 週目においても REE 変化がエネルギー摂取量
/エネルギー消費量比と相関していることが示された。これまでに間欠的にエネルギー
摂取制限を緩和することにより、長期的な体重減少を達成しながら減量に伴う REE 低
下を抑制出来たことが報告されているが、エネルギー摂取制限の緩和は体重増加につ
ながる可能性がある。本研究では減量開始 1 週後にエネルギー摂取量/エネルギー消費
量比を一定以上に設定すると REE が低下しても 2 週後の REE はベースラインレベル
まで回復することが示された。従って、減量過程においても正確にエネルギー消費量
を推定しそれに見合ったエネルギー摂取量を設定することで、代謝適応を最小限にと
どめ、体重が増加することなく REE が回復する可能性が示された。
【結語】
REE 変化はエネルギー摂取量/エネルギー消費量比に依存し、減量過程においても正

-2-

確にエネルギー消費量を推定しそれに見合ったエネルギー摂取量を設定することで、
REE 低下を最小限に抑えられる可能性が示唆された。

-3-

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