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大学・研究所にある論文を検索できる 「Exploration of Classical Integrable Systems Assisted by Neural Networks」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Exploration of Classical Integrable Systems Assisted by Neural Networks

石川, 文啓 東京大学 DOI:10.15083/0002006639

2023.03.24

概要

論文審査の結果の要旨
氏名

石川 文啓

近年、機械学習の技術が大きく発展し、基礎研究への応用も精力的に研究さ
れている。中でもニューラルネットワークと呼ばれる技術が大きな成果を上げ、
物理学の分野でも、データからモデルや物理概念を自動的に抽出する試みなど、
様々な応用が報告され始めている。これらのアプローチは非常に強力なものと
して期待されているが、まだ発展途上である。そのような状況のもとで、本論
文は、これまで困難とされてきた古典的な可積分系の探索を、ニューラルネッ
トワークを用いて行うための手法を提案したものである。
本論文は5章およびアペンディックス A−C よりなる。
第1章はイントロダクションである。機械学習の歴史的発展を概観したのち、
本論文が目標とする古典可積分系の探索が、これまでどのようにして行われて
きたかを説明し、最後にニューラルネットワークを用いてこれまでと全く異な
る手順により古典可積分系を探索するという本論文の目的を述べている。
第2章では、古典可積分系に関する説明と、先行研究の紹介を行なっている。
初めにハミルトン形式による力学系の記述と正準変換の一般論について述べ
た後、古典可積分系の定義、可積分系を特徴づける作用角変数、運動の第一積
分を構成するために以前から用いられてきたラックス対の解を仮定する手法
を説明する。続いて多体古典可積分系の実例として、戸田格子とカロジェロ-モ
ーザー系を紹介している。
第3章では、本論文で用いられる人工ニューラルネットワークについて説明
している。初めにニューラルネットワークの一般論について説明した後、先行
研究で提案された、Normalizing flow と呼ばれるニューラルネットワークを
もちいた正準変換の記述法と、アジョイント法を用いて変数の時間微分を計算
し、運動方程式を積分する手法を説明している。この手法を用いた数値積分は、
本論文第4章で用いられる。本章ではさらに、ニューラルネットワークを力学
系に適用した先行研究として、物理変数の時間発展データを学習データとして、
系のノーマルモードへの正準変換や系のハミルトニアンを記述するニューラ
ルネットを求めた例を紹介している。
第4章は、ニューラルネットワークを用いた古典可積分系の探索について述
べた章であり、本論文の研究成果にあたる部分である。先行研究では、ラック
ス対の解や運動方程式の解を仮定して可積分系を探索するという手法がとら

れてきたが、本論文ではその代わりに、作用角変数で記述された還元ハミルト
ニアンを仮定し、そこから逆に運動項とポテンシャル関数からなる自然なハミ
ルトニアンを求めるという戦略を取る。すなわち、仮定した還元ハミルトニア
ンから古典的な積分可能性を示すポテンシャル関数を得るため、ニューラルネ
ットワークを用いて作用角変数とポテンシャル関数の正準変換を構築するこ
ととし、そのために必要な計算手順とニューラルネットワークの学習に用いる
損失関数を検討している。これらの損失関数は、系の運動に伴って作用角変数、
エネルギー、統計的な性質が保存されることを保証するために用いるものであ
る。本論文では4つの具体的表式について性能評価を行ない、適切な組み合わ
せを提案している。次に、このようにして得られた可積分系の探索に適した損
失関数と適切に構成されたニューラルネットワークを、既知の古典可積分系で
ある戸田格子に適用し、得られたニューラルネットワークを解析することで、
自然なハミルトニアンと正準変換を見出すことに成功している。また、別の極
めて簡単な還元ハミルトニアンを仮定し、そこから自然なハミルトニアンを得
ることにも成功している。結果的に、こうして得られたポテンシャルは新規な
ものではなかったが、本論文で提案した手法の有効性を示す一例となった。
第5章では本論文の結果の要約と、将来展望が述べられている。
またそれに続くアペンディックスの A では、アジョイント法とシンプレク
ティック積分を用いた時間発展計算法について、B では標準的な可積分系で用
いられる式変形について、C ではハミルトニアンモンテカルロ法でボルツマン
分布を実現する手法を、本論文で取り扱う戸田格子の例について詳述している。
以上のように、本論文では従来では難しいと考えられていた古典可積分系の
探索を、ニューラルネットを⽤いて実現する⼿法を提案したもので、これは物
理学における機械学習の新しい応用の道を切り拓き、物性物理学の発展に寄与
する成果である。また、本研究は藤堂眞治氏、諏訪秀麿氏との共同研究である
が、論文提出者が主体となって立案、実施したもので、論文提出者の寄与が十
分であると判断する。
したがって、博士(理学)の学位を授与できると認める。

参考文献

99

[161] H. Takahashi, “A simple method for treating the statistical mechanics of one-dimensional substances: from proceedings of the Physico-Mathematical Society of Japan (Nippon SuugakuButurigakkwai Kizi Tokyo) 24, 60 (1942)”, edited by E. H. Lieb and D. C. Mattis, 25 (1966).

[162] V. N. Likhachev, T. Y. Astakhova, W. Ebeling, and G. A. Vinogradov, “Equilibrium thermodynamics and thermodynamic processesin nonlinear systems”, The European Physical Journal B

72, 247 (2009).

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