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大学・研究所にある論文を検索できる 「Novel, infection-free, advanced hemostatic material: physical properties and preclinical efficacy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Novel, infection-free, advanced hemostatic material: physical properties and preclinical efficacy

勝山, 晋亮 大阪大学

2021.06.30

概要

〔目的〕
 自己組織化ペプチドは合成アミノ酸製剤の一稲で、中性pH域において重合(自己組織化)し、局所ですみやかにゾル状の剤形がゲルへと変換する。本剤を滲出性出血部位に用いると、形成されたゲルが破断小血管内へと嵌入し、血球をゲル内に取り込みつつ止血効果を発揮するとされる。本剤には生物由来製剤が有する感染のリスクがなく、生体分解性にも優れているため、第一世代製剤「TDM-621」が欧州、アジア諸国へ期待をもって遵入された。しかしながら、その後TDM-621には「ゲル化に時間がかかる」、「ゲルが局所に留まりにくい」といった課題が指摘され、広く普及するには至っていない。本研究の目的は、上記課題を解決すべく改良された第二世代製剤「TDM- 623」の物理的特性を検証し、止血剤としての有用性を評価することである。

〔方法ならびに成績〕
方法1.物理的特性の検証を以下の物理的特性を新旧ペプチド(TDM-621、TDM-623)間で比較検証した。
 1-1.形態:細胞培狻液上にTDMをlmi塗布し、形成されたゲルの外観(長径x短径x高さ)を計測した。
 1-2.粘性:TDMのゾル状態およびゲル化した後の動的弾性率(粘性)をそれぞれレオメーターで測定した。
 1-3.自重圧:ゲル化したTDMが局所に及ぼす自重圧を膜型圧カセンサーを用いて測定した。

方法2.止血能の検証を新旧ペプチドの急性期の止血剤としての有用性を大型動物を用いたランダム化比較試験で検証した。
 2-1.止血効果:雌豚(3種混合豚、3月齢、35kg)の肝臓に生検パンチを用いて均一な滲出性出血創を作成し、無作為に抽出したいずれかのTDMを1ml鎏布して2分後、5分後の止血効果をブラインドで判定した。主要評価項目は2分後の止血、副次評価項目は①2分時でのゲル残存の有無、②5分時での止血、とした。
 2-2.組織への影響:肝組織を採取し、TDMの破断血管への充填状況や組織への影響を組織学的に評価した。

成績1.
 1-1.ゲルの長径X短径(中央値、mm)はTDM-621で20X18、TDM-623で13X13と、TDM-621の方が水平方向に広く拡散する傾向を認めた。いっぽうゲル高はTDM-623で11㎜とTDM-621 (8mm)より高かった(p<0.05) 。
 1-2.ゾル状態での動的弾性率(中央値、Pa)は、TDM-621で384、TDM-623で1145であり、TDM-623の粘性が高かった(p<0.05)。ゲル化後は、TDM-021で11181、TDM-623で9711と新旧ともに上昇し差を認めなくなった。
 1-3.ゲル自重(中央値、mmHg)は、TDM-621で0.971、TDM-623で3. 473と、TDM-623が高かった(p<0. 05)。
成績2.
 2-1.滲出性出血創(n=90)をランダム化し、TDM-621群(n=45)とTDM-623群(n=45)に分けて評価した。塗布2分後に完全止血を得た創部は、TDM-623で34例(75.6%)と、TDM-621(12例、26.7%)に比して多かった(p<0.05)。副次評価項目である「塗布2分後の創部上のゲル残存数」はTDM-623が45例(100%)であったのに対しTDM-621は34例(75. 6%)であった。「塗布5分後も完全止血を得た創部」数はTDM-623で32 (71.1%)、TDM-621は11例 (24. 4%)であり、TDM-623で多かった(p<0. 05)。
 2-2.組織学的には、新旧TDMともにゲルは破断血管内に充城され、内部には血球がトラップされた状徳で止血が得られている像を確認できた。いっぽう、TDM周囲への炎症性細胞浸潤は認めなかった。

〔総括〕
 新規自己組織化ペプチドTDM-623は従来品TDM-621よりも高い止血効果を認めた。これは主として「ゾル状態での粘性がTDM-623の方が高い」という物理的特性の差異によるもので、その結果ゲルが3次元的によりしっかり重積し、出血部位をしっかりと被覆する結果、同部位により高い自重圧が加わるためと考えられた。TDM-623は開腹手術のみではなく、しばしば滲出性出血に悩まされる内視鏡手術にも適用できる可能性がある。今後は早期の臨床導入をめざし引き続き検証を重ねていく予定である。

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